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教室がどれだけ厳しい修羅の国だったとしても、所詮は子供の王国です。
そこでどれだけ偉くなろうが、威張り散らそうが……それが外の世界からの干渉に耐えうる訳ではありません。例えば、どんなに強いいじめっ子でも、ナイフを持った殺戮者が教室に侵入して来たりしますと、とうてい太刀打ちできないでしょう。その時、教室で培ってきた権力など、何の意味も持たないのです。
ですから。図書室でエックスを負傷させ、自らの友達を救い出すことに成功したわたしですが、外部の大人による制裁行動まで止められる訳ではないのでした。それは確実に、しかも迅速にわたしに襲い掛かるはずです。
その時はもう、間近に迫っていました。
「そうか……S子ちゃん。またキレちゃったのか」
と、応接室でわたしの前に座る記者が言いました。前回の女子トイレでの事件でただ一人だけ、わたしに対して同情的な記事を書いてくださった女性記者で……彼女はわたしのことをS子ちゃんと呼びます。自分に記事にそう書くからだそうです。
「キレただなんて……わたしはいつだって冷静なつもりなんですよ」
「つもりなだけくない? S子ちゃんは追い詰められると別人格になるタイプだからね。その別人格なりに冷静ってことなのかな?」
「人を多重人格者みたいに言わないでくださいよ。……でも確かに。あれからわたしのアタマの中で、何かが繋がるような感覚があるんですよ。電流が走ったみたいに、何かとても強い力がわたしの心の中に繋がって……ああしろこうしろって教えてくれるみたいな。それに従ってると……なんていうか開放感がありますね。気持ちいっていうか」
「なにそれぇ。あぶなーい。硝子ちゃん、このままだと殺人鬼になっちゃうよー」
そう言って、記者さんはけらけらと笑いました。
「それで……今回の登場人物のイニシャルは?」
「イニシャルっていうか……アルファベット表記するなら。わたしがS子、それから本棚の下敷きになったのがX。その場に居合わせたいじめられっ子がIとU、脇役のいじめっ子T……こんなところでしょうか」
「了解。そう書かせてもらうわ。それで、今回のS子ちゃんは友達を助ける為にそのXを本棚の下敷きにしたと?」
「ですから自分のためですよ。他にいくらでも穏便に済む方法があったのに、あえてこんな方法を選んだんですから。『人の為』っていうのは、誰も傷付けずにことを終えられた人間のみが、主張することなんですよ」
「小学生みたいな見た目の癖に偉そうなことを言うなー。っていうか、S子ちゃんがそうしたのなら……それはS子ちゃんにとってそうするしかなかったことなんだと、あたしは思うけどね」
そう言って、その記者さんはメモを取り終えて立ち上がりました。
「それでは先生。生徒さんを貸していただいてどうもありがとうございます」
そういうと……担任の先生は疲れた顔で「はい……」と生返事をしました。それからその記者は、わたしの方をちらりと一瞥して
「これから色々あるでしょうけど……自分の身は一生懸命、守りなさいね。S子ちゃんには、ご家族も、今は友達だっているんだから。良い?」
「分かってます。自分の身くらい、自分で守ります」
「その考え方がダメ。自分でなんでもできると思わないでね。今回の事件だって、もう少しお友達の負担を増やして、少しの間だけ耐えてもらうようにすれば、S子ちゃんは傷つかずに済んでるじゃない。……S子ちゃんはちっこい癖に背負い込むのよ、ドライでシニカルぶってる割に潔癖なのもよくない。大人になるにはまだまだ遠いわね」
飄々とそう言って、片手をひらひらさせながら記者さんは去り際に言いました。
「連絡先は教えてあったわね? 何かあったらすぐに頼りなさい……報道方面には顔が利くからね」
頼もしい限りです……わたしはそう言って頭を下げました。
「ようやく終わりかしら」
担任の先生は疲労した様子でそういいました。
「……あなたがあの記者とならって言ったから招いたけど。なんか変わった人ね。わたしのことナマクラ先生って呼んでくるし……」
苗字が中村ですから。おそらくわざと言い間違えたんでしょうね……。記事に出てくるとしたら『担当職員N』でしょうか。
「本当にもう……いい加減にしてよ」
先生は頭を抱えました。
「今度こそ裁判になるんじゃないの……。ああもう、なんで私の受け持ったクラスでこんなことが起こるのかしら」
「……申し訳ない」
わたしは頭を下げるしかありませんでした。先生は恨みがましい表情でわたしの方を一瞥すると、忌々しそうに立ち上がり、何も言わずに去っていきました。
わたしは鞄を手に持って応接室を出ました。
「硝子ちゃん」
すると、アイがバカ面でわたしを迎えました。応接室の前でわざわざ待ち伏せしていたとのこと。こいつも事件の当事者ではあるので、先ほどの記者からも廊下で個人的にお話をしていたようです。それはアイの隣でわたしの方を心配げに見詰める雄介も同じ。一対一でお話したのはわたし一人ということでした。
「どうだった?」
「……ちょっとは気分が良くなりました。やはり、頼りになる大人の人が近くにいると、だいぶ違いますね」
敬愛する両親にもたくさん心配と迷惑をかけました。こんなことをしておいて……父も母もわたしのことを怒らないんですよね。わたしのしたことならなんでも肯定してくれそうな特徴が、わたしの両親にはありました。それが良いことなのかどうかは分かりませんが、大きな支えになっているのは確かです。
「もちろん葦原さん……あなたのそのバカ面もわたしを安心させる一要素ではありますよ。つらい時、くじけそうになった時、あなたのそのバカ面や軽率な言動を思い出せば、問答無用で笑わせてくれます。自分より下の者がいればある程度気は紛れるものですが、あなたの場合存在自体が悲惨なので、たいへんな癒しになるのですよ。感謝してます、本当にありがとう」
「……キミはいつだって素直に言えないんだね」
雄介が呆れたように言いました。
放課後の学校には独自の匂いがあると思います。
それは単純に、昼間の混沌めいた狂騒に塗れた状態では分からない校舎独特の香りというものが、放課後人のいない廊下などで感じられるということなのだと思います。放課後は真っ直ぐに、逃げるように帰ってしまう学校生活を送り続けたわたしですから……そんなものに気付いたのは今日が初めてなんですが。
「僕はずっと前から知ってたな。その匂い」
雄介がぼそりと言いました。
「戻っても勉強勉強で……家に帰りたくなかった時期があったんだ。それで学校にずっといて、この匂いを嗅いでいたんだけど。あまり良いものじゃなかったよ。わびしいばかりでさ」
「ええー。あたしは好きだなぁ。青春の香りだよ? 運動場の砂の匂いとか、教室のチョークとか。まぁ、新鮮な血液の匂いに勝るものはないけどね」
「あなたは何を言ってもそれで台無しにしますね」
この子の場合は、たとえどれだけ激しい喧騒の中に身を置いていても、そうした匂いを確かに体で感じられるのでしょう。ありのままのものをありのままに感じられる、そういう純粋さを持った子です。唯一この子が受け入れられないもの……それはきっと、自分自身なんでしょうけど。
「あはは。そうだね……あたしもう吸血鬼卒業しようかな?」
「なんですか藪から棒に……。それなくなったら、あなたの個性なんて乳がでかいことくらいになりませんか?」
「そんなことないよっ! ……なんていうかね、硝子ちゃんとか雄介くんは、吸血鬼なんてなくてもあたしのこと、かまってくれるでしょ? 受け入れて、認めてくれるでしょ? だからもう、必要ないような気がするんだ。友達が一緒にいてくれたら」
「…………」
ようやく気付きやがりましたか。
……これなら。わたしがいなくなっても大丈夫かもしれませんね。わたしはそんなことを思いました。
「あたしね。私立の中学に入ったの、誰かに認めてもらうためなんだ。小学校の頃からずっと、友達ができてもすぐに消えてなくなったりして、気が付いたら一人になってたから……。何か特別なものがあったら、そうならずに済むと思った。特別な自分になれれば……例えばすごい学校に入ったりできたら、きっとみんなあたしのこと認めてくれるんだろうって……」
「そんなもので人を認めたり認めなかったりするような輩は、どっちにしろ消えていきますよ」
「そうだと思う。……実際、そうだった。中学に入ってから友達が続いた子なんて、一人もいなくて。だからちょっと、学校で変なほら吹いちゃったんだ。そしたらすごくおもしろがられて……からかわれたりもしたけれど、あたしはそれでも良かったの。色んな本を読んで、設定を考えて……毎日バカみたいに喋ってたら、本当に一人ぼっちになってた」
「…………」
誰もが孤独に耐えられる訳ではありません。そして、たった一人の繋がりでさえも、自分で得られるとは限らない。友達を作ったり、集団に身を置いたり、そういうのがあまり上手くない人は、それでも一人じゃ寂しいから、変な方法で人目を惹こうとして失敗する。
アイはイタい子ですが……ただ友達が欲しいだけだった。少しくらいからかわれるのでもいい、おもしろがられていてもいい……ただ自分を拒絶せず、悪意も向けず、いじめず、触れ合える人が欲しくて吸血鬼になった。けれどもそれは受け容れられなかった、どこでも誰にも。
「でももう……あたしは一人ぼっちじゃないよ。硝子ちゃんも、雄介くんもいる。こんなあたしをかまってくれる人がいる。だからもう吸血鬼じゃなくても良いんだ……まぁ、設定とか色々考えるのは、やめられそうにないけど」
「いいんじゃない? 小説でも書いてみなよ、きっと読むから」
雄介が優しい顔をして言いました。
「いいかも、それ。主人公は硝子ちゃんみたいな子にしよう。ちっちゃいけど、強くて勇気がある子」
「さぞアタマの悪い文章なんでしょうね、あなたから送られてくるメールを見るに。いやはや、国語の点数と文章を書く力が必ずしも一致しないというのは本当ですね」
「それでちょっとだけ、素直じゃない子」
言って、アイはにこりとわたしに笑い掛けました。
「こんにちは。榊原さん」
三人で連れ立って後者を出ると……見覚えのある若い刑事がわたしの前に現れました。
「宮本さん……」
「……今回は気の毒だったね。ちょっと、署まで来て欲しいんだ。お話を聞かせてもらいたい……」
「ちょっとあなたっ」
アイが噛み付くような声で言いました。
「なんなんですか……硝子ちゃんは何も悪くないはずでしょう?」
「お友達かな……キミが例の、硝子ちゃんに助けられたってっていう子だね」
「そうよっ。あたしが証言してあげる、硝子ちゃんは何も悪いことはしてないってね……」
「キミの気持ちは良く分かる。言っていることも確かだ。ボクだってそう思う」
宮本さんは共感を示すようにそういうと
「けれどもね。人にケガをさせたら、それ相応の処理がいるんだ。被害者のお母さん……江楠女史は今度こそ訴えてやるっていきり立っててね。もちろん、キミの言うようなことも十分に考慮する……。ケガをした江楠まゆきさんは、あばらを数本負ったくらいで、夏休みがあける頃には学校に復帰できそうだしね。十三の時とは言え、初犯じゃないからなんともいえないけど……榊原さんは、どんなに長くても多分ほんの数ヶ月……」
数ヶ月、という言葉にアイが息を呑み、宮本さんにつかみかからんばかりににじり寄りました。
「宮本……」
背後でパトカーに乗ったもう一人の刑事……年配の木島さんはとがめるように宮本さんに言いました。
「任意同行は拒否できる」
雄介が眉に皺を寄せて言います。
「僕らの友達は連れて行かせない」
「そんなことをしても……意味ないよ」
宮本さんは寂しそうな顔で、雄介の方を見ながら言いました。
「今それを拒否したところで、しょうがないんだ。悪いようにはしない……だから。榊原さん、どうかおとなしく従ってくれないかな? キミの事情は考慮するし……取調べの時はボクが守ってあげるから」
「…………」
取調べの時のやり方として、アメとムチというのがあります。怖い刑事さんと優しい刑事さんを用意して、脅かして弱らせたところを優しい言葉で説得するというものです。
前回、中学一年生の時の取調べで、わたしは奥の木島さんに強面で叱られ、次に若くおだやかな宮本さんになだめられました。泣きじゃくるわたしに、宮本さんは丁寧に接してくれましたから……。今回もわたしを呼びに来るとすれば、わたしがおとなしく同行するよう、宮本さんで来ると思っていました。
実際、ここまで警察に連絡が行かなかったのが遅いくらいなのです。通報は誰が行ったのでしょうか。わたしは頷いて言いました。
「分かりました。同行します」
「硝子ちゃんっ」
アイがわたしに飛びついて言いました。
「いかないで……硝子ちゃん。行かないで」
「花畑家くん。アイのことをよろしくお願いします」
「……キミがそう決めたんだね」
雄介は神妙な顔で
「分かった……わがままは言わないよ。……待ってるから」
「ありがとう」
わたしは笑いかけました。
「硝子ちゃんっ」
アイは泣きじゃくって、わたしの胸に飛び込んできます。
「いるからね……硝子ちゃんには、あたしがいるからね。……絶対だからね、何があっても、どんな場所に連れて行かれても……ずっとあたしは硝子ちゃんの傍にいるよ。硝子ちゃんを、守っているよ」
「そうさせてもらいましょう」
わたしは泣きそうに言いました。
「あなたのアホ面を思い出せば……ある程度のことは耐えられそうな、気がします。ですから……また今度、夢で会いましょう」
「おい」
後ろで木島さんが険しい顔で言いました。
「……少し時間が空いたな」
「ああ……」
宮本さんは、木島さんのその言葉を受けて言いました。
「……榊原さん。その、ちょっとの間だけ、支度をして来なよ。夜に迎えに行くから。……お父さんお母さんにも、挨拶とかあるだろう?」
「ありがとうございます」
わたしは頭を下げて言いました。
「……ちょうど。こちらからお時間をいただけるよう、お願いしようと思っていたんです」
それから……わたしは自分の教室の窓を見ました。そこには一つの人影があって、わたしたちの方を薄い笑みを浮かべて見下ろしていました。
教室には、クラス委員さんがいました。
まるで誰かを待っているかのように、教室の窓から刑事さんたちの車を見下ろしています。そこではアイと雄介が、宮本さんにお話を聞かれていました。きっとお二人は……最大限わたしが有利になるような証言をしてくれているのでしょうね。
「ひでこちゃん」
わたしがそう話しかけると……クラス委員の樋口さんこそ樋口英子さんは、わたしの方にどこか懐かしそうな視線を向けました。
「……その名前。嫌いだって小学生の時に話したと思うけど。他のみんなが呼んでるみたいに、こう呼んでくれたって良いのよ。……エーコちゃん、ってね」
そう言って薄笑いを浮かべ、わたしに向かって呼びかけました。
「硝子ちゃん」
わたしはそれに微笑み返すこともせず……いきなりアタマを大きく下げて、絶叫するように言いました。
「ごめんなさいっ」
わたしが裏切ったエーこと、親友だった英子ちゃんはそんなわたしの方を、少しだけ意外そうな表情で見詰めていました。
「あの時あなたのことを裏切ってしまって……本当は後悔していたんです。だけど何も言えませんでした。卑怯なわたしは……ワイなんかが怖くてあなたから距離を取りました……目も逸らしました。あの時わたしは、あなたに本当に酷いことをした……本当に傷付けたと思っています」
「……意外ね。おまわりさんのところに行く前に……報復されるものだと思ってた」
エーは、少しだけ溜息を吐いてそういいました。
「図書室に連中を連れてきたのは私よ? 直接何かしたことはないけど……あなたや葦原さんに細かい嫌がらせをするようけしかけたのも私。江楠さんにあなたを攻撃するよう誘導したのも、あなたに飽きたっていだす江楠さんをなだめていじめを継続させたのも、全部私。あなたが警察に連行されることまで、多少アドリブも入ってるけど……大局的には全部私の目論見どおりだったわ。もちろん裁判が起きたらあなたに不利な証言をするつもりでいる」
そこまで、エーは露悪的な口調で言い切り、見下すような目でわたしを見ました。
「私だって、あの時図書室の本棚の影で、全部見てたからね。……そこまで分かってて、あなたは私に謝罪ができるの?」
図書室でわたしの耳朶に響いた声の正体は、この人でした。仇の一人でもあり、かけがえのない親友だったエー。わたしが裏切ったエー、今のわたしの根底を作ったエー。わたしは彼女のことを、本当に好きで、尊敬していて……だけど。
「……友達に戻れるとは、思っていません」
わたしは正直に言いました。
「だけど……したことは、したことです。許してもらえるかは分からないですが……最後のわがままで、謝らせてください。ごめんなさい」
「…………はぁ」
溜息を吐くと……エーはゆっくりとわたしの前までにじり寄って……そしてアタマに手を置きました。
「へ?」
わたしが思わず顔を上げると、エー……クラス委員は慈愛的な笑みを浮かべてニコニコとわたしの頭を撫でました。
「良くできました」
そして、飄々とそう言ったのです。
「さっき記者さんとすれ違ったの。『S子ちゃん』がいるけど、どうするってね。わたしは校舎のどこかであなたが探しに来るか待つことにしたんだけど……まぁ、正直机で殴られると思ってたわ」
「えっと……ひでこちゃん……?」
「そう呼ぶのはおよしなさいな。友達には、戻れないんでしょう? 私だって分かってるわよ……。あのね」
そう言って、樋口さんはあの頃たびたびそうしたように、わたしと同じ目線まで腰を折り曲げて……切り出しました。
「記者さん曰く……あなたの処遇がどうなるかは、その場に居合わせた第三者の証言で決まるんだって。葦原さんや花畑家くんの証言はあなたに有利すぎ、彼らを襲った連中の証言はあなたに対して辛くなりがち……。という訳で、『その場で隠れてことの成り行きを見守っていた』わたしの采配が大きくなるの」
「……でも」
「それなんだけど……私は榊原さんに有利な証言をすることにしたわ」
わたしが目を見開くと、樋口さんは愉快そうにくすくす笑いました。
「どうして?」
「まぁ。今まであなたにしてきた仕打ちを考えると……ちょっと信じられないかもしれないけどね。……だけど、だけどね」
それから樋口さんはわたしの脇を通り過ぎて、吹っ切れたような声で言いました。
「人間っていうのは……本当に些細な、ちょっとしたことで、人を恨んだり許したりするものよ。そして、そのほんの些細なことの為だけに……ものすごく残酷になったりとんでもなく大掛かりなことをしたり……それを簡単に畳んでしまったりする」
そして去り際に、言い残すようにこう付け足しました。
「でも一つ残念。あなたと友達に戻れないなんて。榊原さんみたいにかわいらしい人、他にいないんだけどな」
そう言って……樋口さんは気ままな女神か何かのように、満足げにその場を立ち去っていきました。
……いや。
本物の悪魔って、ああいうのを言うんじゃないでしょうか。わたしは少し身を引いてそんなことを思いました。




