第二章 未明 星々の晩餐 -新星①-
本作品は三部作となっており、 三つの物語のうち、どの物語から読み始めて頂いて大丈夫です。 読む順番を変えて読んで頂くと、感じ方の異なる結末を味わって頂けます。
桜の並木道に春の息吹を感じながら、まだ若干大きいキャメル色のブレザーの制服に不安を感じつつも家から最寄り駅まで向かっていた。
四月七日の今日、高校生になった僕は中学生の時に色々とあり、中学二年生の二学期からほとんどまともに学校に登校していなかったが、
それでも唯一の親友である中村 琉聖の助力によって、中学校を無事に卒業できたこととこんな僕でも通える高校を一緒に探してくれた
恩を僕が努力をせずして蔑ろにしては、親友として人として大切な何かを失ってしまう。
それだけは何が何でもやってはいけない。そんな思いで、中学三年の一年間は死ぬほど勉強をして一般受験で無事に合格となった。
琉聖に関しては、僕と同じ高校を推薦入試で合格。中学校で生徒会長を務めていたことや日常の生活態度、定期テストでの好成績を
考えれば寧ろ落ちる方が難しいだろう。
中学生の時に起こったあのことを、引きずっていないかと言われると全くそんなことはないのだが、
あの日あの人と約束したことを果たすためにも、小さくても一歩ずつ前に踏み出し進もうと中学三年生になった時に強く決心したのだ。
最寄り駅に着くと、駅のベンチに座って待っていた琉聖がこちらに気づき歩み寄ってきた。
「ちゃんと来たな優!」
「当然でしょ、今日入学式なんだから初日から休んだらまずいでしょ」
「いや、初日じゃなくても病気の時以外はちゃんと来いよ」
会うや否や二人で軽い冗談で笑いながら、これから始まる生活の不安と緊張を和らげ僕達は学校へ向かう電車に乗った。
学校に着くと、僕達と同じように今日から高校生活が始まる仲間達が下駄箱前の掲示板に集まっていた。
「あそこにクラス分けの名簿が貼り出されているみたいだな」
「そうみたいだね、琉聖と同じクラスでありますように」
「ははは、本当にそうだな。俺もそうであることを願うよ」
僕達が通う高校は一学年二百四十人の六クラスの構成で、男女比の構成は女子が六割で男子が四割と一般的な比率となっている。
そして、一年生の時は全員が普通科で二年生に進級する時にそれぞれ五つの分野から一つを選ぶ。
つまり、同じクラスになる確率は決して高くないということだ。
これからの学校生活を決める大きな分かれ道、僕達も自分のクラスを確認するために名簿を見た。
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一年五組
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中村 琉聖
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藤原 優
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「よっしゃ!第一関門突破!」
「よ、良かった...」
同じクラスに振り分けられた僕達の名前を確認し、僕は大きく安堵した。
「優、良かったな別のクラスにならなくて」
「本当に違うクラスだったら明日から学校来ないところだった」
「ここまで来て流石に冗談だろ」
「...」
「冗談だよな」
「う、うん」
「おい、まじで来ないつもりだったのかよ。それは流石に酷いから、毎日家に迎えに行くぞ」
「冗談冗談!家まで来なくていいよ!琉聖が家まで迎えに来たら、お祖母ちゃんが琉聖と喋るのに夢中になって、それこそ学校に遅刻するから」
「分かればよし!俺達も教室に行こうぜ!」
「そうだね」
そう言って、僕達は学校の校舎の四階にある一年生の教室に向かった。




