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ノイシュとミネアと魂(アニマ)~戦乱の中で育ち、戦いと愛に身を投じる少年少女達~   作者: たんとん
第Ⅵ章 ――ミネア……ッ、君の魂(アニマ)は、消えていなかったんだね……っ――
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第7話 ~――ノイシュ……私の手を、とって~


「――死ねっ、ノイシュッ」


 無慈悲な声が耳朶を打ち、ノイシュは視線を向けた。


 ぼやけた視界の中で、暗紅の悪魔の掌で猛る炎の塊に気づく。


 それがさらに膨張していく――


「――やめてッえぇえエぇっ……」


 不意に別の方向から少女の悲鳴が響き渡った――


――あの声はっ……


 ノイシュが素早く振り向いた。


 急いで涙を拭い、視線を凝らす。


 そこに義妹(エルン)の姿をとらえた――


「――お願いッ、お義兄様(にいさま)を殺さないで……ッ」


ウォレンに抱きしめられながらも、義妹(エルン)がこちらにまなざしを向けている――


『――お義兄様(にいさま)……』


 すぐ傍らで別の少女のつぶやく声に気づく。


 ノイシュがすぐさま視線を戻すと、そこには優しく翠眼を細めるミネアの姿――


『――ノイシュ……私の手を、とって』  


 義妹(ミネア)のささやく様な声音が耳に届き、ノイシュは静かに彼女を見やった。


 そこでは義妹(ミネア)が右手を伸ばしているのに気づく――


『はやくっ、ノイシュ――』


――ミネア……ッ


 ノイシュはその左腕を伸ばし、義妹(いもうと)の右手の甲にそっと触れた。


 同時に自分の右頬から肌を焦がす様な熱気を感じる。


 揺れる炎の片鱗が視界の傍らに映った――


――このまま僕は業火に包まれるのなら……せめて最期は、義妹(きみ)を感じていたい……ッ――


『――ノイシュ……ッ』


 次の瞬間、義妹(ミネア)の右手が動き出した。


 そしてこちらの右手首をつかむ――


――ミネア……ッ


 思わずノイシュは息を呑んだ。


 直後に義妹(ミネア)がこちらの右腕を素早く引き寄せてくる。


 そこには片手剣が握られていた。


――ミネア、何を……っ


 ノイシュは眼を見開いた。


 抵抗する暇もなく、義妹(いもうと)の右腕から力が込められる。


 勢いのついた鋭い剣先が、彼女の左胸に吸いこまれていく――


「――があぁぁッ……ッ」


『――くっ……』 


「――ミッ、ミネアッ……ッ」


 たまらずにノイシュは叫んだ。


 その刀身が深く義妹(ミネア)の左胸に突き刺さっている。


 やがて傷口から鮮血があふれ出てきた。


 義妹(いもうと)戦士服(サーコート)を、さらに紅く染めていく――


――そっ、そんな……嘘だ……っ――


 とっさにノイシュは左手で義妹(ミネア)の胸をおさえた。


 指先で血の嫌な感触を受ける。激しい鉄の臭いが鼻腔を刺激した――


――嘘だっ、ミネアッ……イヤだ……ッ




~登場人物~


 ノイシュ・ルンハイト……主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手


 ミネア・ルンハイト……ノイシュの義妹かつエルンの義姉。魂吸収術という超高位秘術の使い手。通称『暗紅の悪魔』

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