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ノイシュとミネアと魂(アニマ)~戦乱の中で育ち、戦いと愛に身を投じる少年少女達~   作者: たんとん
第Ⅵ章 ――ミネア……ッ、君の魂(アニマ)は、消えていなかったんだね……っ――
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第1話 ~きっと、もうダメだよねっ、私達……ッ~


 視界いっぱいに広がる闇に、仄かな赤い光が差した。


 それを待っていたかの様にぼやけた自らの意識が湧き上がる。


 濡色を打ち消す赤みが濃くなっていくにつれて、自分の意識も少しずつ明瞭になっていくのがノイシュには分かった――


「――僕は……」


 思わずそう声を発すると、ノイシュは両眼を開けた。


 そこに薄暗い空を視認する。やはり自分は倒れていたらしい。


 眼前では修道士の少女が、こちらを覗き込む様に身を屈めていた――


「――ノイシュ……ッ」


 ビューレの瞳から大粒の涙が溢れ、自分の顔に滴るのをノイシュは感じた――


「よかったっ……気がついたの……っ」


――そうか、彼女の回復術で僕は……っ


「――いつまで僕は意識を失っていたの……」


 彼女を見すえつつ、ノイシュはゆっくりと身体を起こした。


「――分からないっ……ついさっき、あの嵐が止んで……でも、気づいたら他のみんなは吹き飛ばされていて……っ」


そう告げながら、ビューレが小さくかぶりを振っていく――


「――たまたま近くでノイシュが倒れていたから……急いで回復術を施したところなの……っ」


「――そっか……ビューレ、ごめん」


そう言葉を発すると、ノイシュは両眼を細めた。


 少しずつ明瞭となっていく脳裏に、今までの出来事が次々と浮かび上がってきた――


――エルンッ、みんな……っ


 ノイシュは両眼を見開き、とっさに身体を起こした――


「――義妹いもうと達は……っ」


思わずそう声を発すると、ノイシュは眼前の少女へと視線を向けた。


「――暗紅の悪魔は、一体どうなっったの……ッ」


 こちらの語気が強かったのか、ビューレが顔を強張らせている。


 とっさに後悔の念を抱きつつも、ノイシュは彼女を見すえ続けた――


「――エルンちゃんが倒れている場所には、ウォレンが向かってる。でもっ――」


 そう告げながら彼女が静かにうつむいていく――


「――きっと、もうダメだよねっ、私達……ッ」


 修道士の少女は肩を震わせ、嗚咽していった――


――ビューレ……ッ


 ノイシュはかぶりを振り、無理に思考を巡らせる。


――なら、せめて義妹(エルン)だけでもこの場から逃がさなきゃ……っ


 そう決めると急いで周りを見渡した。


 宙にはいまだ暗紅の悪魔が舞空している。


 ようやく朱幻竜(しゅげんりゅう)の放つ烈風が止み、彼女も周囲の様子を確かめているのだろう――


――エルンッ、どこ……っ


 なおもノイシュが辺りを窺うと、ついに巨躯の戦士が視界に映る。


 ここから五十歩ほど離れている場所だ。


 そして彼の向かう先には、うつ伏せに倒れる銀髪の少女の姿――


――どうか死なないでっ、エルン……ッ


「――とうとう見つけたぞ、超高位秘術を操る少女よ……っ」


 上空から無慈悲な少女の声が耳に届き、とっさにノイシュは顔を向けた。


 そこでは暗紅の悪魔がその左手をエルン達の方へと向けていく――




~登場人物~


 ノイシュ・ルンハイト……主人公。男性。ヴァルテ小隊の術戦士で、剣技と術を組み合わせた術剣の使い手


 マクミル・イゲル……ヴァルテ小隊の隊長。男性。ヴァル小隊の術戦士で、増強術という支援術の使い手


 ウォレン・ガストフ……ヴァルテ小隊の隊員で、戦士。男性。あらゆる術を無効化する術耐性の持ち主


 ノヴァ・パーレム……ヴァルテ小隊の隊員で、術士。女性。様々な攻撃術の使い手


 ビューレ・ユンク……ヴァルテ小隊の隊員であり、術士。また修道士でもある。女性。回復術の使い手


 エルン・ルンハイト……ノイシュおよびミネアの義妹。術増幅という超高位秘術の使い手


 ミネア・ルンハイト……ノイシュの義妹かつエルンの義姉。魂吸収術という超高位秘術の使い手。通称『暗紅の悪魔』


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