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10 作戦実行
その日の放課後。
紳士クンの書いた下書きを綺麗な書体(希里は割と達筆)で清書した希里は、
それを封筒に入れ、トランプのスペードの形のシールを張って封をし、
撫子の靴箱の中にそれを忍ばせた。
そして紳士クンと希里は、校舎の玄関を出てすぐの所にある草むらの陰に隠れ、
撫子が現れるのを待っていた。
「あ、あの、やっぱりやめませんか?
いきなりあんなラブレターを送り付けられたりしたら、
きっとお姉ちゃんはドン引きしますよ?」
紳士クンは浮かない顔でそう訴えたが、
すぐ隣に居る希里は、至って強気な口調でこう返す。
「ここまで来て何を弱気になってるのよ?
まだ失敗するって決まった訳じゃないでしょうが。
それにどっちに転ぶにしろ、突然ラブレターをもらった撫子さんが、
一体どんな反応をするかっていう所に、私は一番興味があるんだから!」
「やっぱり希里お姉様は、この状況を楽しんでいるだけなんですね・・・・・・」
「しっ!静かに!撫子さんがやって来たわよ!」
紳士クンの言葉を制し、希里がそう言うと、
靴箱の所に撫子が現れ、自分の靴箱の前に立った。
そして靴を履き替える為にいつものように靴箱の扉に手を伸ばす。
その中に、紳士クンから送られたラブレターが入っているとも知らずに・・・・・・。




