9 まったく笑いがこらえられない
その日の昼休み、紳士クンは再び図書館の裏庭を訪れ、
そこで待ち構えていた希里に、自分が書いたラブレターの下書きを渡した。
そしてそれを一通り読んだ希里は、あっさりした口調で言った。
「うん、いいんじゃない?
じゃあ私が放課後までにこれを清書して、撫子さんの靴箱の中に入れておくわ」
そしてそのラブレターを自分のスカートのポケットにしまおうとするので、
紳士クンは思わず言った。
「あ、あのっ、そんな内容で、いいんですか?
あまりにもキザ過ぎはしませんか?」
それに対して希里は事もなげにこう返す。
「そんな事はないわよ、ラブレターなんてそんなものだもの。
むしろもっとキザでもいいくらいだわ。
どんな内容だろうと、どんな反応を示すかは、その相手次第。
ああ、撫子さんがこのラブレターを読んでどんな反応をするのか、
今から楽しみでしょうがないわぁ♡早く放課後にならないかしらねぇ♪」
「あの、希里お姉様はやっぱり、単純にお姉ちゃんを、
ラブレターを使ってからかおうとしているだけなんじゃありませんか?」
「そんな事ないわよ。私は撫子さんの為を思ってこの作戦を実行するのよ?
ププッ。これも撫子さんをあのチャラ男から助け出す為なの。
クククッ。困っている友達を、放ってはおけないもの!
アハハッ」
「もう笑いがこらえられない感じになってますけど⁉」
「大丈夫大丈夫。きっとうまくいくわ。
万が一うまくいかなかったら、また別の作戦を考えればいいのよ。
大丈夫!乙子は自分が書いたラブレターの力を信じなさい!」
「はぁ・・・・・・」
希里に力強くそうはげまされたものの、
不安な気持ちしか湧いてこない紳士クンは、力なくそう答えるのが精一杯だった。




