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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅳ  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンと、撫子の恋
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9 まったく笑いがこらえられない

 その日の昼休み、紳士クンは再び図書館の裏庭を訪れ、

そこで待ち構えていた希里に、自分が書いたラブレターの下書きを渡した。

そしてそれを一通り読んだ希里は、あっさりした口調で言った。

 「うん、いいんじゃない?

じゃあ私が放課後までにこれを清書して、撫子さんの靴箱の中に入れておくわ」

 そしてそのラブレターを自分のスカートのポケットにしまおうとするので、

紳士クンは思わず言った。

 「あ、あのっ、そんな内容で、いいんですか?

あまりにもキザ過ぎはしませんか?」

 それに対して希里は事もなげにこう返す。

 「そんな事はないわよ、ラブレターなんてそんなものだもの。

むしろもっとキザでもいいくらいだわ。

どんな内容だろうと、どんな反応を示すかは、その相手次第。

ああ、撫子さんがこのラブレターを読んでどんな反応をするのか、

今から楽しみでしょうがないわぁ♡早く放課後にならないかしらねぇ♪」

 「あの、希里お姉様はやっぱり、単純にお姉ちゃんを、

ラブレターを使ってからかおうとしているだけなんじゃありませんか?」

 「そんな事ないわよ。私は撫子さんの為を思ってこの作戦を実行するのよ?

ププッ。これも撫子さんをあのチャラ男から助け出す為なの。

クククッ。困っている友達を、放ってはおけないもの!

アハハッ」

 「もう笑いがこらえられない感じになってますけど⁉」

 「大丈夫大丈夫。きっとうまくいくわ。

万が一うまくいかなかったら、また別の作戦を考えればいいのよ。

大丈夫!乙子は自分が書いたラブレターの力を信じなさい!」

 「はぁ・・・・・・」

 希里に力強くそうはげまされたものの、

不安な気持ちしか湧いてこない紳士クンは、力なくそう答えるのが精一杯だった。



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