3 おっさんに感謝せよ
さて、常識的に考えたらここは助けに入るべきなんだろうな~
だが、イマイチ気が乗らない。。。
だって!!こーゆーのって普通、貧乏な美少女が虐げられてて、それを助けてウハウハ!って展開でしょ!?なんでがたいの良いおっさんなんだよ。。。ってか、このおっさんそんなに弱いのか??このおっさんに黒いスーツ着せれば絶対、歌舞伎町で世間知らずの若者を、1杯2万円の水が飲める夢の場所に連れていくやつじゃん(あんときのやつマジ許さん、、)
それとも取り囲んでいる3人組がよほど強いのか?
見た目はいかにも山賊だ。それにぷんぷん匂ってくるモブ臭。。。どう見てもザコにしか見えない。
しかし問題は俺の強さだ!
足の速さ、体力が凄いのは判明しているが、戦えるかどうかは別問題である。そもそも彼らはナイフのようなものを所持しているし。
でも待てよ。この世界は俺の夢。つまりここで死のうが現実で死ぬわけではないから最悪負けても大丈夫だろう。
美少女ではなくおっさんであることは非常に不服だが、ここからの大逆転を期待し、おっさんに恩を売っとくことにした。
木陰に潜んでいた俺は颯爽と彼らの前に姿を現し言い放つ。
「おい!ここで何をしている!」
あ、そういえば日本語って伝わるんだろうか。。。
カッコつけて登場して言葉伝わってなかったらどうしよう。。。ダサすぎる。。。
俺はどっしりと構え、彼らを冷めた目で睨み付けている。一方で脇汗が止まらない。。。服が湿ってきた。
あれ?そういえば俺って今どんな服着ているのだろう?よくよく考えたら1度も確認していなかった。今まで動きにくさを感じなかったから変な格好ではないだろう。ちょっと気になるが、今そんなことは気にしていられない。なぜなら今視線を反らせば彼らに俺の動揺が伝わってしまうかもしれない。それだけは絶対に阻止しなければ!!
俺は微動だにせず、彼らの反応を待った。するとモブ山賊A(勝手にそう呼ぶ)が口を開く。
「なんだテメェ?誰だよ」
言葉伝わってたーーーー!!不穏な冷めた空気の中、俺は自分の心がポカポカしていくのを感じた。
「モブに名乗る名などない。モブはモブらしくモブモブしておけ!」
俺が挑発気味に告げると彼らがやや目を細めた。そろそろ襲いかかってきそうに思えるが、何かこちらの様子を伺っているようにも見える。
モブ山賊Aがまたしゃしゃり出てきた。
「テメェ舐めてんのか!?てかモブってなんだ!?訳の分からねぇ言葉使いやがって!意味は知らんが何故かイライラする響きだ。ちなみに、お前を殺すのはもう確定だが、一体なんなんだその縦線がチカチカする服は?、、、ふっ」
、、、へ!?
俺は恐る恐る視線を下ろす。俺の目には見慣れた青いストライプが写った。
これは、、、
俺が働いているコンビニ・ロートンの制服だぁーーー!!!!
え!?なに!?俺はこの制服着て山道をウキウキ走り回り、山賊の前でカッコつけたというのか。
恥ずーーーーーー
山賊とおっさんにしか見られてなくて良かったぁ。。。
美少女ではなく、おっさん居てくれてありがとう!!!!
にしても、確かにロートンの制服はもはや皮膚の一部のごとく違和感なくフィットしているが、この状況でこの服チョイスするとか、俺の脳もっとセンスあるだろ!?
ところで、俺に服のことを話したモブ山賊Aの野郎、最後鼻で笑っていたよな。俺は聞き逃さなかった。
夢の中なら何やっても許されるよな??
制裁を加えてやると決めた瞬間、心臓の辺りから力が溢れ出てくるのを感じた。
奴には俺の人生で最も痛かった攻撃をお見舞いしてやる!
そう決めた俺は右手の平を、まるで凍ったかのようにガチガチに硬直させ、モブ山賊Aの左頬から右頬の方向へ、左足の踏み込みとともに全力で振り切った。
モブ山賊Aの左頬に右手が接触し、右手から左頬が離れだしたくらいの遅れたタイミングで、まるでライフル銃を放ったような鼓膜を突き破りそうな効果音が、、、
俺の心の中では響いた。




