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第 87 章 信頼が試される時

世界展開が進むにつれ、リリーはますます多方面から業務を抱え、振り回されるようになった。

海外提携先との経営戦略会議、各地市場に合わせたウェルネスプラットフォームの調整監督、そして本社の日常業務運営を同時にこなさなければならない。

プレッシャーは日に日に高まり、心身の調子を崩し始めていた。

ある夜、インドでの新規ローンチに関する報告書を確認していると、リリーの思考は混乱し始めた。

自分ではコントロールできない事柄があまりに多く、決断を迫られる課題も未知の要素も山積みだった。

休みが必要だと感じても、休む時間などない。一分一秒が貴重な状況だ。

その時、スマホにサラからメッセージが届いた。

「リリー、大事な話がある。時間ができたら会える?」

リリーはすぐ返信した。

「もちろん。一時間後に時間が空くわ」

待ち合わせた時、サラの表情は険しかった。

「リリー、社内で色々な噂を聞いたの。あなたの経営ぶりや、業務を抱えすぎて手が回っていないのではという声が出てきているの。一人で負担を背負いすぎ、経営判断に影響が出るのではと懸念する人が増えているわ」

リリーは驚きを隠せなかった。

「どういうこと?」

「会社の成長を率いながら、理念を守り続けられるか疑問視する声が上がっているの。大規模な多国籍企業の経営経験を持つ、よりベテランの役員を迎え入れるべきだという話まで出てきているわ」

サラは心配そうな口調で話した。

怒り、傷つき、フラストレーション —— さまざまな感情がリリーの心に押し寄せた。

ずっとカーター社を率いる自分の能力を信じてきたのに、長年共に働いてきた仲間たちから疑われるなんて思いもよらなかった。

「信じられない……」

声を震わせながらリリーは言った。

「この会社に自分のすべてを捧げてきた。全身全霊を注いで築き上げてきたのに、私には能力がないなんて言われるなんて」

サラは手を伸ばし、彼女の肩にそっと手を置いた。

「リリー、あなたは本当に素晴らしい成果を出している。でもあなたも人間なのよ。何もかも一人で頑張りすぎなくていい。優秀なチームを築いてきたのだから、もっと周りに頼っても大丈夫。すべての重圧を一人で背負う必要はないの」

リリーは深く息を吸い、頭の中を整理した。

サラの言葉が正しいと悟った。

もう一人で全てを抱え込む時代ではない。これからはチームをもっと信じ、業務を分担し、責任を分かち合うべきだ。

「きっと私は、何かを証明しようと頑張りすぎていたのね」

リリーは柔らかい口調で認めた。

「でもあなたの言う通り。もう一人で全部こなそうとするのはやめるわ。周りの人を信じ、任せることも覚えなきゃ」

サラは温かく微笑んだ。

「その通りよ。誰に対しても自分を証明する必要なんてない。既に素晴らしい企業を作り上げたのだから。これからは信頼を軸にリーダーシップを発揮し、メンバーにもっと責任を任せて力を引き出していけばいいの」

その夜、リリーは責任の分担を進める第一歩を踏み出した。

サラやジェイクを含む経営チームを招集し、今後の企業成長におけるそれぞれの役割について話し合った。

自身の懸念を率直に伝え、もう一人で全てを管理することはできないと認めた。

「今ほど皆さんの支えが必要な時はありません」

リリーは落ち着きつつも誠実な声で語った。

「会社の成長において重要な局面を迎えています。私一人では全てを担いきれません。それぞれの担当分野で、もっとリーダーシップを発揮してください。私は皆さん一人ひとりを信じています。共に手を取り、新たな市場に進出しながらも、カーター社の価値観を守り続けていきましょう」

チームのメンバーは一斉に頷いて同意した。

リリーの心には、新たな自信が湧き上がった。

今まで世界の重圧を一人で背負おうとしてきたが、本当のリーダーシップとは信頼によるもの —— 自分自身とチームを信じることだと悟ったのだ。

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