第 143 章 調和を見つけて
リリーが仕事とプライベートの均衡を掴み続けるにつれ、カーター企業における彼女のリーダーシップも変化し始めた。相変わらず全力を尽くして働いてはいたが、かつて自分で抱え込んでいた業務をチームに任せ、信頼して任せることを覚えた。この変化によって彼女は、世界展開・新たな提携・事業の革新といった**大局的な課題**に集中できるようになった。
カーター企業にとって次の大きな節目は、東京市場への参入計画だった。現地市場は競争が激化している一方、環境配慮型テクノロジー分野において独自の成長チャンスを秘めていた。リリーとチームは、テクノロジーに精通し環境意識の高い東京の人々の心に響く、**現地向けに最適化したマーケティング戦略**を練り上げるため、日夜尽力した。
会議室で東京公式発売に向けた準備を進めていた時、サラが口を開いた。
「もう準備は万全だと思います。東京向けの戦略も固まり、初回の小売提携先も確保済み。来週には宣伝キャンペーンを開始できます」
リリーは誇らしさを感じながら微笑んだ。
「サラ、素晴らしい仕事ね。長い道のりだったけど、今こそ私たちの番だわ」
「一点だけ追加があります」
サラが付け加えた。
「大々的な公間PRが必要です。記者会見などのイベントを開催し、我々の参入をしっかり告知すべきです。東京で適切な露出を得れば、今後多くの道が開けます」
リリーは思慮深く頷いた。東京で注目度の高いイベントを開けば、この地域での成功の基調を作れる。だが細部まで気を配り、完璧に実施する必要があることも分かっていた。
「詳細は私が担当する。主要なコンタクトに連絡を取り、イベントの企画を進めるわ。記憶に残る素晴らしい催しにしましょう」
リリーは決意を込めて言った。
東京のイベントが近づくにつれ、リリーは再び長時間労働の日々を過ごすようになった。だが今回は、自分のスケジュールを上手くコントロールできていた。ペース配分を覚え、適度に立ち止まるタイミングと、最も注力すべき仕事に没頭するタイミングを見極められるようになったのだ。
大イベントの前夜、リリーは少し時間を作ってネイサンに電話をかけた。ここ数週間は多忙を極め、思うように連絡を取る余裕がなかった。
「会いたいわ」
電話に出た瞬間、リリーは素直に囁いた。
「僕も会いたいよ。調子はどう?」
ネイサンの声はいつも通り温かく、心を癒やしてくれる。
「順調よ」
リリーは微笑んで答えた。
「東京の準備も最終仕上げの段階。仕事は大変だけど、ワクワクしてるわ。これが私たちにとって大きな一歩になると確信してる」
「間違いないよ。君なら大成功させられる。ただ明日が終わったら、無理はしないで。ずっと頑張り続けてきたんだから、ゆっくり休む時間も必要だよ」
「頑張ってみるわ」
リリーは柔らかい声で言った。
「ただゆっくり休める時間がすごく待ち遠しい。正直少し緊張もしてるの。今回の東京イベントが、市場参入の成否を分けるかもしれないから」
「君なら大丈夫。いつだってやり遂げてきたじゃないか」
ネイサンの言葉は、彼女の緊張を和らげてくれる。
「仕事が終わって戻ってきたら、ずっと待ってる。二人でゆっくり休もう」
リリーは微笑み、彼への愛おしさが胸いっぱいに広がった。
「早く会いたい」




