十柱目 人間嫌いの悪魔
俺は人間が嫌いだった。
親だろうと友人だろうと関係ない。
否、親や友人だからこそ、余計にそれが俺にとって醜悪で、悪臭を放つものだった。
父親はやたら手足の出やすいゴミクズ野郎だったし、母親は一日中寝転がってはゲームと煙草に興じながら俺から金を徴収する自堕落女だったし、愚弟は足が臭いし無計画に散財する阿呆だ。
「あれ……?」
「はい?」
なんか、悪魔だな。そう考えると別に大したことではないのでは……
「いやいやいや、そういうことじゃない」
まあ、友人が一人も居ないというわけではなかったが、困った時に頼れるような親友なんて一人も居なかったし、そんなものは架空の世界にしか存在しないのだ。
そしてブラック企業蔓延る現代社会は人間を合法的に死なせて金を稼ぐ怖ろしい人間の業だ。
俺が無職だったのも自分の身を案じた緊急避難に過ぎない。サービス残業や法外な連日出勤で人生の資本たる心身を買い叩かれるなんて冗談じゃない。
なのに奴隷みたく、しかも自ら買い叩かれ、隷属する人間は絶えず、それは他の労働者を殺しかねない。
俺は罪もない人間を同調圧力で働かせて殺したり、殺されたりしたくない。
「悪魔より悪魔っぽいのでは……」
「それは悪魔と言うより畜生だと思う。リムルさんが言うように、悪魔は神の印象操作で悪いイメージ付きまくりだから」
「んん……とにかく、俺は人間が嫌いだ。憧れるような人間は空想にしか居なかったし、羨ましいと思う人間は幻想の中にしか存在しなかった。現実に飽いて、人間に嫌気が差したんだ」
「……レクト、君は」
そのとき、唐突に風呂の扉が乱暴に開かれた。
「話は聞かせてもらった!」
「うおっ、なんだ!?」
「わふっ!?」
「っていうかお前ら風呂長すぎるわ! さっさと上がれ!」
長湯が過ぎた俺たちはリムルに連れられる。
「お前はどうも悪魔の本質が分かってないからな。人間よりもまず、お前の認識を変えないと」
「俺の認識……?」
「まあ、いいからいいから」
俺はリムルに誘われ、ただ街道を歩く。
ガルゥは散歩のついでにリムルと俺についてきた。
「リムルは、人間が好きなんだよな」
「ああ、大好きだ。私は人間大好き小悪魔ちゃんだぜ?」
「きっと、がっかりするぞ。世の中の人間は、あんな創作どころじゃない。どうしようもなく下らないぞ」
「……ッチ」
するとリムルは立ち止まり、こちらを振り向いて腰に手を当てる。仁王立ち。
「なーにを勘違いしてんだバカ! お前の世界にたまたまクソザコしか居なかっただけだっての! バーカバーカ!!」
「えぇ……」
なるほど、俺が見てきた人間をクソザコと言うのか。
俺としては気分が良いが、しかしリムルの人間への期待が重過ぎる。
きっと落胆する。落胆を通り越して、期待を裏切られて憎悪するかもしれない。そのときリムルが人間を滅ぼしたいというならば、彼女に協力してやりたい。
さすがにリステアは殺させないが。
「心なんか読まなくたって、お前の考えてることなんか手に取るように分かるぞ」
「な、なんだよ」
「別にお前が私を哀れむのは勝手だけどさ、私は好きで人間に期待してるんだぞ。そこんとこ、ちゃんと分かってんのか?」
「そりゃまあ」
リムルは人間に対して希望を抱いている。夢物語や御伽噺の主人公を求めているんだろう。
自分の欲に忠実で、そのために力を求め、強さと誇りをもって我侭を通す。そういう英傑で豪傑で傲慢な存在を。
「そりゃお前がクソザコ人間どもに期待したり希望を持ったりしてたんだろうが、それだってお前が好きでやってたんだろ?」
ちょっと手痛いところを突かれたな。確かに俺も期待や希望を持っていた頃はあった。だが、それは……
「だからお前は私の相棒に相応しいんだ」
「話飛びすぎだろ。今何があったんだよ。お前の脳みそタイムマシンかよ」
「ハハッ! なんだそれ、面白い言い回しだな。まあつまりだなぁ……」
馬鹿にしたような笑いが、かすかに優しさを帯びる。
それは無邪気な子供のように、あるいは無垢な聖女のように。悪魔の癖に、悪意をもった女神より綺麗な笑みだった。
「クソザコ人間が私の期待を裏切るまでも無く、お前が私の期待に応えてくれればそれでいい」
「はっ……えっ?」
何を言っているんだこいつは。いや、もしかして俺がバカなのか? そうなのか?
こいつの頭が良すぎて、俺の頭が悪すぎて、話が噛み合わないのか?
「お前は私の持っているマンガの良さをちゃんと分かった。嗜好が同じなのもな。だから私が今求めているものと、お前がかつて求めていたものは、きっと一緒だ」
「それが、どうしたっての」
「いま求めている私が、かつて求めていたお前を導いてやるのさ。そんな人間にな」
そんなアホな。俺はただの妄想嫁大好きなだけの凡人だぞ。
あんな創作物みたいな、輝かしい存在になれるはずがない。
「そんなメルヘンやファンタジーじゃあるまいし」
「いや十分にメルヘンにファンタジーだろ。悪魔もいるし、お前も転生したし、これ以上無いくらいファンタジーだろ。お前の妄想嫁だって人間界で顕現してるんだぜ?」
あー、そうか。ここは現実なんだった。
悪魔だの聖女だのとメルヘンチックでファンタジックな世界の夢を見ているわけではないんだった。
今俺が過ごしているここは現実で、尚且つメルヘンでファンタジーなんだ。
なら、俺もそれになれるのか?
この物語に夢を与える、そんな人間に。
「悪魔の恵みでせっかくお前の人生が主人公っぽくなったんだから、私がきちんと導いてやるよ」
「でも……人間嫌いが主人公の物語なんて、ろくでもなさそうだな」
「まあそこは、今から行くところで多少は心変わりすると思うぜ。だからさっさとついてこい!」
意気揚々と前を歩くリムル。
こうして見ると、あんなに小さい体なのにこうも頼もしいものか。
頼もしい、信頼……これは悪魔らしいと言えるのかどうか。
やがて俺はリムルが目当てとする場所へと到着した。
そこは巨大なドーム状の建物だった。
簡素な入り口から螺旋状に続く階段は遥か下まで続き、底が見えない。
「なにやってんだよ。早くしろ」
何事かと見れば、珍しくリムルがこちらに手を差し出していた。
「えっ? ああ、いや……」
「なんだよ、さっさとしろって。お前とガルゥくらいで重量オーバーにはならねーよ」
「お、おう」
そう言うなら遠慮なく、俺はリムルの手を取った。するとリムルの体ごと俺の体も宙に浮く。
魔窟図書館では完全にクロを苛めるためだけに自分たちを運搬させたのか。
階段を完全に無視し、圧倒的な速さで大きな穴を下っていく。
やっと到着した最下層に降り立つと、そこにはやたら大仰な、禍々しい観音開きの扉があった。
「ここがお前が俺に見せたかった場所か?」
「この先だ。見て驚けよ」
リムルが先導し、扉を両手で押す。
ゆっくりと、軋む音を立てながらゆっくりと開かれる扉。
隙間から吹き付ける風は、焼けるような熱風だった。
「あっつ……」
それが完全に開け放たれた先は煌々と橙色の光に満ちていた。
「これこれ、これだよ!」
「ちょ、おい!」
リムルが嬉しそうな声で扉の先へと消えるのを慌てて追いかけるとそこは……
なんて、綺麗な。
「クク! 驚いたな? 驚きのあまり声も出ないんだな?」
「……おど、ろいた。なんだここ。本当に魔界か?」
上に空はない。当然だ。底の見えない穴を下って、ここはとっくに大陸ファラクの地下だ。
空の代わりにあるのは分厚い岩の天井だ。
では下には何があるのか?
俺はそれを今まで見た中で、リステアの次に美しいと思った。
それは夕焼けの空をひっくり返したような火の海だった。
火の海はどこまでも広がっていて、水平線まで続いている。
今俺たちが立っているのは、大きな石柱をぐるりと囲む透明なガラスのような物体だ。
「ファラクの地下にこんなものが……」
「もっと下をよく見てみな」
言われたとおり、俺は目を凝らしてマグマプールを見る。
何か居る。なんか泳いでる、というより溺れている。それもたくさんだ。
「輝く橙色の海、溺れる人、地下……リムル、これってまさか」
「そう。此処こそが地獄の1丁目だ!」
これで一丁目なのか。今ここに立っているだけでも熱気が肌を焼いているこの場所が。
足元よりもさらに下で、無数の人形が苦しむこの場所が。
「こいつらは天にも昇れず、魔にも堕ちれず、亡者としての徳まで失った奴らだ。神道や邪道どころか外道れた奴らさ」
「徳……悪魔が徳を語るのか」
「徳って言っても神が言うようなもんじゃないぞ。悪魔の道徳は悪道の徳、悪魔の美学は価値観の美徳。悪徳を積むのが悪魔の嗜みさ」
悪徳と美徳。悪魔に堕ちるのも中々大変なんだなぁ。
「それって怠惰でも成り立つのか?」
「怠惰なんて完全に才能如何の適正次第だからな。日頃の努力はせず結果だけは出す天才しかなれないんだぞ。ほぼノー勉でテスト赤点免れたり、特に意識して無いのに体型を維持したり、便利な道具を発明したり」
「怠惰ってそういう意味なのか」
「あとはまあ、極僅かな数だが、怠惰に何かしらの意味を持たせている奴だが……なんにせよお前にはピッタリだな」
なんだ、俺は怠惰な人間と言いたいのか。
確かに生前はあまり働かない人生だったが、それは自分の命を守るためであり、今ではリムルから怠惰を教わったもののリステアに会えるならなんだってする。
「高名な怠惰の悪魔ベルフェゴールの三つ名はな、<人間嫌い>なんだよ。そして幸福な結婚生活が夢物語であることを決定付けた偉業もある」
「人間嫌い……」
「人間なんて信用ならないし、搾取されるのが嫌だから働かなかったんだろ? お前は怠惰に意味を持たせた」
なるほど、でも幸福な結婚生活という点では、俺はリステアと実現できていたはずだ。妄想だけど。
「ただ、お前の人間嫌いは妄想嫁を生み出し、幸せな結婚生活を妄想の中では実現できていた。愛欲の悪魔であるお前なら、もしかしたらベルフェゴールを破れるかもな?」
夢物語、それはつまり妄想だ。
その妄想嫁という夢物語が実現してしまったならば、もしかしたら幸福な結婚生活を実現できるかもしれない。
「その辺りも私は期待してるんだ。だからちゃんと嫁探しに協力してやるよ」
信じろと言わんばかりの口ぶりだな。
「信じろよ。裏切られたら、本気で殺しにかかればいい。お前はもう悪魔なんだから」
「……俺は、魂は人間なんだろ?」
「人間が悪魔らしく振舞っちゃいけないなんて誰が決めたんだ? 決まりがあるとして、お前がそれを守る理由があるのか?」
まさに悪魔の甘言といったところか。しかし、これはこれで悪くない。
なぜなら彼らは本気でそう思っているのだから。
人を操るだけの戯言でも、偽るための虚言でもない。
この悪魔は、本気でそう思っている。常に自由を欲し、欲望を満たしている。
自分以外にルールは無用、そんな傲慢の大罪を掲げて。
「お前も私と一緒に大罪マスターを目指すといいさ。私たちは大罪仲間だ!」
「た、大罪仲間?」
「いやぁ、人間の大罪仲間を作るのが夢だったんだよなー。傲慢はたまにこうやって教えてやるからな!」
「それはまあ、喜んでもらえて何よりだが……結局お前は俺にこれを見せてなにがしたかったんだ?」
するとリムルが苦笑を向けて、「にっぶいなー」と馬鹿にする。
「お前は人間の怠惰さや傲慢さを嫌ったんじゃない。そこに悪徳や美徳の宿っていないことを憤っていただけだ。そして、そういう奴らはここでこうして焼かれている。よく思い出せ、そしてよく見ろ」
「ふむ」
前世で憎悪した、醜悪と思ったあれらが、こうやって焼かれている様を見ると、こう、なんというか……
「どうだ?」
「スカッとする。ざまぁ見ろって感じ」
「だろっ!? いやー、やっぱり私の見込んだとおりの人間だ!」
いつになくご機嫌だなこいつは。
同類を見かけたのがそんなに嬉しかったか。
そうだろうな。俺もなんとなく嬉しい。
「悪魔にだって仲間意識くらいあるさ。他人がどうなろうと知ったこっちゃないけど、仲間は他人じゃねぇからな」
「納得した」
「まあ、悪魔だし、自分の都合のいいことも言うけどさ、私とお前は仲間だ。それは間違いなく偽りない。徳の無いクソザコ人間はこうなるし、気に食わない奴はぶっ殺せばいいし、力が足りないなら強くなればいい。それだけさ」
リムルは意外と優しい……ではないのだろうな。
こいつはこいつの都合上、最も良い状態にするためにこんなことをやっているんだろう。
「というわけで、いちいち落ち込むなよ相棒。どうしてもっていうならまたここでクソザコ眺めてすっきりしようぜ」
「そうだな」
なんだこの小悪魔正ヒロインかよ。
いや、相棒ポジションだな。心の友と言う奴だ。悪友ともいうな。
不覚にもリムルに励まされてしまったが、まあいいだろう。こいつのおかげで踏ん切りがついた。
もう一度、友好関係っていうものを味わってみるか。
「あっ、あとな、風呂でナニするのは排水溝が詰まりやすくなるからやめたほうがいいぞ」
「だってさ、ガルゥ」
「ちょっ!?」
受け流し、不意打ち気味に食らったガルゥが素っ頓狂な声を上げた。
ガルゥは反応が面白いし可愛いな。リムルではないが、弄りたくなる。
とはいえどうしたものか。部屋は汚せないし、ガルゥは一度スイッチが入ると涎たらしまくりなんだよな。
「いっそ食うか」
「……お前、私を引かせるとか相当だぞ。後輩の癖に生意気だぞ!」
「えっ、フェチシアが飲むって言ってたし大丈夫だろ」
「あー、あいつの入れ知恵かぁ……」
その後もナニをするときはどうするかという談義をしばらくの間続けていた。
亡者が焼かれる様を眺めながら……
帰り道はすっかり夜だったが、悪魔はむしろ真っ暗な方が視界が良くなる。
特に話題がなかったので、ふと気になったことをリムルに聞いてみる。
「そういえば、変な悪魔と魂の取引するとどうなっちゃうんだ?」
「大体は実験台にされるな。普通はちょっと魂を調理って味にコクを出すくらいだけど、凝る奴は本当に凝るからな」
「お前はどうなんだ?」
リムルだって悪魔だ。人間の魂が大好物だとしてもなんら不思議ではない。
もしかしたら俺の魂を喰おうと狙ってるんじゃないか。ガルゥみたいに。
「私は人間の魂より人間の作った料理に興味があるからなぁ。マンガで見たけど、フォアグラとかいうかなり業の深い食い物があるんだろ? あれを喰ってみたい。というかアレを考えた奴と仲良くしたい」
「確かにあれは罪業の味、甘美だったなぁ」
フォアグラの作り方はえげつない。
詳しくはないが、要するに胃に無理矢理エサを突っ込んで太らせるだけだ。
「でもそれは短期間で製造する手法の話で、ストレスフリーの長期間で育てるフォアグラの方が味は良いと聞いたことがある」
「食ったことはないのか?」
「貧乏人だったからな」
しかし、人間と悪魔が友好を結んだら、魂の取り扱いはどうするんだろうか。
個人が同意の上で契約したならまだしも、種族という大きな括りではさすがに魂を悪魔に食われたくないと思う奴の方が多いだろうに。
「まあそこは上手い事やるさ」
「上手い事ねぇ……」
それが上手く行くかどうかも分からないのに、よくもそんな自信に満ち溢れているな。これも傲慢のなせる業か。
「例えば犯罪者の魂しか喰わないとか。悪魔と契約した奴とそいつが殺した奴だけとか」
「悪徳を積んだ奴の魂を喰うのか?」
「悪徳を積んだなら悪魔のルールに従って貰わなきゃな。弱肉強食ってやつよ」
まあ、そこらへんは狡猾な奴らに任せるとするか。
俺はリステア探しに専念させてもらおう。
「変な悪魔といえば、あとはブッキーだな。あいつは変な悪魔だから魔本貸すだけで人の魂奪うえげつない奴だ」
「そうか、ブッキーが変な悪魔だったのか」
確かに本のレンタル料が魂とは中々にぼったくりだ。
「しかも魔本で殺した相手の魂も自分のにするからかなり極悪な部類だ」
「そんなに魂集めて何がしたいんだよあいつは」
「さぁなー。あいつのことだから本の餌にでもするんじゃないか?」
大量の蔵書には、魂を欲する魔本もあるだろう。
その魔本のためだけに人間の魂を奪い、給仕する。
ありえなくもない話だ。
「私もなんか気になって来たな。いっそ直接聞くか」
帰宅して早々、リムルはブッキーに問う。
「まだそんな噂が生きていたか」
「えっ、違うん?」
「まあ間違いではないが、それはあくまで処分だ。私が目当てとしているのは、その魂が歩んできた道程だ」
魂が歩んできた道程。なんかカッコイイな。
「その魂の歩み、記憶は私の創作のネタになる」
「なるほど、ブッキーの魂乱獲は創作活動の一環に過ぎないというわけか」
「そういうことだ。魔本という大いなる力を得た人間がどういう物語を描くのか。興味が湧くだろう?」
確かに。それは気になる。
悪魔から力を貰った主人公の物語。それが喜劇であれ悲劇であれ、刺激的な内容になることは間違いない。
ただ悪趣味であることは間違いない。
「まあ、悪魔だからな」
「それさぁ、悪魔のキメ台詞なのか?」
「悪魔は悪ぶってナンボという常識があるのだ。傲慢派のリムルの十八番でもある」
七つの大罪は派閥扱いなのか。
いや、別に不思議じゃないか。傲慢派リムル、憤怒派ブッキー、色欲派フェチシア、怠惰派レクト、強欲派クロ、嫉妬派ボーン、暴食派ガルゥ。
見事にピッタリ……じゃない。
「俺は愛欲も兼任しているな」
「そりゃ問題ないさ。ベルフェゴールは怠惰と同時に性愛も司ってるからな」
「それ肉欲とダブってない?」
「一応似て非なるモノなんだけど……まあそこらへんは適当だな。それにダブりなんてよくあることだから」
だからって……まあ別にいいか。
「「どうせ神にとっては同じようなものだろうからな」なんてなっ!」
……ついに弄び始めやがったなこいつは。
悪戯っぽい小悪魔スマイルを悠々と見せ付けるリムル。
反射的に飛び出した俺の右手を容易く掴み、癪に障るほど楽しそうにしている。
「ハッ! 怒るな怒るな、お前は憤怒じゃなくて怠惰だろ? まあこれからもよろしくな。相棒?」




