復興への道
「ふーっ、完全復旧までは、まだまだっスね」
晴れ渡る空の下、至る所で行われているメゾサンクチュアリの復旧作業。雛菊も白いツナギを真っ黒にしながら、溢れる程に積まれた石材を台車に乗せ、街中を縦横無尽に駆け回っていた。
「雛菊、次は木材をお願い!」
「あぁ、雛菊、こちらにはセメントをお願いします」
「はいはい!ちょっと待って下さいね~」
ヘレーネやカールも他のクルセイダーや一般の市民に混じり、白いツナギ姿で作業に勤しんでいる。カヤードによる本部崩壊によって一度は殉教した彼等であったが、今では何事も無かった様に生き生きとした表情を彼女に見せていた。
「……こうやってまた、みんなの顔を見れるのも、ラピスと……マスターのお陰っスね……」
雛菊は走り回っていた台車を止めると、頭上に高く登った太陽を仰ぎ見る。
あの時、ブラック・ラピスに向けて全身全霊を聖槍に乗せ、特攻したウイング。
そのロンギヌスによって闇を払われ本来の姿に戻ったラピスは、操られていたとは言え、自らの行いによって潰えた多くの命に嘆き悲しみ、ラグナロクに関わった死者の命を『再生』させた。
それでも力の大半を闇の波動によって失っていたラピスには、傷ついた大地や海を再生させる事までは適わなかった。
厳しい環境の下、人々は世界の復興に向け、百五十年前と同じ様に希望を胸に再び歩み始めるのだった…………。
「……まさか最後の最後に兄さんが現れ、カヤードもスルトも裏切り、ウイングの小僧にラピスが敗れるとは……計算外のオンパレードだったな……」
焼け野原となったフランの森で一人佇むマオの姿。
「だが、『この体』に『レオンの記憶』と『聖柩』がある限り、俺は何度でもラグナロクを起こしてやるさ…………なに、百年以上も待ったんだ……次のチャンスまで、ゆっくり待つさ……」
マオの脳にレオンの記憶と、オーバーテクノロジーである聖柩を埋め込んでいたサンジェルマン。ヴァンによって封印されたサンジェルマンはレオンのバックアップ体でしか無く、オリジナルのレオンの脳はマオの中にあったのだ。
そして、
再びレオンが歴史の表舞台に登場するのは、暫く後の話である…………。
To Be Continued?




