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黒獅子

 龍は言霊を唱え終えると、大きく咆哮を挙げ、紅い瞳を強烈に輝かせる。



 龍は巨大な顎を大きく広げると、牙を剥き出しにし、口蓋垂をさらけ出す。



 その口内に先程発生した黒い霧が集束して行く。



 それと同時に縦揺れは次第に強くなり、立っているのもやっとな位だ。



「黒獅子!!」



 カヤードは両目を刮目し、気合いの一声を挙げる。



 声に呼応して、カヤードの全身に龍の吸い込む霧と同じ漆黒の闇が覆い被さって行く……。



 龍が集束させた黒い霧は、青いプラズマを発生させていた。



 霧の中の粒子が電気を帯びているのだろう。



 『火を吹く』程度の威力とは比較にならない。



 旧世界で言う所の『荷電粒子砲』と呼べる代物。



 カヤードは漆黒のマントを頭から被った状態にいた。



 手足には左右が拘束されていない、漆黒の手枷、足枷が施され、頭の部分には獅子を彷彿とさせる『黒い鬣』が出現する。



 幻影一刀流・四柱奥義の一つ、黒獅子は他の技とは大きく性質が異なっていた。



 一刀流唯一の『徒手空拳』。



 その一言に尽きる。



 究極の戦闘エネルギー体である神氣を全身に纏う事で、自身の身体能力を『超』劇的に向上させる黒獅子。



 刀を失ったカヤードにとって、龍とやり合うにはこの技しか残されていなかったのだ。



 龍の紅き双眸と視線がぶつかり合う!



 一瞬にしてその場から消失するカヤード。



 龍は構う事無く荷電粒子砲を放つ!



 直径五メートルの青い閃光が龍の咢から放たれた。



 消失していたカヤードは残影を残しつつ、龍の喉元まで瞬間移動。



 両手を胸の前で広げ、目前で放たれた荷電粒子を『受け止め』ようとする。



 かわしてしまえば、祠もろとも、カムイクックの森ごと消失しかねない。



 イージスがあると言っても、ネオも無事では済まないだろう。

ならば、体を使って止めるしかない!!



「うぉおおおおお!!」



 両手で荷電粒子を遮断しようと試みるカヤード。



 黒獅子で強化されているとは言え、かなりの無茶だ。



 凄まじい勢いで発せられる閃光に、片目を閉じるカヤード。



 金色の神氣が黒衣のカヤードを覆い、荷電粒子と激しくぶつかり合う!



 それらが放つ轟音と怒号が、長く、長く続いた…………



 ネオはイージスの防壁越しから、その場景を眺める事しか出来なかった。



 想像以上のハイレベルな戦い。



 封印されていた龍にしても、カヤードにしても、最早神レベルの戦いだ。



 自分が介入出来る余地など全く無かった。



 ――祠内には激しい閃光の後、黒い煙りが充満して行く。


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