四柱奥義と神氣
「絶望するがいい! 無力な人間どもめ!! 数多のクルセイダーをほふってきた我が妖術、その身に刻んでくれる!!」
天井で浮遊していた龍はカヤードを見下ろし、凝視すると、祠内部に響き渡る程の怒声を挙げる!!
妖気を元に蓬術の様な術を放つ、ヒドゥン専用の術、妖術。
人語では無い、理解出来ない言霊をブツブツと呟き始める龍。
龍の周囲には漆黒の霧が現れ始め、祠全体はゆっくりと縦に揺れ始める。
「幻影一刀流、四柱奥義が一つ……」
カヤードは縦揺れを気にも止めず、全身に闘気を漂わせ、カルマニクスでカルマの器を満たす。
聖杯が血で満たされるイメージ。
限界への挑戦、己への挑戦、先人たちへの挑戦、そして目前の龍への挑戦。
更なる高見を目指す魂がもたらす結果。
【聖杯BREAK】
十剣でも成し得ないカルマの器の進化系。
体内のカルマの器を許容量限界以上にカルマニクスで満たし、激しく燃焼させ、一時的に器を破壊する。
行き場を失った燃えたぎるカルマニクスは暴走を起こし、強力なエネルギー体へと昇華する。
『真の強者』でなければ、たちまち心と体を喰われる、非常に危険な禁忌。
歴代幻影一刀流当主のみが成せる荒業だ。
カヤードは正眼に構えていた刀を地面に投げ捨てると、両手を軽く握り、腰骨の辺りで静止させる。
幻影一刀流は数多の剣技で構成された、対魔式戦闘術の元祖だ。
戦士の持つ闘気とカルマニクスを融合させ、無敵のヒドゥンを滅して来た歴史のある剣法故、クルセイダーの多くは幻影一刀流を好んで使う。
しかし、その技を全て継承出来る者は唯、一人。
『当主』と呼ばれる幻影一刀流の頂点に立つ者のみが、先代の当主から一子相伝されるのだ。
カヤードはその七代目にあたり、歴代最年少の当主。
当主以外の『免許皆伝』は真の意味での『皆伝』では無く、教えられる奥義も『仮そめ』の奥義。
だが、当主であるカヤードには他の門下生が知らない、真の奥義である【四柱奥義】と【究極奥義】が使える。
これからカヤードが繰り出そうとする技が、その四柱奥義の一つ【黒獅子】である。
カヤードは直立不動のまま双眸を閉じ、精神を集中させる。
今にも狂い出しそうな、暴走状態のカルマニクス=『狂気』と『闘気』を融合させた、『業気』を超える最強のエネルギー体である『神氣』を錬成しているのだ。




