2#勇者ルイス=アルディオン
────翌日
昨夜は家族のいる前でもこっそりウィンドウを出してみたがやはり誰も反応すらしなかった。
見えないのは確定らしい。
今日は入学式の翌日で初々しい学生達が賑やかに登校している。そんな俺も高校一年生何だが。
俺は学校への通学路を歩きながらウィンドウを出して眺める。
【サイオス=レヴァナス】
ネクロマンサーLv3
後は細かいステータス何かも出ているが、問題はこの
『ネクロマンサーLv3』
だ。
どういう事だ。
思いっきり下降してる。
幾ら俺がそんなに戦闘力が高い方じゃ無いと言っても少なくとも昔はLv100は越していた。
詳しい数字は流石に覚えてはいないが流石にLv3ではない。
一応力も試した。小さい虫くらいは動かせたが、死体が無いのもあるが大きいのは無理そうな感覚はあった。
正直何から考えて良いかわからない。
うーんと唸り難しい顔をしながら歩いていると、俺の隣をポニーテールの女子が通り過ぎた……
筈だった
数歩先で、その足が止まる。
「……?」
振り返る。
目が合った。
そのまま――
戻ってきた。
と思ったら何故か俺の隣についた。
「…………」
え?何?
何でこの子隣についてんの?
ポニーテール女子の視線は俺には向いていない。
なのにぴったり横にいる。
俺は視線を辿る。
視線の先は───
明らかにウィンドウ
「え、あ」
「あ」
「……あ?」
「あぁああああああ─────!!?」
「ぅわぁああっ!!?」
突然の耳をつんざくような叫び声にひっくり返りそうになる。
この女頭おかしいんじゃないのか!?
当たり前だが周りも驚いたように此方を見ている。
え、恥ずかし
俺入学早々目立ってんの?
嘘だろ?
そんな考えが数秒のうちに頭を駆け巡る。
しかし同時に何なんだと言う気持ちも強まる。
「っ、何だよ一体、あんた」
「……オス」
「は?」
「……サイオス」
「え?」
今何て言った?サイオスって言った?
何でこいつからサイオス何て言葉が出るんだ?
さっきからの視線……
まさか
いやそんな
ぐちゃぐちゃな思考に何も答えられないでいると、その女は指を上に向け、「オープン」と小さく口にして指を曲げた
嘘だろ……
────ヴォン
【ルイス=アルディオン】
そこには俺と同じようなウィンドウに
生前の仲間であり、勇者の名が表示されていた
――――――――――
「ぁああっ、んぐっ!!?」
驚きのあまり此方まで同じような叫びを上げかけた瞬間、手で此方の口を塞がれた。
「叫ぶな!此処は目立つ、ちょっと来い」
いや、異議は無いけど思い切り叫んで注目されてた人に言われても。
て言うか女子近!
……え?女子?ルイス女子?
何かもう何に突っ込んで良いかわからん。
取り敢えずと人気の無さそうな校舎裏までやってきた。
正直此処まで叫び声上げた女子に腕引っ張られながらやってくる構図だったので十分目立ってた。
「此処なら良い……」
「いや、良くは無いよな?普通に目立ってたよな?」
人目を避けて此処へ来たのはわかるが道中滅茶苦茶目立っていた為に思わず突っ込んでしまった。
「…………で、
本当にまさかルイス……なのか?」
あまり信じられないが、ウィンドウはしっかりとこの目で見た。間違いなく自分と同じウィンドウで表示されていた名前がルイスの名だった。
だがルイス=アルディオンは男だった。
確かに男だった。
風呂だって入った。
……男だった。
だがこの目の前に立つ人間は女子だ。
「ああ、私……いや、俺はルイス=アルディオン。かつて魔王と戦った勇者だ」
恐る恐る聞いた俺に胸を張って答える。
この堂々とした佇まいは確かに俺の知っている勇者のルイスな気がした。
「……はぁ~……」
「?どうした?急に溜め息何て……」
「いや……ちょっと流石に頭パンクしそう……。俺昨日だぞ?記憶戻ったの……」
今の今までこんな前世何て無縁だったのに、急に沸いて出てくる事柄にいっぱいいっぱいだ。
もう無理って言いたくなる。
「!昨日……なるほどな。私は中学の時だ」
マジか、一緒だとは思ってなかったけどそんなに前か
「君があの画面を開いていなかったら見付けられなかった」
確かにあれを見たら一瞬でわかる。
あんなもの現代に無いしな。
それより……
「……で、何で勇者様は可愛らしい女子になってんの?」
「かっ……、…いや…別に、なりたくてなった訳じゃない。気付いたらこうだったんだ。他の仲間を見てないからわからないが多分決められるものじゃ無いだろう」
ちょっと赤くなってる。
ルイスだと思わなければ可愛らしいんだけどな。
男の時知ってるからな
「ふーん……、そっか。なぁ、なら何で俺らがこんなことなってるか知ってるか?」
こんなこととは勿論転生である。偶然なのか必然なのか。これからどうするかに結構重要だ。
「ああ、それなら……」
「司祭、リリー=エルセリアが転生魔法をかけたせいだ」
「…………は?」
反応が、遅れた。
え、何で?
わざわざ?
「なん──、
キーン……コーン……カーン……コーン……
「あ!まずい!」
聞き慣れたチャイムが耳に響く。
「話は後だ!遅刻するぞ!」
「あ!おい!」
…………あいつ、はっや……
聞きたいことが山程あったが仕方ない。
今は素直に後を追って教室に行こう。




