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1#現世での目覚め


───頭の中に、何かが流れ込んでくる。





「いよいよ魔王との決戦だな」


「ああ、師範達も辿りつかなかった魔王戦だ」





───何だ、これ。


───誰の、記憶だ?





「師範達のご遺体、連れてきたんだろ?サイオス」




───サイオス?


───……俺に、言ってるのか?





「まぁな。幾ら辿りつかなかったとはいえ、遺体の中では強いからな」


「……きっとお前のお陰で無念も晴れるさ」


「勇者ルイス様の晴れ舞台も見れて満足するかもな」


「はは、そうだと良いな。……よし、行くぞ」





***






「!!!危ない!!」






───な、んだ?


急に、場面が飛んで……


黒い何かが、こちらに迫る。


───俺、撃たれた……?








「サイオス!!?」


「サイオス!!しっかりしろ!!サイオス!!サイ──────」


───意識が、途切れる。
















──────────





俺は今混乱している。


俺の名前は



神代 彩(かみしろ さい)



の筈だ。

それなのにさっきから頭の中に別の記憶が流れ込んでくる。

その中の"自分"は、こう名乗っていた



『サイオス=レヴァナス』



……いや、誰だよ。


漫画や小説のように頭を打ったとか高熱を出したとかそんな特別な事は何もない。

ただトイレで用を足していた時に急に頭に流れ込んできた。

そうだ、俺は昔、この日本とは違う世界で生きていた。

サイオスは間違いなく俺だ。

勇者と魔王が存在する世界。

ゴリゴリのファンタジー。

魔王と言ってもはっきりした形状があるわけでない。

それは人や魔物の負の感情から作られる。

そんな魔物を倒すべく、俺は勇者パーティーの一員として戦闘に参加していた。




ネクロマンサー


として



だがこの世界のネクロマンサーは万能ではない。操る死体の能力は基本的には死体の生前の強さに依存する。

故にすごーく強い戦闘員という訳では無い。

正直、非人道的ではあるが万が一勇者パーティーの誰かがやられてしまったら俺の力で彼らを動かしてでも魔王を倒すという保険も兼ねていた。


いや、縁起でも無さすぎる。


そんな俺だったがぶっちゃけ一番に死んだ。

呆気なく殺された。

保険が一番に死んでちゃ世話がない。

それ以降魔王が、仲間がどうなったかはさっぱりわからない。

そこまでの記憶が今脳内を満たしてきたのだ。


なんてこったい


転生したら○○~みたいなのの逆じゃねぇか。

普通向こうにいって無双するだろ。

何で日本(こっち)なんだよ


ん……?

まてよ?


てことは…………


俺は人差し指を上に向け『オープン』と言いながら指をくいっと曲げた。

すると前方にヴォン!と軽く音を立てステータス画面が現れた。

ま、まじか……

前世と同じようにステータスが開ける。

動揺しながら、その内容を確認しようとした――その時


「何時までトイレ籠ってるの!後つっかえてるんだからさっさと出なさい!」


と母の怒号が響いた。


……タイミング最悪かよ




──────────


ステータスを閉じてトイレから出ては自室へと行く。

自分が長々と籠ってるのが悪いと小さく溜め息をついて反省しながらステータスをまた開いてみた。


「……オープン」


――ヴォン。


半透明のウィンドウが目の前に現れる。



サイオス=レヴァナス



今の俺の名前では無く、どうやら過去の俺の名前だけが表示されているらしい。

これを開けるというだけで自分の記憶を信じるしか無いだろう。

だが何で転生したのかさっぱりわからない。というか魔王はどうなったんだろう。

……いや、そもそも。

勇者はどうなったんだ。

ルイスのやつ、ちゃんと生きて――

いや、あいつは大丈夫か。

ああ見えてしぶとい男だしな。

他の奴らもきっと大丈夫だろう。

そう信じたい。


難しい顔で唸っていると――

ガチャ。


「兄ちゃん、ちょ――」


「うおっ!?」


ノックも無しに扉が開いた。

心臓が跳ね上がる。


「?何だよその反応?」

「な、な、なんでも、ない……、つーか何だよ?」

「いや、ノート足りなくて一冊余ってないかなって」



その視線は──




俺の顔に向いている。


……ウィンドウじゃない。




「……?」


一応、身体で隠してはいる。




でも──


これ、見えてないのか?




「あ、ああ、ノートな。あるよ、ほら。これでいいか?」


恐る恐る身体をずらす。

さっきより、明らかに“見える位置”だ。



「助かる、サンキュー」


何の反応もない。

……いや、あるにはある。

弟の視線が、少しだけ下に向く。



あ、これ


エロ本でも隠したと思われてるな




「助かる、サンキュー」



ある意味出来た弟は何も詮索しないまま、部屋を出ていった。




──バタン




ドアが閉まる。



「……」



ゆっくりと視線を前に戻す。

そこには、さっきと変わらず浮かぶウィンドウ。



……これ、見えてないよな?

見えてたら普通もう少し何か反応するよな?


つまり他人には見えないのか?


なるほど考えることは多そうだ












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