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フロウラの末裔  作者: みっつっつ
第12章 トリスタン‬
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5 スタジオ・・・ミット

 これまで:初日に見かけたおかしな3つの丸の調査を始めたアリスとミット。巨大なサーバルームの下は駐車場か。乗用タイプと貨物タイプ。貨物タイプには細い管理用ロボトが積まれていた。

 休憩が終わったら、後ふたつの山に探検に行ってくるよ。ミケを連れて行こーか?


 と言うわけであたいとミケは色の薄い方の山にやって来た。外側の丸い線で一番低いところとまん真ん中で深さを調べると真ん中では1メルも無かったのは驚いた。直径5メルの地下施設がすぐ下にあるみたいだ。

 矢筒からマノボードを引き出して広げると、穿孔筒を1個使って穴を開けてもらう。すぐに硬い天井を穿(うが)ち始め10メニかからずカメラが出て、撮影が始まるのをあたいはマノボードで見ていた。


 何かの機械が並んでいる。丸い逆さの傘のようなものが4つ。いくつもの四角い箱とそれをつなぐ太い硬そうな紐。箱の側面には計器がいっぱいついてるのもある。右奥にあるのは梯子かな?

 様子は見えたよ。ミケに手をかけるとあたいは下へ跳んだ。


 この機械も分解すればいろいろ採れるんだろうけど、今は下へ行くよ。梯子の通った穴は直径1メル、ミケには小さいな?

 下をあかりで照らして覗いてみると梯子は10メル下まで伸びていて、すぐ下はここと同じ大きさで別の機械で埋まっている。

 ミケには待機を合図して、1階1階確かめながら下へ降りて行く。

 降りた先はまた6メル角の間仕切りの中で4面にドアがあった。ミケでもかがめば潜れそうだね。あたいは上に跳んでミケを連れて来た。


 梯子に向かい合わせのドアをそっと開いた。やはり真っ暗だね。灯りを(かざ)すと机と椅子がたくさん並んでいる。机の前の方に高い棚が付いているので向こうが見えないけど正面と右にはずらっと並んでいるように見える。

 すぐそばの机に目を引かれた。可愛い飾りや人形、フォトが棚に飾ってあって、椅子の背には赤い布のカバーが掛けてあって。どんな人がここにいたのかな?


 正面の通路左の壁に棚が並んでいて、上の段には同じようにいろんな小物が載っている。下の段は紙の箱がぎっしり並べてあって、箱には大きな読めない文字が赤や黒、青で書き込まれていた。右の机の後ろの壁は色とりどりの大きなフォトが貼ってあって人の顔もたくさんあった。よく見ると絵だと分かったけど、まるでフォトだ。ここは何をするところだろう?


 正面通路を歩いて行く。あたいとミケの持ったゆらめく灯りで次々に浮かび上がる棚の飾りはどれひとつとして同じものはなかった。

 いくつ目だろうか。机の上の紙束が目についた。あたいがそこの椅子に座って(めく)ってみると、きれいな風景が手で描いてあった。次を捲ると5人並んだ笑顔、次には剣を持って対峙する2人。これみんな描いたの?ここは画家の工房だろうか?

 次の列にも同じような分厚い紙束があって、こっちは読めない文字がぎっしり書き込まれていた。

 この文字をシロルに読んでもらおう。見かけた紙束を丁寧(ていねい)にリュックに詰めて先へ進んでいくとサーバの棚がここにもあった。2台の棚に載った黒い箱が16個。これには何が入ってるのかな。


 この階は4つに区切られた大部屋で、こう言ったよくわからないものが机や棚に詰め込まれていた。階段は外周に4箇所あったけどこの階を見て歩くのは面白い。

 特に絵はあたいも好きだからね、こんなふうに描いてみたいってのがいっぱいあったよ。可愛い飾りの人形もいっぱいあって、あたいも作りたくなった。

 持てるだけかき集めてミケと一緒にお昼の教会に戻った。


 アリスはまだトラクのことであーだこーだとやっていた。シロルはサーバを組み立てたらしい。新しい[さん]を中継にして記録を集め始めたと言っていた。今はお昼ご飯の準備中だからそれ以上は聞けなかった。


 ミケに持たせた袋をあたいのベッドに運び込む。絵の描かれた紙を一枚一枚捲って見ていく。あ、絵描きカメラで撮ってくれば良かった。せっかくアリスに作ってもらったのに失敗したよー。

 普通のカメラと同じように撮ってそれを木とかの硬いものに焼き付けるカメラで画像の保存もできるんだ。あれで撮ればサーバに保存できるから、いつでも型紙を起こしたりできるんだよ。お昼から絶対撮って来よー。


「アリスさま、ミットさま、お昼ご飯ができました」

「「はーい」」

 手を洗っておっひっるー。


 今日のお昼はうどんだねー。これ美味しいけどあっついんだよーって、ちゃんと加減してくれてるねー、さっすがシロルー。


 出汁(だし)の効いた醤油味に甘辛いふわっとした揚げものが合わさって、美味しいよー。


「「お代わり!」」


 食後にあたいは探検結果を披露(ひろう)した。絵の紙束と大量の文字の紙束。あとは可愛い飾りものの話に棚2台のサーバの話。


「特にサーバはシロルに見て欲しいなー」

「あたくしの方は昨日のサーバーの構築は終わって記録のコピーをやっているところです。マノボタンで制御できますので、離れても問題ありません。衛星から外したメモリの復号(ふくごう)がまだですが、そう進むものではありませんので」


「あのトラクをあたしたちがそのまま使うのは大変そうだね。人が乗らない分、道を見るものがいないとだけど、そのためにマノボタンがもう一つ要るみたいだよ。あのロボトはクロミケよりもだいぶ性能が落ちるから運転は無理だし。せいぜい大型トラクの貨物助手かな。お日様発電とか欲しい部品だけ取ってこようかと思ってるよ」


 なんだ。みんなで行けそーだねー。



 あの部屋は窮屈(きゅうくつ)だから、クロミケはトラクの()ぎ取りに連れて行くよー。取り敢えず屋根とロボトを1箇所に集めてもらおー。他のも後で使えるように固めて置いとけばいいねー。

 あたいたちは机だらけの部屋へ跳んだ。


 アリスとシロルにまずサーバを見せた。すぐにバッテリを出して動くか読めるかと始めたみたい。あたいはその間に机を巡ってフォトーを撮っていく。いやー、これ面白いわー。よっくこんな形のものを考えたもんだねー。しかも可愛い感じがしっかり入ってるしー。ふた部屋目に突入ーして夢中になって撮っていると


『ミットー。今どこー?』

「隣の部屋だよー。なんかあったー?」

『このサーバ、ちゃんと読めるからトラクに運んで繋いじゃいたいんだけど、いーかな?』


 あたいはアリスのそばへ跳んだ。


「いいよー」

「じゃあシロルも一緒に行くから頼むよ」


 あたいはポンとトラクの横に転移する。シロルが先に入って元運転席のサーバの横にさらに場所を作る。もうあそこにはふたりしか座れないねー。入り口側の間仕切りも外されて紐だらけになってるし。広げた棚に持ち込んだサーバをアリスが手伝って載せていく。

 天井の温度調整の箱から下がった断熱シートで全部のサーバを(おお)い直してたねー。前に回って外から見ると、透明板が左の半分だけになってたよー。


「ふっふー。ミット、お手柄ー。このサーバはね、たっくさんの絵とかデザインとか、読み物に音楽っていうのが入ってるんだよー。これを使えば売上10倍は確実だから、もっといろんなことができるようになるよー?」

「えー、そうなのー?でもそのサーバ、あとまだ棚3つ分もあるよー?」

「むー。ハイエデンに持ってってもまだあっちはサーバを置けるような準備してないからなー。このトラクも積めてもあと5個?もう無理だよね、そのまま置いておこうか?」


「アリスが良いならいいけどー?」

「せっかく戻って来たからお茶にしようか?」

「はい、準備しますね」

「クロミケはどーしてるかなー?」

「んー?あー、ここからだとツーシンが効かないか。地下だもんね」

「ちょっと見て来るよー」


 ポンとトラクの階に跳ぶと屋根が30枚近く積み上がっていた。ロボトも同じだけあるんだろう。その脇に5台ずつ積み上げたトラクの足回りがある。手付かずが6台ほど。


「屋根1枚持ってくよー」


 クロが親指を立てたねー。

 あたいは手近な屋根を持ってトラクの横へ跳んだ。


「ただいまー。あと6台だねー。屋根を1枚持って来たよー」

「おー、早いね。トラクに積みきれない材料は荷車作って()こっか。お日様発電はどこでも欲しがるし、貨物庫はもうパンパンだし」

「今日はゼリーを作ってみました。お茶をどうぞ」

「「おー、美味しそう」」


「ほら、シロルも見てよー。こんな可愛い飾り物が机の棚にいっぱいあるんだよー。どんな人たちがあの机を使ってたんだろーねー?」

「可愛いけど見慣れないものって売れるのかなー?」

「あたいはどれも欲しいって思ったけどなー」

「まあこの大きさならどこにでも飾れるから、

 リュックとか手提げとかから下げてみたいけど」

「あ、それいいー。あたいもリュックに下げるー。両側に一個ずつかなー。どれにしよー?」


「あはは、結構需要があるみたいだね。30シルとか安く売ってもいいね、小さいし」

「あたくし、普段持ち歩くものがないのが残念です」

「シロルに小さなバッグを作ってあげようか?」

「本当ですか?アリスさま。お願いいたします」

「どーだろ。シロルなら赤なんて似合うよねー?」


「うん。白と黒だから赤は映えるね。でも瞳に合わせて紫も捨てがたいかな?」

「じゃ、両方だねー。大きさはどーするー?赤は小さい方が可愛いよねー。紫も小さめの方がいいかー。どっちも強い色だからおっきいと喧嘩しそうー」


「あー。キラキラトカゲ、どうだろう?」

「えー?あれは派手だからねー。日が当たらないと黒だし」

「ええ、キラキラは遠慮します」

「そうかー。あれが似合うのはミットくらいだなー」


「あ。良いですね。ミット様なら大きめが似合います。あの鱗は硬いですから防具としても充分ですし」

「防具ってとこには()かれるねー。アリスも赤かなー?淡いピンクってのも良さそーだよねー」

「じゃあ、あたしがバッグを作るから、飾りを選んどいてよ」


 また3人で机の階へ跳んで階段を降りる。踊り場から正面に2メル半の廊下があって、30メル先で左右に分かれている。ドアが左右にふたつずつ。


 右の廊下を行って左のドアを開け灯りを(かざ)すと、手前にはボードが並び透明板で仕切られた小さめの部屋。テーブルに何か(くし)形の模様の入った板が並びその前に椅子が4つあるのが見えた。右端には大きな机があって赤い箱紐と赤いボードが載っていた。その脇に透明板のドアがある。

 透明板の向こうには丸いものが乗った柱が何本も見える。透明板のドアを押し開け、向こう側へ行くと柱の下は歩幅ほどもある円盤で、下に小さな車輪が付いていてスイスイ動く。丸く見えたのは(カメラ)のようだ。


 柱の向こうには見慣れない台やら色とりどりの衝立(ついたて)が並んでいた。天井には反射板の付いた灯りがいっぱい並んでいる。間隔がバラバラなところを見ると鉄の棒に沿って動くようだ。

 またよく分かんないものがあるねー。


 どの部屋も広さと奥の台や壁の飾り、衝立が違うだけであとは一緒みたいだ。そう思って右の二つ目のドアを開け中に入ると透明板の向こうに家があった。


 屋根も外壁もない()き出しの室内。天井は有って白い灯りだろうか、丸いものが貼り付いている。食堂らしいテーブルと椅子、その後ろ、低い間仕切りの向こうに台所。右手にやっぱり手前の壁がない廊下、奥に洒落(しゃれ)た洗面台。その突き当たりにドアがあるけどその奥はこっちから丸見えの寝室?

 なんだこりゃ?


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