死後の襲撃者
「ぷはぁ……!?」
ゴーストのボスと派手に心中した俺は蘇生碑石で復活し、大きく息を吐き出した。
はぁー……こ、怖かった、今度こそは本当にショック死するかと思ったよ。
……今も足の力入んねや……は、ははぁっ。
『架け橋』内部の冷たい鉄の床で、そんな具合で「さっすがに暫くは休みたいなぁ」と呆けていたのが……どうも俺はここWCOに来てから平穏無事というものとは縁が切れちまったらしい。
視線の先『架け橋』の入口付近から見覚えがあるような人影が近寄ってくる。
でもミーチェさん達ではない、どこでみたかな?
うーむ……あ、確か進化前の黒猪を滅多切りにしてた――
「お、いた……なァーッ!!」
シュ――――ッ!
「ッ!?」
―― と思い出したところで一閃。
惚けたいた俺にそのまま凶刃が……届くことはなく鼻先を掠めていった。
なんだなんだ、何でいきなり切り掛かってくるんだ! こいつに恨みを買った覚えはないぞ!?
……ていうか、あれ? 俺はまったく反応出来なかったはず何だけどなんで避けれた?
そういや勝手に身体が後ろに流れた気が……。
(ゴロゴロ!)
「イセット!? 何でここにッ! 爆発に巻き込まれたのか!?」
(ゴロゴロー!)
「は? 付いてきてただけ? お前それわざと爆発に飛び込んだってことか!」
いくら復活出来るようになってにしても、なんつー無茶な……いや、俺が言えた義理じゃないけどさ。
そう思って困惑していると、イセットが俺の服の端をきゅうっと握って密着して……僅か震えていた。
二度と一人で死なせない、見げてる目何百もある黒い複眼の粒からはそんな意志が感じれる気がした
「おいおい二人の世界入ってねーで、俺の拘束解いてくんね」
(ゴロゴロー!!)
「いけしゃあしゃあと……」
俺がイセットと二人だけ分かる意思疎通していると、いつの間にかイセットの糸でぐるぐる巻きされていた軽戦士の男が図々しくも軽口を叩く。
今の所拘束を解ける素振りはないが、油断しないため軽戦士の男をよく初めて近くでよく観察する。
光を映さない濁った目、色素が抜け落ちて爛れたような薄汚れた皮膚に所々肉の欠けた顔立ち……明らかに人間じゃない。
最も先に脳裏に浮かんだのはパンデミックホラーの代名詞ソンビだが、何処となく身から感じる生気に違和感を覚える。
ダイブマーカーがあるしプレイヤーなせいか? いや、それとは何か違うような……。
「まぁまぁ、いいねーか。さっきのはほんの挨拶だろ。そうかんかんとするなって」
「挨拶ぅー?? こっちはそれで復活してそばから死にかけたんだが?」
詫びどころか、悪びれもなく流そうとしてやがる。
ミーチェさん達来るまでほっとこかと思ったが、やっぱ一発入れたろうか……。
そう思って睨んでいたのだが、ふと糸が少しずつ やつの体に食い込んでいってのが目に入る。
まさか……。
「あ……っぶな!?」
「はっはー! いい反応ッ!」
(ゴロゴロ!)
どうやってか自力で糸の拘束を逃れて、また俺の首に掻っ切ろうとしたけど今度は流石に俺も躱す。
つっても、拘束が敗れる前兆を見逃してたら躱せたか怪しいぞこれ。
やっぱり半端ない剣速だ……空中を飛び回るイセットの翅+糸の斬撃を織り交ぜた戦法と激しい攻防をしているが全然遅れをとっていない。
間違いなくイセットが小回り効くはずなのに手数は互角か下手すると負けている。
長期戦にしたくはないタイプだな、じゃないとこっちがじわじわ削られる。
だからここはイセットが隙をついて……。
「……一撃で!」
「やっぱ、いいな! おめぇーら!!」
「―― 両者、止まれぇぇえッ!!!」
俺が2魔混ぜた拳撃を、軽戦士の男が超反応での刃のクロスカウンターを繰り出そうとしたタイミングで野太い声と共に現れた鈍色の障壁に遮らた。
タァ――――――ンッッ!!
「くぅッ!? いったぁーッ!?!」
「ッチ。いいとこだったのによ……邪魔すんなガンテツ!」
「ケッセン貴様こそ、身勝手に私闘を仕掛けるのをやめろと何度言えば……」
そのまま二人……ケッセンとガンテツが言い争いを始めたが俺はそれどころではなかった。
な、なんだ今の……無茶苦茶硬いし、痛い!? それに盾に拳が触れた瞬間一気に体にずっしりと重くなって動けなくなったぞ。
何なんだ一体、全身を『固定』オンにしたみたく全然動けない。これはもしかして、あの時に黒猪を抑え付けていたあのスキルか……ぐぐ。
「無駄だぞ、ガンテツの盾に捕まってる状態じゃな。ぎゃはは!」
「は? 何を……これしき!」
「んな!? だからやめろと……」
大人しくてしてればいいものを、戦闘の高揚が引かないままだったせいでケッセンの煽りについカチンと来てしまい、俺はここで対抗してしまった。
身動が取れないなら魔法だと思い、腹を押し出す形で『水魔法』を噴射し、束縛の盾から逃れる
吹っ飛んだ先には俺の行動を読んだイセットが既に待機しており糸でゆるり受け止める。
「サンキュー、イセット!」
(ゴロゴロ~)
「ひゃはは、やるぅー!」
「ええい、貴様も煽るな!」
当然のように俺に続いてガンテツの盾から抜け出したケッセン、それ察して見向きせず再度盾を構え直すガンテツ、そして両者を睨む俺とイセットコンビという三つ巴の状況が出来上がる。
俺たちとケッセンやる気満々、ガンテツも穏便に取り押さえるのをやめたとばかりに、俺たちの間に誰が先に火蓋を切るかと緊張が走って……
「やめ……」
「……なさい!!」
「ぐえっ!?」
「あっつ!?」
……たのだがガンテツがイブンの糸で火達磨に、ケッセンが忍び寄ったミーチェに寝技で取り押さえられ――
――現・『架け橋』下村の最高戦力との戦闘は、あえなく中断したのだった。
♢ ♦ ♢
……で、ゴースト群れとの戦場が落ち着いてここに俺たちを迎え来たミーチェとイブンの乱入によって呆気なく鎮圧された訳だが。
「ごめんなさいごめんなさい。ほんっっとにごめんなさい! ほら、ケッセンも頭下げてください!」
「ぐぐっ……首筋いてぇ。ミーチェちゃんちょいと加減! 折れる折れる」
「黙って下げててください、似非ゾンビっ!」
「ソンビじゃねぇ、俺はスケルトンから進化のグールって言っただろ」
「今そんなことを言ってるのでは……」
「……」
村組のミーチェとケッセンがこんな感じで喧しく言い合いし、ガンテツがそれを静観。
ミーチェは大変ご立腹なのか黒い猫尻尾がふしゃーって感じに膨らんでいる。
他所組のイブンと俺、イセットはそれをそわそわと見てるしかないという状態だ。
なおケッセンと何故かガンテツまで正座させられて俺は被害者ってことで何とかその場で周りに謝罪だけで済んだ。
「どうしよう。というかこれなんの状況? 私はアベルくんが襲わてるぽっかたから止めに入っただけだけど……」
あ、そっかミーチェがあの二人説教優先したからイブンは状況把握出来てないのか。
それならばとミーチェの説教をBGMに俺が復活した後に直ぐに襲撃されたのと、そこにガンテツが止めに割って入ったことを伝える
すると漸く合点がいったのか、そういうこと~と言ってぽんと手を鳴らすイブン。
「それは大変だったね……っていうか完全にリスキルじゃん」
「リスキル?」
「アベルくんみたいに死に戻ったプレイヤーを、リスポーン場所から待ち伏せるなりして殺す行為のことだよ。ぶっちゃけ悪質プレーの類いだね」
ああ、だからミーチェが必死にケッセンの頭下げさせてたのか。
いや、それならそれで何で一度ちらっとあっただけの俺にそんな迷惑行為をするんだ? 俺本当に知らないうちにケッセンに恨みでも買ったのか?
……と、色々気になることはあるけどいい加減に戦果報告ぐらいしないとな。
ゴースト群れとの戦後様子も気になるし、何よりこの後も予定が詰まっているのだ。
「ミーチェ、こっちに来てくれるか?」
「なんですかアベル、今この問題児のせいで忙しいですが」
「これ、無事に確保出来たみたいだから。メジャトに伝えといて」
「こんなに沢山……ありがとうございます、無理聞いてもらって」
「いや、いいって。イセットの……俺たちのためのことでもあるし」
「……~♪」
わざわざ言い直した俺を見て満足気に微笑んだイセットを連れて、『架け橋』の外へ向かう。
「もう行かれるので?」
「ああ、村の様子も軽く見てみたいし。早くメジャトのとこで今後の話してからゆっくりしたくもあるから」
「あ、私もついてく! まだ彼処の実験場回りきってないの」
「僕も同行したいですが、このバカの始末がありますので……。それとメジャトとこに行くのならマナクリスタルもアベルが直接渡してください。こっちはかなり掛かりそうなので」
「そっか……じゃあ一旦3人で村の外周回ってからメジャトの実験場に行こ!」
(ゴロゴロ~!)
「おお~!」
ここで少し報告。
この小説の設定置き場を作りました!まぁ、まだ大した内容はないですがそれは追々と書いてくってことで。次は1章のモンスターのステータスとか上げる予定です。




