削身の言を紡ぎて
結局更新ペース徐々に落ちて来てます……
もっと頻繁に更新したいんですけど中々に、どうしても集中力が続かないのです。
『魔力体』のデメリットを知った、その翌日。
前日に出来るだけ体力を確保するべく食べ物を腹に詰め込んで無理にぐっすり寝てから、現在俺はその体力を燃やし尽くす勢い森中を飛び回り血眼である場所を探していた。
「どこだ、どこにいるんだ……畜生ッ!!」
滞空時間の限界を迎え、一時地上へ降りるが直ぐ様力任せで『風魔法』を放ち森の上へ。
強風で骨が折れる音が聞こえるが、そんなもん知ったことかと雑に魔法で治し無理な飛翔を続ける。
ヒュ――――ンッ!!
「ぐっ!?」
「ヒョロロー」
森の木枝を掻き分け大きさが人頭ぐらいある、スズメの魔物らしき物体が飛び出してくる。
ギリで『索敵』で補足していたが完全に死角を突かれたことで防御が少しズレて嘴での攻撃が掠ってしまった。
何なんだ、こんな忙しい時にのこのこ出しゃばってきやがって……何だっていいから……。
「ヒョロローッ!」
「邪魔、すんじゃねー!!」
「ヒュロ~~ッ!?」
再度スズメ魔物が突撃して来るが、腹立たしげにを魔力任せで広範囲へ突風を起こし撃ち落とす。
仕留めたかどうだかの確認などしない、今はそんなのはどうでもいい。
そんな暇があるなら少し探索に割かないといけない、だから今は余計なものは全部無視だ。
そんな調子で飛んだり撃ったりの飛行探索を低い位置の太陽が中天にゆくまで探したが、広大な樹葉のカーペットが見えるだけでそれらしきものや手掛かり1つ無かった。
もうかなりの範囲を探したはずなのに、あまりの進展のなさに焦りばかり煽られる。
「くそ、鬱蒼とし過ぎてどこに何があるか遠くはさっぱり見通せない、こんなじゃ何日掛かるか……」
(ゴロゴロ……)
「イセットお前ももっと真面目に探してくれよ。お前の命が掛かったことなんだぞ!」
無駄にMPを使うのを控えさせたため、飛び回る俺の肩にしがみ付き、その上でゴロゴロと動き何事もないように顔を覗こんでくるイセットについ怒鳴ってしまう。
ああ、分かっている……イセットはそんなのとっくにわかっているんだ、怒るのなんてただ俺の八つ当たりでしかない。
それでも一度も火がついた怒りと焦燥に駆られ、口から荒く言葉を吐き出させる。
「今お前の体は火(MP)を使っただけでどこの導火線が点火するか不明な爆弾みたいなものなんだぞ、いつ死ぬか分かったもんじゃない! だから一刻も早く『架け橋』の蘇生碑石を見付けなきゃいけない。登録さえすれば最悪の場合でも復活出来る!」
もっと早く気が付くべきだった。
実際に『魔力体』という文面、そして研究者に聞かされたWCOでのMPの定義を関連付ければもっと早期に気付けたはずだ。
MPとは自身が所有する魔力の総量、だったら魔力で構成された体もMPに含まれる。
だからイセットはMPを消費する度に体も一緒に消費する、それが例え手であれ足であれ……心臓であれ、だ。
「もうそれしか生き残る方法はないんだぞ! なのに……」
この森林から逃げることも考えた、でも影の濃い地上は黒猪の領域、やつが自分の今後の脅威になりえる存在をみすみすと逃す訳がない
上空を飛んで逃げるのも試した、だが一定以上の高度に登ったら鳥型魔物に総攻撃喰らいおめおめと逃げ帰る羽目になっただけだった、地上は木々邪魔で来れないだけだったのだろう。
上も下も逃げ場はない、四面楚歌どころではない最悪の状態だ。
……いや、もしそれらがなかったとしても、どの道逃げるにも戦うにもイセットは身体(MP)を大量に削ることが大前提、そんなんで都合よくいつまでも生きて蘇生碑石まで辿り着く、なんてのは虫が良すぎる。
何れ死のルーレットの針は”ハズレ”に止まる。
法律で守られているプレイヤー以外が復活出来る保証はない、十中八九AIのアバターはゴブリンみたく幽霊にでもならなきゃ死ぬ。
イセットが助かるには誰にも見付からないよう匿うか、『架け橋』にある蘇生碑石まで行って登録を試すしかない。
「それなのに何で……もっと必死なってくれないんだ! 足掻こうとしないんだよ!!」
それなのに関わらず平然としているイセットにグツグツと更に怒り湧き出す。
「何で……」
これ以上喋ってはいけない、それがわかるのに込み上がるものがどうしても止まらない。
「何でこんなガラクタみてーな野郎のためにそこまでしようとするんだ!! そんな進化しなくても安定したやり方だってあったはずだ。 最初はともかく、途中から俺なんか見捨てて一人でだって生き残れた! そうすれば良かったんだ、どうせ俺は死んでもまた何処か生き返るから! なにのこんな、どうしよもなく使えないガラクタの、なにが……お前も、あの人達も……何だって、こんなやつを……うぅ」
「……ー」
そこまで捲し立てて声の勢いが無くなり、次第に涙ぐんでいく。
治れない俺を諦めず育ててくれた両親にも、必死に俺のため身を呈してまで尽くそうとするイセットにも、きっと酷い事を言っている。
それでも止めれなかった、激情にまかせて言葉も情けなく悔しくて溢れ出す涙も……止めどなく曝け出すしか出来なかった。
俺がもっとも感謝して報いたくて、愛する者たちは何故こんななんの約にも立たないくて、その場の感情で行動して人で有ることさえ捨ててしまったガラクタに身を削る思いをしてまで守ろうしてくれるのか。
それ分からなくて、嬉しい以上にとても辛くて……嗚咽が止めどなく溢れ出した。
「俺は何一つ報いることも、返すもことも出来ないのに……。」
そんな内心を知ってか知らずか、いつの間にか俺の顔前へと飛び立ったイセットは小さな手で頬に触れ、伝う水滴を拭い、俺を見詰める。
正面から増大な魔力が蠢き、風が揺れ頬の涙を攫う涼しい感触を感じた……その直後。
声が、吹き抜けた。
「そん、な……ことナい、よ」
「……え?」
「ワタシ、は……もウ、いっぱい。もラってる、カら」
壊れかけのラジオのような、ぎこちなくてだとだとしい、それでも意思だけははっきりとした言葉を紡ぐ。
「だかラ、こんど、ハ……ワタシの、ばん、なだケ。いツも、ありが、ト……だかラ、なか、ないデ……主、サマ」
「うぅ……うぐ、うわぁぁぁぁああぁあァ”……――」
その場に崩れて膝をつき自分の10分の1もない縋り付くようにして、恥も外聞もなく泣き叫んでしまった。
言葉に嘘偽りがなのはひと目で分かった、分かるしかなかった。
だった今の短い言葉を紡ぐためだけに、自分の左足と右の脇腹が消え掛かっていたのだから……。
だた泣いている俺を慰めるがためにそこまで命懸けての言を信じない訳がない。
ずっと、どこか不安だったんだと思う。
実はみんな俺のことなんて煩わしくて重荷に感じていて、さっさとどこかに消えて欲しいんじゃないかって。
無為に生きていた病院のVR空間から、ずっとそれが怖くて堪らなかった。
もう一生体が動かないと言われて、VR空間に籠もるしか出来なかったから、それを押し殺して生きるしかなかった。
だから、その”ありがと”聞いた時初めて、本当に自分が必要な人間だと……必要にされていたと認められた気がして。
それで安心とか感謝とかそれ以外も色々と混ざり合って、その分だけ大きく泣き崩れてしまったんだと思う。
……そうやって、色んな感情をほぐして流すように泣いて泣いて、泣き続けて……やっとこと泣き止んだ。
「……ー」
「ぐす……もう、大丈夫だよ。はは、思いっきり泣いたら何かスッキリした気がする」
「……~♪(ゴロゴロ!)」
「あはは! イセットやめ、はははっ。こーら、くすぐったいってば!」
涙や腫れだきっと相当酷い有様な顔で笑ってみせると、イセットも花が咲いたような活発な笑顔になり俺の体伝いにゴロゴロとし始める
じゃれ合いながらも、イセットの姿を見つめ自分の意思をはっきりと固める。
状況依然として好転していない、だが絶対に諦めない。
この子が自分をも差し置いても俺を助けるなら、代わりに俺が何としてでもこの子だけは守ってみせる。
―― 例え何を引き換えにしようとも、絶対に……。
うーん、思ったより1章が長引いている……どうしたこうなった?
……はい、作者が分量調節がダメダメだからですね。
分かっているんです、でもどうしても書きたいネタついつい書き過ぎてしまうんです!




