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肉体労働

 鉄筋工


コンビニで弁当を買いレジを待っていると、2人の男がレジを待っていた。

「こう忙しくては誰か欲しいよな」

「働く所がねえって言うのに俺たちのところには来ねえな」

二人の着ているものは、ニッカズボンと言われるものであった。

誠は建築関係とすぐに解った。

「仕事探しているんですが、自分では駄目でしょうか」

誠は自然と声が出た。

「まぁ誰でもいいってわけではねえが、やる気があればいいよ。鉄筋工って知ってるか」

「知ってます」

「経験あるのか」

「ないですが」

「現場はここだ、仕事着で来てみな」

一人の男がそう言った。紙切れに赤羽、T工務店マンション現場。

と書かれていた。

「宜しくお願いします」

「当てにしてるよ」

誠は自分の気持ちがはっきりとしたように感じた。

麗の部屋に戻ると、弁当を広げた。

自分以外のために気を使ったのは久しぶりであった。

「お湯を沸かしてから食べようか」

誠はコンロに火をつけた。

「少しここに置いてくれないかな」

「いいに決まってるよ。あなたくらいは養えるから」

「仕事することにしたから・・・」

「どんな」

「建築関係」

「外仕事か、これから寒くなるから大変だよ」

「寒いのには慣れているから」

「力仕事出来るの」

「頑張ってみる」



湯が沸くと麗が茶を入れてくれた。

その温かな茶を口に入れたときもう何年も麗とこうしているように思えた。

まだ麗の手を握った事も無いのに、愛を超えて夫婦の関係のように思えた。

何故妻を捨てたのに、妻に何の不満も無かったのに、ただ詩が書きたかったためなのに・・・

それら全部を捨ててまで麗に魅かれるのか。

麗はテレビのスイッチを入れた。

「何を見る」

そう言われてもテレビなどしばらく見ていない。

「なんでも、麗さんの好きにして」

「遠慮しないで」

いいながら麗は誠の方に体を寄せた。

煙草に火をつけた。人差し指と中指で挟み、誠の口に当てた。

「吸ってみない」

誠が断ると、麗は煙を誠の顔に当てた。

煙草の臭いがしたが嫌な臭いではなかった。

麗の方から唇を触れて来た。

酒の臭いと、たばこの臭いと、弁当の鮭の臭いが混ざっているようだったが、飾りのない麗の愛と感じられた。

誠は麗を引き寄せた。



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