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最弱ダンジョンを継承したので過剰防衛クラフト始めます  作者: 障子


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第1話:目覚めと消滅寸前のコア

異世界物も書き始めました。


「また今日も残業か……」


連日の外回りの疲労で霞む視界の中、冴島匠(さえじま たくみ)の頭の中に浮かんでいたのは、仕事の引き継ぎでも明日の予定でもなかった。


動画サイトで毎晩眺めていた、DIYや家具作りのチャンネルのことだ。

木材を削る心地よい音、自分の手で空間を劇的に作り替えていく爽快感。知識だけはプロ級に溜め込んできたが、休みのない社畜生活のせいで、一度も実践できずに30歳を迎えてしまった。


(一回でいいから、思いっきり自分の手で何かを作ってみたいなぁ……)


そんな事を考えながら横断歩道を渡っていると襲ってきたのは、激しい衝撃と金属の摩擦音。

そして、暗転。


◇


「……え……ねえ、起きてる……?」


耳元で響く、甘くしっとりとした声で意識が覚醒した。

目を開けると、そこは天井も壁も風化した灰色に包まれた、薄暗い石造りの小部屋だった。


そして目の前には——信じられないほどの美貌を持った女性が、儚げに体を横たえていた。


薄い絹のような布地越しでもわかる豊かな胸の起伏、しなやかな腰つき。しかし、その身体は薄っすらと半透明に透けており、今にも消えてしまいそうな儚さを纏っている。


「……ここ、は……? 俺、事故に遭って……」

「やっと気が付いたのね、外界の人間さん。ここはもう何百年も打ち捨てられた、滅びかけの廃ダンジョン……そして私は、その核(コア)の現身(化身)よ」


女性は苦しそうに胸を押さえながら、紫水晶のような瞳でタクミを見つめてきた。


「見たらわかるでしょ……? 私の魔力はもう底をつきかけているの。このままじゃ数時間もしないうちに、私は消滅して、このダンジョンも崩落するわ」

「消滅……!?」

「ねえ、あなた……私の『マスター』になってくれないかしら? あなたの魂には、まだ使われていない途方もない潜在魔力が眠っているの。あなたと契約できれば、私も……この場所も助かるわ」


消えかかる姿になお一層の艶っぽさを漂わせながら、彼女はタクミの手を両手で優しく包み込んだ。

ひんやりとした指先の感覚と、甘い香りが鼻腔をくすぐる。


「マスターになれば、このダンジョン内にある全ての物質、空間……その全てをあなたの思うがままに創り出し、作り替える権限が手に入るわ。あなたの望む世界を、ここで作ってみたくはない……?」


——全ての物質を、思うがままに創り出す。

——思う存分、モノづくりができる。


その言葉は、前世で何も残せずに死んだタクミの魂を激しく揺さぶった。


「やる……! 俺にできるなら、喜んでマスターになる!」

「ふふ、即答ね……可愛い男の子。じゃあ、契約の儀式を……」


コアの女性がタクミの首元に手を回し、至近距離で吐息を吹きかける。

唇が触れるか触れないかの距離で、彼女の胸元から眩い光が溢れ出した。


【ダンジョンマスター権限の確定】

【固有チートスキル『神級クラフト(創造・錬金・付与)』が解放されました】


頭の中に響く無機質なアナウンスとともに、タクミの全身から膨大な魔力が爆発的に噴き出した。


「ちょ!……なによこれ……!? 魂の魔力が、底なしじゃない……っ!?」


あまりの魔力量に、コアの女性が目を見開く。

タクミから溢れ出た光の濁流が、小部屋の石壁を駆け巡り、枯れ果てていたダンジョンコアへと怒涛の勢いで流れ込んでいった。


ヒビ割れていた核心の宝石が眩い輝きを取り戻し、ダンジョン全体が歓喜するように大きく振動する。


それと同時に、タクミの頭の中に無数の「設計図」と「錬金理論」が溢れ出してきた。

頭の中でイメージするだけで、岩石を金属に変え、木材を生み出し、あらゆる効果を付与できる絶対的な感覚。前世で蓄え続けたDIYとクラフトの知識が、最強のチート能力として完璧に噛み合った瞬間だった。


「これが……『神級クラフト』……! なんでも作れる、本当に何でも……!」


自分の掌を見つめ、思わず歓喜の笑みを漏らすタクミ。

すると、足元から甘い香りと共に、柔らかい感触がしがみついてきた。


「あはぁっ……んふ、もう……っ、いきなりそんな濃密な魔力を流し込まれたら……頭がどうにかなっちゃうかと思ったわ……♡」


透けていた身体は完全に実体化し、豊満なボディラインが露わになっている。

魔力を取り戻したコアお姉さんは、うっとりとした表情でタクミの腰に腕を回し、豊満な胸を押し当てて抱きついていた。


「すごいわ、タクミちゃん……こんなに身体の奥まで魔力で満たされたの、生まれて初めて……」

「きょ、距離が近くないですか!?」

「ふふ、何を照れているの? 命の恩人であり、私のマスターなんだから、これくらい当然でしょ?」


艶やかな笑みを浮かべたコアお姉さんは、タクミの首に腕を回すと、耳元で吐息を漏らしながら密着を深めてきた。


「さあ……最高のマスター。あなたのおかげで私は蘇ったわ。このダンジョンをどう変えていくか……あなたの『過剰』なまでの創生、見せてちょうだい……♡」

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