出会いは電気ショックとともに
魔王に転生してから一か月。
この世界にも慣れてきて居心地いい状態になってきたのではないかと思う。
「魔王様おはようございます!」
「はい、おはよう」
ゾンビたちが掃除をしながら挨拶をしてくる。
なんか先生みたいだね。
そうして私はいつもの訓練場へ向かった。
「本日は雷の魔法の基本となります」
骸骨姿の四天王、リッチーが先生となり魔法について教えてもらう。
ここでは私が生徒だ。
「今日もよろしくお願いします!」
頭を下げる。
リッチーには様々な魔法や常識、情報を教えてもらっている。
私もそうだが魔族の統制や城での業務もあるのでかなり忙しいと思う。
「では手本からお見せしましょう」
リッチーは右手を前に魔力を籠める。
「イメージしてください。形状は槍、黄色に輝く雷の姿を」
そうしてバチバチと鳴りながら右手に細長い槍が現れた。
「サンダーランスと言います」
「なんか怖いね…」
殺傷能力すごそうだ。
「いえ、実はそこまで脅威でもありません。実体はないですし小さくすればしびれる程度なので」
おや、見た目ほどやばい代物ではないのか。
「ではやってみましょう」
「うん」
右手を前に出して魔力を籠める。
「それでイメージか」
さっきのような細長い雷の槍を思い浮かべてみる。
そうするとリッチーが見たものより小さいがバチバチと同じような槍が右手に現れる。
「お見事です」
成功したらしい。
「ではあのゾンビの的に向かって投げてみましょう、普通の槍のように投げると飛んでいきますよ」
見るとゾンビがペイントされてある立て看板が見えた。
目を見開いて驚いている。
なんかやりづらい絵だね、まぁやるけど。
「じゃあ行くよ」
そうして私は大きく振りかぶる。
「貴様が新しい魔王か!探したぞ!」
訓練場の入口から声がする。
「えっ?」
「あ、いけません…!」
思わず振り返ってしまい雷の槍がそちらに飛んでいく。
「魔族を引っ張っていくのにふさわしい魔王か…ん?…ぐわあぁぁぁ!!」
「えぇ!?」
見るとイカの顔をしたいかつい魔族に雷の槍が刺さっていた。
「な、なにをする…!?これも…策略…か…」
その場に倒れて気絶するイカ顔の魔族。
「ご、ごめん!びっくりしちゃって!…って、この人誰?魔王城では見たことないけど」
リッチーに尋ねる。
「…海王殿です。魔境の海を支配している方です」
ため息をつきながら答える。
「ええ!?そんな偉い人を!一体誰が…いや私だ!」
パニックになる私。
「か…か…」
気絶中の海王。
「問題ありません、救護室に運んでおきましょう」
少し呆れているリッチー。
これが海王さんとの出会い。
よくやらかす海王さんだけど、始まりは私がやらかしていました。




