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復讐の飯~第2話~

夜中、重本夫婦の遺体が発見され、警察が駆り出された。その中には西蔵の姿があった。

西蔵は近くの男性警官に


西蔵「高田さんは?」


警官「あっ2階で物色されてましたよ」


西蔵「ありがとう」


そのまま2階に向かう西蔵。そこには本棚の本を読んでいる高田の姿があった。


西蔵「高田さん」


高田が本を閉じて


高田「難しすぎる」


西蔵「推理小説ですか?」


高田「違う恋愛小説。人の恋って全くわからない」


西蔵が困った顔で見る。


高田「何?」


西蔵「いえ」


高田と西蔵は1階に行く。1階では床に遺体を寝かせており、鑑識による調査を行っていた。

高田が遺体の上に敷いてあるシーツを取り、手を合わせて


高田「被害者は?」


西蔵「はい。1人目は重本卓夫さん59歳。建設業の重本工具の社長をしています。2人目は重本房江さん60歳。重本工具の会長をしています。2人とも夫婦ですね。卓夫さんは胸を撃たれ出血死。房江さんは頭を撃ち即死ですね」


高田「つまり、奥さんが旦那さんを殺して、自分で頭を撃ち自殺したってこと?」


西蔵「我々の見立てだとそう思っています。恐らく心中でしょ。何か気になる点でも」


高田「いや、特にはないわね」


西蔵「わかりました。運んじゃって」


西蔵の指示で警官が遺体を運んで行った。

高田も帰ろうとしたとき、何かに気付いた。テーブルの上に1枚の紙が置いてあった。それを取り上げて見始める。


西蔵「どうかしました?」


高田「うーん。少し気になるね」


西蔵「何がですか?」


高田「これ見て」


そう言い、西蔵の紙を渡す。

紙の内容は「クレーム店準備表」だった。表にはクレームを出す店や賠償金を要求する金額、それに済みのマークなどが書いてあった。


西蔵「なんだこれ」


高田「おそらくこの夫婦は、悪質なクレーマーだね」


西蔵「金額見る限り酷いですね。中には500万とかありますよ」


高田「おかしいと思わない?」


西蔵「はい?」


高田「よく紙を見て」


西蔵が紙をよく見る。日付を見ると昨日や今日のクレーム計画店の名前があったが、次の日や最高で2週間後の計画が書いてあった。


西蔵「あっ、2週間先まで計画してますね」


高田「おかしいでしょ?」


西蔵「はい?」


高田「まだ分からないの?」


西蔵「す、すいません」


高田「2週間も計画を立てている人間が、心中なんかする?」


西蔵「もしかしたら仲間割れかも」


高田が胸ポケットから2枚の紙を取り出して、西蔵に渡す。


西蔵「なんですかこれ」


高田「あなた遺体を見てないの?」


西蔵「えx」


高田「それを見たら分かるわ」


西蔵がその紙を見る。両方ともとある病院の診断書だった。

1枚目は失声症、2枚目は右手首の捻挫、どれも房江のものだった。

それを見て西蔵は驚きながら


西蔵「これどこにあったんですか?」


高田「2階の本棚があった部屋に置いてあった。テーブルの上に普通にね」


西蔵「それ持ってきたんですか?」


高田「処分されるよりかは良いでしょ」


西蔵「そうですけど」


高田「それを見てわかったでしょ?」


西蔵「えぇ、つまり奥さんは口がきけなかったと同時に、手を痛めていた。それも右手…」


西蔵が気づいた顔をした。高田が微笑みながら


高田「分かったでしょ?」


西蔵「自殺は出来ない」


高田「そう、奥さんは声を出せない、つまり仲間割れもする理由がない、そのクレーム計画の紙が示している。それに右手を痛めているから、当然銃は握れない」


西蔵「つまり殺人」


高田「そういうこと。ごめんちょっと2階行かせて」


西蔵「あっはい」


2人は2階にある卓夫の書斎に訪れた。西蔵は一体高田が何を考えてここに来たか分からなかったが、高田は引き出しを開けたりして、物色し始めた。


西蔵「何してるんですか?」


高田「うん?ちょっとね。あっあった」


高田が何枚の紙が束になったファイルを本棚から取り出した。


西蔵「なんですかそれ」


高田「見てみな?」


西蔵が高田と一緒にファイルの中身を見る。それは過去30年分の全国各地クレーム計画表だった。

内容は先ほど見たクレーム計画表の紙と一緒だった。

西蔵はあまりにも残酷な内容に驚きながら、怒りの顔をしながら


西蔵「許せない。それも30年前からですよ。人間として恥ずかしいですよ」


高田は何も言わずに、紙を1枚1枚見ていくと、気になる項目があった。

それは「稲場食品」2000万円確保済みと書いてあった。

高田は慌てた顔で


高田「西蔵君。例のクレーム計画表は持ってる?」


西蔵「あぁ持ってますよ」


胸ポケットからクレーム計画表の紙を出す。それを高田に渡す

西蔵は何のことかわからずに


西蔵「どうしたんですか?」


高田「これ見て」


1階にあった計画表を見ると、そこにはジャパンフード食品株式会社と書いてあり、そこに2000万要求・代表取締役社長・稲場健太郎と書いてあった。


西蔵「さっきの稲場食品の社長と名字が同じですね」


高田「それに要求額が同じ2000万。他の会社は最高でも500万なのに、この会社だけ破格の要求額」


西蔵「気になりますね。調査しますか?」


高田「そうね。私その会社に行くわ」




~第2話終わり~

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