第85話 AACAの強さ
道中で笛鳴まつりと稲鳴昂輝に出会った救出隊の3人は、
AACAのアジトの前に到着した。
「いかにも、って感じだね」
「千陽さん救出のタイミングは?」
「最後だな」
「全員暴れすぎ注意だね」
「だから、そういうのは敵にも言えって」
その時、アジトの扉が軋みながら開き始めた。
「来るぞ」
「"電撃爪 -辻-"」
扉が完全に開くや否や、昂輝が飛び出してきた。
「電気の能力者は、落ち着きがねぇな」
狐の面を着けた少年は昂輝の電撃爪を刀で受け止めた。
「狐!お前、美術館にいたらしいな」
「だったらなんだ」
「どうやって村井勇斗に勝った。教えろ」
「教える義理はない」
少年は昂輝を振り払うと、佑に言った、
「この中坊の相手してやれ」
「ちっ、隊長ぶりやがって。言われなくてもそのつもりだよ」
「誰が中坊だ!俺は高校生だ!」
「電撃小僧、お前の相手は俺がしてやるから我慢しろ」
「お前はさっきの氷の奴か。
まぁ、いいだろう。"電撃爪 -辻-"」
昂輝は標的を佑に変えると、正面から突っ込んだ。
しかし、2人の間を氷の壁が隔てた。
昂輝はすかさず壁の後ろへ回り込んだが、再び氷の壁が現れた。
「ざってぇな!"電撃拳"」
電撃を纏った拳が氷の壁を砕いたが、
(!)
壁の破片が服に触れるのを見た昂輝はすぐに後退した。
「どうやら勢いだけのバカじゃないんだな」
砕けた氷が地面に落ちると、その場所は一瞬凍りついた。
(あれは、厄介だな)
さらに距離をとった昂輝に光が集まり始める。
「"充電"」
(力を溜めてやがるな)
佑は昂輝に人差し指と中指を向けた、
「"氷結連弾"」
直径20cmほどの氷の玉が昂輝に向かって連続で発射される。
「95%」
昂輝は電気を両脚に集中させ、地面を蹴った。
そして、氷結連弾を潜り抜け、佑を攻撃の射程圏内に入れた。
(さっきより、はや―――)
「"電撃脚"」
昂輝の蹴りは佑の顔面を捕らえ、その勢いで吹き飛ばした。
「痛えじゃねぇか。直撃なら骨折れてんぞ」
佑は顔の左半分を覆っていた氷を解くと頬をさすった。
「捜査官じゃなくてがっかりしたが、訓練生もやるな」
「当り前だろ!俺らだって戦闘訓練してんだ。
お前らより真っ当に能力を使うためにな」
「良し悪しなんて知るかよ、俺だって目的のために強くなんだよ!!」
昂輝は膝を曲げ、再び地面を蹴る体勢になった、
「俺はお前を倒して強くなる。それだけだ!」
地面を蹴り、続けて両手に電撃爪を発動した。
「"氷の彫刻 洋刀"」
佑は襲い来る電撃爪を受け止めながら叫んだ、
「てめぇら!いつまでぼさっとしてる。さっさと行け!」
少年は面の下で少し笑みを浮かべるとアジトの中に入って行った。
「え、あ、つー君?何も言わなくていいの?」
「あぁ」
「あ、そうなの?じゃ、ゆー君、任せたよ」
彩も続いてアジトに入って行った。
アジトの中では笛鳴まつりが首を長くして2人を待っていた。
「あ!きたきた!おっそいよ~」
「?」
彩は目の前の少女を見てきょとんとした。そんな彩にまつりが訊ねた。
「ん?なに?私の顔に何か付いてる?」
「うんん、付いてないけど、、あなたがさっきの鳥の子?」
「そ!どう?すごかった?強かった?」
「うん、だから、思ったより子どもで驚いてるの」
「えっへん!まつりちゃんは普段から鳥型になって飛んでるから強くなっちゃいました!」
得意気に語るまつりに見向きもせず、少年は横を通り過ぎようとした。
「あ!ちょっと、そこの君!私とお話してかないの?」
少年は振り返ると一言言った、
「いい」
その淡白な答えはまつりの癪に障った。
「かっちーん、もう知らない!
あんたなんか、りなっちに負けちゃえ!べーっだ」
まつりは少年に向かって舌を出したが、また見向きもされなかった。
「ちょっと!なんなのよあいつ!」
「ご、ごめんね。慣れるまでちょっと、ね」
(たぶん、つー君はこういう子嫌いなんだよなぁ)
彩はとりあえず代わりに謝った。
「ふんっ、いいもん!」
まつりは両翼を広げ飛んだ、
「さ、私と遊んでね。"降り注ぐ火の粉"」
自分を目掛けて飛んで来る火の粉に彩は長大な筆を横に一線、
「"青い一線 -飛び鎌-"」
「なにそれ!飛んで来るの!?」
飛んでいく青い線は火の粉を打ち消すと階段の一部を抉り取った。
(あ、飛ばしすぎた)
彩の能力が階段を壊した音は3階を目指す少年にも届いていた。
(彩も案外めちゃくちゃやるんだよなぁ)
そして、AACAのリーダー凛奈が待つ広間の扉前に立った。
(さて、俺も)
少年は扉の取っ手を掴もうとしたが、手を引っ込め後ろに飛び退いた。
― ミシミシッ、、バキンッ ―
グランドピアノが扉を突き破って飛んできた。
(大層な挨拶だな)
特殊能力のある世界 第85話 ご覧いただきありがとうございます。
AACAのメンバー、昂輝とアルは高校生、まつりは中学生。
学年までは出してなかったはず、、、。
まぁ、そのあたりはおいおい、ね。
初期構想から変えたところもあり、本当に細かい設定がね(笑)
さて、次回の投稿は6/29(日)です。
1週間休みをいただきます。




