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第86話 謎の人物 能力


AACAアジト 3階 広間前

少年は飛んできたグランドピアノに刀で抵抗(ていこう)しようとしたが、

()ることができず、()(つぶ)されるギリギリで飛び乗った。


(触れたら止まる、ってわけではないか)

凛奈(りな)は少年が広間に入ってくると声を掛けた、

「いらっしゃい、正体不明の訓練生さん」

「訓練生ってことは分かってんだな」

「えぇ。捜査官を動かせなかったんでしょ?」

「まぁ、そんなところだな」

「で、4年生たち。特に、景山(かげやま)省吾(しょうご)のつてが()きやすい人が集められた」

「学年まで調査済みか。

千陽(ちはる)さんを拘束(こうそく)までして、機関(きかん)と取引でもしたいのか?」

「いいえ、不要な殺しはしないって決めてるだけ」

「過去の事件を見てもそんな感じはあるな。

銀行強盗(ごうとう)(じゅう)を持っていた(やつ)(しば)られた状態で見つかり、

球技大会の襲撃(しゅうげき)は機関にリークされて未然(みぜん)に防がれた」

「それが私たちのポリシーなの」

「目的は金稼(かねかせ)ぎか?」

「いいえ、違うわ。

()いて言えば、殺し。あなたが出会った2人もそのために強くなったのよ」

「結局、殺しかよ」

「あなた達とあまり変わらないわ。捜査官だって殺す気で戦うんでしょ?」

「返す言葉もねぇな。

かといって、お前たちを野放(のばな)しにはできねぇけど」

少年は凛奈に向かってくないを投げたが、それらはUターンして戻ってきた。

()れた物だけを操作できるわけではない、千陽さんが負けるわけだ)

「私に飛び道具なんて、能力聞いてないの?」

「忘れた」

()めてるのかしら?」

凛奈は18本のナイフで少年を取り囲んだ。

「、、、」

少年は刀からトンファーに(にぎ)り変えると、

ナイフが動き出すとほぼ同時に正面の3本を叩き落し、凛奈への接近を試みた。

しかし、残りの15本のナイフが背後から迫ってくる。

(追尾、軌道は自由なのか?)

「その15本、どうするの?」

少年はナイフの軌道から外れるようにバク(ちゅう)をしたが、

ナイフもそれに合わせて旋回(せんかい)した。

「いい動きね」

「"零の領域(アブソリュート・ゼロ)"」

目の前に迫っていたナイフは全て床に落ちた。

(無力化?)

凛奈が驚いていると、視界の端に振り下ろされるトンファーが映った。

(いや、今は使える)

凛奈はその一撃をしゃがんで避けると、後ろにある円卓を少年にぶつけた。

「ちっ、()ってぇな」

「無力化の能力なんて驚いたわ。感知といい、ダブルかしら?」

「さぁな」

「教えてくれないのね」

「敵に手の内を明かすわけねぇだろ」

「それもそうね」

凛奈が両手をクイッと上げるとそれに合わせて円卓が2つ宙に浮いた。

両手を合わせると、少年を(はさ)むように円卓同士が急接近し始める。

(連続は()けるか)

少年は円卓を避け、再び接近を試みるが今度はカーテンが少年を取り囲んだ。

カーテンは少年を(おお)い包むように迫ってくる。

()んでもどうにもならねぇか)

刀を抜くと、カーテンを突き刺し縦に切り裂いた。

「これでも使ってくれないのね」

接近戦を試みる少年対して、

凛奈は矢継(やつ)(ばや)にナイフや家具を飛ばしてその距離を詰めさせようとしない。

(らち)が明かねぇな)

途端(とたん)、凛奈が操作していた物が全て床に落ちた。

「ふ~ん」

指を動かしても、手を動かしてもさっきまでのように物を操ることができない。


「満足したか?」

「えぇ。確かに能力が使えない」

アルの着けているイヤホンから少年と凛奈の会話が流れる。

(訓練学校4年生、感知、無力化)

ハッキング中の訓練学校4年生の生徒名簿(めいぼ)に目を通すが、

[感知]、[無力化]を意味するような記述(きじゅつ)は見当たらない。

「凛奈、そんな能力者見当たらないよ」


(感知と無力化が主体ではない能力、若しくは、、、)

凛奈は床に落ちたナイフを拾った、

「あなた、一体何者かしら」

顔を目掛けて投げられたナイフは少年の一振りに弾かれる。

「調べさせてんだろ?」

「まぁね」

「どっちが速いかな」

「うちのハッカー舐めないでくれる?」

「舐めてはねぇよ。機関の研究者に気に入ってる奴いるしな」

「それは光栄ね」

「見つけたら連れてきてほしいって言われてんだけど、ここにはいな―――」


― ガシャン ―


階下(かいか)で何かが壊れる音がした直後、少年はその場を離れた。

すると、青い刃が床、そして天井を切り()いた。


「あ!やっちゃった。つーくん、ごめん」

床に開いた穴から彩の声が響いた。

「彩!暴れすぎ注意って言ったの自分だろ」

「ごめんってば」

「広間を他の部屋と繋げやがって」


少年は溜息をつくと、凛奈に向き直った。

「この状況、俺が不利だよな」

「えぇ、そうね」

凛奈の手の動きに合わせて階下にあった家具が3階に上がってきた。


(かなり()を使わないとまずいな)

少年が深呼吸をすると、家具の浮遊(ふゆう)が一瞬不安定になった。

(なに?今の)

アジトの1階ではまつりの炎が消え、彩が顔をしかめた。

(あー、嫌だなぁ。この流れ)


外では昂輝と佑がアジトの方を向いた。

「おい、何だ今の」

「お前んとこのリーダーが強かった証拠(しょうこ)だ」

特殊能力のある世界 第86話 ご覧いただきありがとうございます。


けーっきょく、設定の整理もできず、

良い表現も見つけれず、今日を迎えてしまいました。

話のストックが欲しい!のに、スプラ3が再燃してしまいました。

デンタルワイパー ミントを使ってます(笑)


次回の投稿は7/6(日)です。

今年も半分が終わりましたね、早い!

暑くなりますので体調に気を付けてお過ごしください。


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