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第81話 早咲きの二輪目と成熟した大樹


駿(しゅん)たちが始めたドッヂボールは、

和華(わか)の能力と結奈(ゆな)の能力により膠着(こうちゃく)状態が続いていた。


「"花の装飾(ブルームデコ) 向日葵(サンフラワー)"!」

「"糸の網(スレッド・ネット)"」


「外野、ひーまー」

ここ数分ボールが回ってこない拓也(たくや)は座り込んでいた。

「お前がすぐ当たるからだろ!

でも、確かに退屈(たいくつ)ではあるな」

「じゃあさ、こうしようぜ!ちょっとタイム」

慎悟(しんご)は両手でTの字を作ると倉庫に走って行った。

そして、ボールを1球(かか)えて戻ってきた。

「たしか、球技大会では2球だろ?

まぁ、外野の復活もないけど」

「俺戻れなくなった!?」

「2球ならまだゲームになりそうだな」

「それぞれ1球ずつ持って、っと」

慎悟は持ってきたボールを(こう)に渡すとすぐその場を離れた。


「よし!タイム解除!」

ボールが2球になったことでゲーム性が出るが、乱戦にもなった。

「うぉっ、危ね」

「あ!駿、今の当たってたでしょ」

「あたってねぇよ!うまくよけ―――」

そこに拓也が投げたボールが直撃する。

「よし!」

「ってぇ、拓也このやろぉ」

「そろそろ能力使うの疲れたかも」

「和華ちゃん休んでていいよ、私はまだ使えるから」

洸たちの内野に雪の柱が2本出現した。

沙雪(さゆき)さんがその気なら、私だって」

波溜(はる)の投げたボールが()(えが)いて、柱に(かく)れた(よう)(ねら)ったがボールは()られた。

その瞬間を拓也が外野から狙うが、これは洸に捕られた。

「おい、陽。あれやるぞ」

「あれって何?」

「あれだよ、あれ!とりあえず、慎悟に向かって投げろ」

「え、うん。わかった」

「お?赤城(あかぎ)兄弟(きょうだい)、俺とやる気か?

他の(やつ)手出(てぇだ)すんじゃねぇぞ」

「はいはい」

「わかりましたよー」

弟の陽は何のことかわかってないが言われた通り慎悟に向かって投げた。

「1球もーらいっ」

捕球体勢(ほきゅうたいせい)になった慎悟を見て洸が続けざまにボールを投げた。

「げっ」

慎悟の手前でぶつかったボールは1球が慎悟の脚に当たり、

もう1球は外野に出た。

「うーっし、参ったか!」

「すげぇ、洸さん!狙ったんすか?」

駿がボールを拾いながら興奮気味(こうふんぎみ)()いた。

「当り前だろ」


「まぐれね」

「少しでもずれてたら、明後日の方向に飛ぶんだから」

「それでも成功させるのが、洸っぽいよね」

(うみ)たち3人は相変わらずドライだ。

「波溜、ちょっと、、、」

結奈はボールを拾った駿を見て波溜に耳打ちした。

「ん~、良い作戦かも」

波溜はコート内のボールを拾うと投げた。

そして、その瞬間を狙って駿が波溜に向かってボールを投げた。

(掛かった!)

波溜は投げたボールを真上に曲げ、落ちてきたボールを再びキャッチ、

駿が投げたボールは結奈の"糸の網"の中に納まっている。

「あ゛!」

「何やってんだ、駿!」

「いけると思ったんですけどね」

「全然だめじゃねぇか、あいつまだピンピンしてんだぞ」

「さーせん!!」

「2球とも相手に渡ったじゃねぇか」

駿がペコペコしている横で、結奈はボールを外野の慎悟に渡した。

「さっきのお返しだ!」

慎悟の投げたボールは陽を外野に出したが、

洸はそのボールをすぐに拾い、海を目掛(めが)けて投げた。

「"糸の網(スレッド・ネット)-(ウォール)-"」

洸のカウンターは結奈の能力に(はば)まれた。

「くそっ、あいつ」

「慎悟さん、ボール」

波溜が外野に向かってボールを投げた。

「させるか!」

洸が飛びついたが、ここまでが結奈の作戦。

ボールの軌道(きどう)を変え、洸からアウトを取った。

「ちっ、」

「これで、相手の内野は和華と沙雪さんのみね」


和華と沙雪は雪の柱に身を隠しているが、

波溜が軌道を曲げたボールが和華に飛んで来る。

「"花の装飾 向日葵"」

和華はボールを跳ね上げたが、その背後にもう1球が迫っていた。

「"花の装飾 "」

振り返りざまに能力を発動しようとしたが、

和華の目の前には1mくらいのチューリップらしき(つぼみ)が現れた。

「え?なにこれ」

ボールがぶつかったことで蕾は回転し、ステージの方を向いた。

「それなに?」

「わかんない、違うの出てきちゃった」

「それも防御技か?」

「う~ん?」

興味を持った洸がその蕾を軽く叩いてみた。

「これ、(かた)いぞ。全然(ぜんっぜん)跳ねねぇ」

すると、蕾が徐々に開き、中から砲身(ほうしん)()び始めた。

「こ、これって、、、」

「「「大砲(たいほう)じゃん!」」」

(あせ)る女子と目を(かがや)かせる男子。

「ちょ、早く解除しなさいよ」

「ムリムリムリ、わかんないよ」

「これ本当に()てんのか?」

「お前、さすがに近づきすぎだろ」

洸が砲身を(のぞ)()むと、(おく)が光り始めた。

「げ、やべぇ!全員離れろ!」


「なんだ!何の(さわ)ぎだ!」

ステージ(そで)にある音響室(おんきょうしつ)から植木(うえき)先生が出てきた。

「お?なんだ?大砲か!

、、、って、大砲!?誰の能力だ!」

その瞬間、砲撃(ほうげき)が放たれた。

「先生、逃げて!」

「逃げるには及ばん」

植木先生は砲撃の軌道に入り、中腰(ちゅうごし)(かま)えた。

「"大樹造形(たいじゅぞうけい)-剛腕(ごうわん)"」

両腕からいくつもの木材が生えはじめ、

先生の両腕を包み込むと、巨人の様な腕を()した。


「なんじゃありゃ!」

「先生の能力、あんなのだったのか」


植木先生はその両手で砲撃を包むと(にぎ)りつぶした。

特殊能力のある世界 第81話 ご覧いただきありがとうございます。


やっぱり、波溜の能力はドッヂボールにおいて強い!

そして、男子は大砲とか好きですよね?ね?

和華の能力は「花×装備」です。

そんなことより、植木先生ですね。体育教師だし、パワー系です!


次回の投稿は、5/25(日)です。


登場人物が互いに何て呼びあってたのか、

そろそろ整理しないといけないなぁ、、、

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