イベント告知(スノーフレーク)
『告げる。只今この時より八十時間後、ファンタリア王国より東にある草原にて流星群が発生する。近隣諸国の者は至急準備し対策せよ。また、此度の流星群は複数個所で同時発生するため、魔人の戦力もそれに伴い各所に割り振る事となる』
うわっ、告知角眼鏡じゃない。
こっちに来てまでイベント発生とかいらないんだけど勘弁してよ。
あの悪役令嬢が邪魔するせいで攻略がうまくいかないから、私の肉盾になるやつもいないし、パスよパス。
大体、私のレベルってまだ1なのよ?
ファーストステージで即死じゃない、やってらんないわ。
退屈な授業を受けているときに脳内に突然イメージ映像つきの声が聞こえてきて、ゲームの時もメンテ後はこんな感じの告知だったなと思い出しながらペンをつまらなさそうに動かしていると、周囲の奴らがざわつき始める。
「流星群とか、何十年前の話だよ」
「なんで私達の代で発生するの? やだ、怖いっ」
「な、なあ。ここで活躍したらさ、俺らへの偏見も変わるんじゃね?」
「ばか! 俺らみたいなHクラスの人族に何が出来るってんだよ。死にに行くようなもんじゃねーか」
「そうよっ、騎士団や魔法師団に任せた方がいいわよ」
「で、でも後方支援ぐらいなら出来るんじゃない? 食事係とか」
「少しでも好印象になるようにしないと、確かに俺らってやばいよな」
うるさいわね。勝手にすればいいじゃない。
他の奴らと一緒じゃないと行動出来ないとか、いつまでおこちゃまなんでちゅかーってね。
でも、好印象ね。
確かにイベントに一緒に連れて行く攻略対象の好感度が上がるっていう効果があったわね。
えっと、パーティーはヒロインを入れて六人までだったからホスタとカクタス、バーベナと定期的に声をかけてあげてるクンシランって奴とあと一人誰にしよう?
この私が声をかけてあげるんだから断る奴なんて居ないだろうけど、出来るなら使える奴がいいわよね。
どうせ本命はホスタだし、適当な攻略対象者でいいか。
「静かに。流星群については国から正式に対策の通達がある。くれぐれも勝手に動かないように。いつも流星群対策にあたっている魔人の数が少ないとなれば、私達人族もいつも以上に働かなければいけない可能性が高い。それを踏まえて、国からの指示に従うように。本日の授業はこれで終了とする。流星群発生まで学園は休校だ」
はあ? 休校になったらホスタ達に会えないじゃない。
ったく、今日中にパーティーに誘えってことね。
授業が無くなったから教室を出てまっすぐにSクラスに向かう。
この間は悪役令嬢のせいでなんかホスタ達が私に対してひどい対応をしたけど、ヒロインの私がイベントに誘ってあげるんだからありがたく思ってほしいわ。
Sクラスに向かう途中、バタバタと廊下を走っていく生徒もいて、ぶつかりそうになってイラついたけどなんだってのよ。
あ、もしかして流星群が怖くて夜逃げしようとしてたり?
ププー、情弱乙! 流星群なんてマンネリイベント如きに怖気づくとかばかくさー。
あんなの適当にボタン押してればいいだけだっての。
なんか総合ノルマとかあるらしいけど、未達成とかなったことないし、時間がたてば終わるんだから何焦ってんだか。
ランキング上位の奴らとかは必死だったっぽいけど、惰性のイベントに必死とかまじで草。
あのなんとかっていうランカーだかいうやつの放送も、結局はリスナーとしゃべってたし、その程度で上位に行けるレベルのイベントなんだし努力だの課金だの無駄なんだよね。
私ってやっぱり賢いからそういうのはわかっちゃうのよ。
Sクラスに到着すると二・三人しかいなくてホスタ達がいないんだけど。
「あの、ホスタ様たちはもう帰ってしまいましたか?」
クラスに入って残ってる生徒に声をかけるとものすごく顔をしかめられたけど「当たり前だろう」と返された。
なんで当たり前なわけ?
普通、ヒロインである私がパーティーに誘うのを待ってるべきでしょ。
「それにしても、流星群って普通なら騎士団と魔法師団の第三師団が対策に出るって言うけど、今回は魔人があんまり手伝ってくれないんだろう? 大丈夫なのかよ」
「だからホスタ殿下たちが慌てて帰ったんだろう。今頃王宮で対策会議始まっているんじゃないか?」
「いや、流石にまだ王宮には到着してないって」
「前回っていうか、何十年前かの流星群で活躍した平民が貴族になったんだよな」
「そうそう。英雄だとか聖女って称えられて」
「それよ!」
「は!?」
なんで気が付かなかったのかしら。
魔物の襲撃イベントで活躍してヒロインが聖女になるとかまさに異世界転生物のお約束じゃない!
ヌルゲーで活躍するなんて朝飯前だし、この私が本気を出したらあっというまに聖女になれるわ。
「そうと決まったら早速王宮に行かなくちゃ」
鼻歌交じりにSクラスを出て乗合馬車の方に歩いていく。
本当なら向こうから聖女になってくれって頼むべきだけど、私って優しいから今回は特別に私から聖女に立候補してあげるわ。
あー、私って本当に優しい。




