表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/119

学園生活5

「噂に関しては、もちろん広めた人も悪いですけど、ブルーローズ様だったら簡単に否定出来たのにしなかったじゃないですか」

「だって、面倒なんですもの。それに、伯父様だって噂を信じるかどうかで若者の能力判定が出来るから放置してもいいとおっしゃいましたわ。わたくしといたしましても、噂のおかげで余計な塵が近寄ってこなかったので楽でございました」

「噂を積極的に広めていたのって、ブルーローズ様に憧れていたけど相手にされない子息の八つ当たりだったり、自分と比較して嫉妬した令嬢の行動だったじゃないですか」

「そうですわね。それがなにか?」

「もう少し周囲に優しい言葉の一つでもかけてあげれば、ここまで噂は酷くならなかったと思いますよ」


 ベロニカ様の言葉に、わたくしは呆れたような視線をベロニカ様に向けてしまいましたわ。


「本当に能力のあるかたは、真実を見ていらっしゃいますわ」

「あー、それを言われると否定出来ないですね」


 わたくしが親しくしているご令嬢も、それ以外の貴族の方々もちゃんと状況把握をなさった上でわたくしと接してくださっておりますわ。

 もっとも、攻略対象や準攻略対象とは関わり合いになりたくないのでぜひとも相手側から距離を取っていただきたいのですけれどもね。

 カクタス様のようにあの噂に踊らされている貴族の子息令嬢は多いのですが、その中でもちゃんとわたくしの家の事情を確認して噂に興じている方々を呆れた目で見ている子息令嬢もいますの。

 そういった方々とは親しくさせていただいておりますわ。


「そういえば、カクタス様は随分スノーフレークさんと親しくしていらっしゃるようですし、わたくしが何を言っても信じないのでしょうね。だって、わたくしは冷血で性格が悪いのでしょう?」

「あ……」

「あらあら、陰口は言えますのに本人に向かっては言えませんの? 遠回しの嫌味一つも言えないなんて、本当に貴族子息でして?」

「その、あ、エッシャル女大公様は、その……」


 そう言ってカクタス様は何かを考えるように視線を巡らせまして、決意したようにわたくしを見ました。


「エッシャル女大公様は、ご自分から歩み寄ると言う事をなさらず、他者を見下すような行動が目に余ります。そのような方が王族であると言う事は大変嘆かわしく、臣下の一人としてご忠言を申し上げていたまでにございます」

「ご忠言? 少なくともわたくしにそのようなものを貴方がおっしゃった事は今までございませんでしたわよね? 他の方に忠言していたとおっしゃるには、随分と一方的でご自分に都合のいい忠言ですわね。それは陰口と何が違うのでしょうか? ふふ、カクタス様は座学のランクに関しても問題があるようでございますわね」

「それは、貴女がオレを相手にしてくれなかったからで」

「まさかとは思いますが、侯爵子息であればわたくしに相手にしてもらえて当然だとでも思っていらっしゃいますの? その自信はどこからくるのでしょう? 貴方が振りかざしているものは貴方の持ち物ではなく、貴方のご両親の地位でしかございませんの。貴方がわたくしに対して何か誇れるような成果や誠意がございまして?」

「オレだって、努力をして」

「努力をするのは当たり前ではございませんこと? だって貴方は今の所オズウィン侯爵家を継ぐおつもりなのでしょう? それなのにその程度の能力で努力を怠ったら、本当に弟君に家督をお譲りになる事をお勧めいたしますわ。貴族として権力を振りかざして、利益をむさぼって義務を怠る無能はお国の為になりませんもの」


 とどめとばかりににっこりと微笑んでそう言うと、なぜかカクタス様は頬を赤らめて口を開けてわたくしを凝視なさっております。


「ブルーローズ様、その微笑みは私の想像が当たっているのなら逆効果です」


 ベロニカ様の言葉に首を傾げましたが、「エッシャル女大公様!」とカクタス様が大声を出しましたので視線を戻しました。


「オレは、エッシャル女大公様の婚約者候補です」

「思い上がりもそこまで行きますと逆に感心すら覚えてしまうような気もいたしますが、本当に愚かしいですわね」

「ぜひ、お手合わせをお願いします」


 そう言ってわたくしをじっと見てくるカクタス様に、何がどうしてそのような結論に至ったのかわからず、わたくしが訝し気な視線を向けておりますと、カクタス様は頭を深く下げていらっしゃいました。


「オレは、未だに貴女が冷血で善良な性格ではないのだと思えてなりません。だからこそ、剣を交えてその人となりを確かめさせていただきたいのです」

「そうですの。お断りですわ」

「な……」

「剣を交えて人となりを確かめたい? 貴方程度の能力値でそのような判断が出来ますの? 無理ですわよね。出来もしないことをおっしゃるなんて、責任を他人に丸投げして好き放題していることと同じですわ」


 そう言ってわたくしはカクタス様の目の前に移動して扇子を軽く振るいました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ