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学園生活1

「ホスタ様~、ここに座ってもいいですか?」


 隣のテーブル付近から聞こえて来た声に、同じテーブルで昼食を頂いていたご令嬢達の動きが一瞬止まってしまいました。

 すぐに何事もなかったように手と口を動かしましたけれど、ここ最近ホスタ様の周囲をスノーフレークさんがチョロチョロとしておりますし、すっかり定位置になった席ではありますが、面倒事に巻き込まれないように変えた方がいいかもしれませんわ。


「ホスタ殿も大変だよねぇ」

「わたくしといたしましては、たまに当たり前のようにネリネ様がこのテーブル席にお座りになる事もご遠慮いただきたいですわ。いつものようにクラスメイトのお友達と召し上がればよろしいのに」


 わたくしの隣に平然と座って、令嬢達の会話にたまに相槌を打つ程度にしか参加しないネリネ様は本当に何を考えているのでしょうか。


「まあまあ。俺の留学目的に両国の友好を深めるって言うのがあるわけだしさ」

「それでしたらぜひホスタ様との友好を深めてくださいませ」

「誰と仲良くするかは俺が決めるよ」

「そうですの。わたくしとの友好を深めたいというお心は伝わりましたが、わたくしはネリネ様と友好を深めたいとは思っておりませんの」

「んー、でもこの学園で教師以外で俺の論文についてこれる人いないし」

「ではぜひとも教師との友好を深めてはいかがでしょうか? 幸いなことに魔法師団の第二師団の方が非常勤講師としていらっしゃっておりますので、お話も弾むのではございませんこと?」

「あの人とは研究テーマが違うんだよね」

「それは残念でございましたわね。王宮の客室にご滞在なさっているのですし、伯父様にお願いして第二師団内で同じ研究をなさっている方をご紹介していただけばよろしいではございませんか。何かにつけてこのように付きまとわれるのはわたくしの望むところではございませんの」


 わたくしの言葉にネリネ様は「まあ、こっちも色々あるし」といつもの言い訳をなさって食事を続けていらっしゃいます。

 はあ、リリース当初からの攻略対象者なだけあって、教職員にも生徒にも受けがいいのが面倒ですわ。

 立場も影響しているのでしょうが、多少強引に混ざって来ても、少々困ったような仕草はするものの、明確に拒絶する方はおりませんものね。


「ブルーローズ様、今日の放課後は訓練場にお付き合いくださいますか?」

「どちらの訓練場でして?」

「あ、剣術の訓練場です」

「よろしいですわよ。……けれども、四日後の定期テストでの武術項目は体術でしたわよね。テスト勉強なのでしたら体術訓練場の方がよろしいのではございません? ベロニカ様は体術よりも剣術の方が得意でいらっしゃいますし」

「そこなんです。実際にダンジョンに出て戦闘をすると、一つの項目だけを使って戦うわけじゃないので、複合術で戦いますよね。でも、学園では単独での授業ばかり。その点、ブルーローズ様とでしたら複合術での訓練も出来ると思ったんです」

「そういうことですのね。わたくしを練習台に使用したいなんて、ベロニカ様は本当に遠慮という言葉をご存じないようですわ」

「遠慮はしませんが、わきまえてはいますよ」

「そうでしょうね」


 その程度の事が出来ない方にわたくしの名前を呼ぶことを許すわけがございませんもの。


「ベロニカ様は武術の方が気になっているんですね、私は建国史が少々不安です。今までの家庭教師の解釈と学園の教師の解釈が違うものですから」

「私は美術科目がどうにも。音楽の方はいいのですが、絵画の印象表現発表が苦手です」

「どちらもまだ解釈違いという救済措置がありますよ。その点、私が苦手な古典文学は救済措置が殆どなくて」


 一緒にお昼を食べているご令嬢達がため息交じりにおっしゃいますが、それでもAクラスなのですし、能力値もそこまで低いわけではありませんので問題はないと思いますのよね。

 魔法ランクや武術系のランクはともかくとして、ですけれども。

 令嬢が魔法や武術、と思う人も多くいらっしゃるようなのですが、高貴な令嬢であれば護身術は必須科目ですわ。

 いつ暴漢に襲われるかわかったものではございませんもの。

 既成事実を作ってあわよくば婚約に持ち込む、でしたらまだましな部類で、中には手当たり次第に手を出す低能な下半身に忠実なゴミ屑もいますものね。

 逆を言えば、責任を取ってもらうという形で既成事実を作ろうとする令嬢もいますので子息にも基本的には護身術は必要ですわね。

 あとは王侯貴族のたしなみとして薬物に対する耐性でしょうか。


「どれも人によって解釈や表現が変わってくるものでございますし、一概に正解がないだけにわたくしもアドバイスはあまり出来ませんわね」

「いえいえ、ブルーローズ様には十分にアドバイスを頂いています」

「「そうですよ」」


 令嬢達がコクコクと頷いていると、その様子を見ていたネリネ様が肩を竦めます。


「その優しさ、他の奴にも見せれば印象がガラッと変わると思うんだけどな」


 そんな事をして攻略対象や準攻略対象、挙句にヒロインであるスノーフレークさんに関わることになったらどうしてくれますの。

 ただでさえ意味不明な好感度上昇がございますのに、これ以上面倒事に関わるつもりはございませんのよ。

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