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絶対攻略不可の人気No1キャラはチート悪役令嬢のお手付きですわ【青薔薇の蕾編】★  作者: 茄子
第四章 動き出す人間関係

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学園生活2(ホスタ)

「もう授業内容が難しくって。前回のテストも結果がよくなかったから、先生に追加課題を出されてしまったのに、今度のテストも同じだったらどうしようって不安なんです」

「僕はHクラスの授業内容は知らないからアドバイスは出来ないな」

「そうだな、そもそもオレ達と選択科目も被らないだろう。ああ、でも上級使用人、もっといえば執事を目指す者なら経営学とか情報収取学とか心理学なんかは必要だけど。エウヘニア嬢は女性だし平民だから上級使用人になるのも難しいな」

「使用人なんて、私、そんなものにはなれません」


 悲しそうな声でそう言いながらも、食事をする手を止めないエウヘニア嬢をチラリと見て、以前一度だけ別に誰がどこに座るかは決まっていないと言わなければよかったと後悔してしまう。

 あれから頻繁にこうして同席を求めてくるエウヘニア嬢は悪い意味で目立っているし、わたし達以外の貴族子息にも声をかけているようで平民の黒制服は身の程もわきまえない愚か者の集まりなのだと、他の黒制服の平民にまで風評被害が広まってしまっている。

 ただでさえ、実力主義前提とはいえ身分制度があって貴族と平民には壁があるのに。


「でもさ、エッシャル女大公様が公共事業で平民の子供向けに無料で通える学校を作ったから平民の能力の平均は上がっているんじゃないのか?」

「あれって、十歳から十二歳向けだろう? しかも基本的には読み書きや算術、初級の魔法や武術訓練を教えるだけだそうじゃないか。その程度の物はこの学園に通う生徒なら習得していて当たり前なんだし、意味あるのか?」

「確かにな。ああ、でもどっちにしろ年齢的にエウヘニア嬢には関係ないか。出来た時には通学年齢から外れているし」


 その学校が出来るまで、平民の多くはその基本的な事をちゃんと教わる機会すらなかったのだが、二人は高位貴族だし当たり前のように物心つく頃には家庭教師がつけられて教えられていたからな。

 王都に出るたびに、王族への平民の好感度が上がっていくのを感じてブルーローズ嬢のしていることに比べてわたしのしていることがちっぽけだと思い知らされてしまう。

 わたしがやっていることと言えば、騎士団の第二師団と一緒に王都を回って治安が悪くなっている場所を少なくしようとしたり、あまりにも運営状況の悪い孤児院を発見して管理している貴族に忠告をしたりするぐらいだ。

 兄上からは犯罪の温床になっていたところを発見出来たと褒めてもらったこともあるが、それも貴族が関わっていることが多いのだから、褒められても素直に喜ぶことも出来ない。


「エウヘニア嬢だって、エッシャル女大公様に追い出されるまで大公家に居たんだし、基本的な知識や技術は身についているんだろう?」

「そ、それは……。簡単なものでしたら」


 簡単な物しか身についていないからHクラスなんだろうな。

 長年エッシャル大公家に居たのだったら、その気になればいくらでも学ぶことは出来ただろうに。


「学園には図書館もあるし、訓練場もあるし、希望すれば補講だって受けられるんだしテストの成績が心配だったら活用すればいいんじゃないか?」

「えっと……。よければ、一緒に図書館で勉強しませんか?」


 エウヘニア嬢の言葉にバーベナとカクタスが「え?」と困ったような声を上げる。


「Sクラスの三人に教えてもらえたら、きっとわかりやすいかなって」


 さりげなくわたしも巻き込まれているな。

 丁度食事を終えたところでカトラリーを食器の上に置いて皿の並んだトレイを持って立ち上がる。


「申し訳ないが、わたしにも予定があるし個人的に君に何かを教えることは出来ない。とはいえ、二人がどうするかまではそれぞれが決めればいいと思っているよ」

「でも、折角だから仲良くなりたいですし」

「気持ちだけもらっておくよ。それに、勉強をするのならクラスメイトとするのもいいんじゃないかな」


 そう言ってさっさとテーブルから離れて返却口にトレイを置くと食堂を出る。

 食堂の中を移動する際に向けられた申し訳なさそうな視線を思い返して、このままではいけないと思いつつもどう動くことが一番事を荒立てずに対処することが出来るのか思い浮かばない。

 エウヘニア嬢がわたし達や他の貴族子息に無闇に接触しないようにすればいいのだと言う事はわかるのだが、かといってそれとなく諭してもわかってくれる気配はない。

 貴族子息に彼女に関わらないように言い伝えるのは簡単だが、王族であるわたしがたった一人の平民の娘をそのように扱えと言ったと広まれば平民もそれに倣って彼女を避けてしまい、彼女の周囲には人が居なくなってしまうだろう。

 エウヘニア嬢は未だにブルーローズ嬢を姉と呼んでいるし、貴族の子息には両親が亡くなってブルーローズ嬢にひどいことをされたと訴えている。

 平民の間ではエウヘニア嬢の境遇は正しく認識されているのに、貴族の多くは彼女の父親をよく思っていない大人が面白おかしく悪意を持って広めた噂話を聞き齧って信じているからな。

 ブルーローズ嬢が積極的に噂を消さなかったこともあって、ブルーローズ嬢にすげなくされた者が彼女の悪い噂を更に広めたのも良くなかったな。

 はあ、どうしたものか……。

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