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激甘口回です。
「あの、お待たせしました…。」
かごを勉強机に置き、中から獅子の人形と、夫婦鳥の片割れを出して、獅子はそっと机に置いた。
片割れの青い柄の鳥を、レオさんが片方の手のひらに乗せている木箱の中の鳥の横に、そっと置いた。
「引き寄せられたのかもしれないな、この夫婦鳥に…。」
「そうですね。」
「あっちの獅子のは?」
「あっ!!!あの、あれは、似てるかなと思ってひとめぼれして…!」
「もしかして、俺に…だったりするかな?」
「あっ!えっ!あのっ!そのっ………はい………。髪と瞳の色が……レオさんみたいだなと……思って………。」
レオさんの真っ正面に立つ私は、顔が湯気が出そうなぐらい真っ赤になってしまった。
そんな私を、彼はベッドに座ったまま少し微笑んで見つめる。
青い瞳に見つめられると、恥ずかしいのに目が離せない…。
「そうか…それは嬉しいな。」
そう言うと、レオさんの空いている方の片手が私の頬に触れて、とても優しく…ゆっくりと親指で撫でられる。
…動悸が…心臓が爆発しそうっ!!
「エリィ…」
「はっ!!はいっ!」
「俺に…会いたいと思ってた?」
彼は私の目を見つめながら、変わらず頬を優しく撫でている。
「………っは……い…。会いたかったです………。もう会えないかもと思ってました……。」
彼の碧眼に吸い込まれるように、素直な言葉がこぼれだす。
触れられている頬が熱をもって、敏感になる。
優しく頬笑むレオさんの瞳にとらわれてる……。
………あぁ………私、この人が本当に好きなんだ。
………これが………恋だ………。
「……横に座ってくれるかい…?」
「はっ…はい…。」
頬から手を離され、促されるままにベッドに腰かけるレオさんの隣に座る。
彼は、手に乗せた夫婦鳥の箱を自分の側に置く。
そして、私の頬を両手で包み込んだ。
「俺も…会いたかった…エリィに…。」
「レオ…さん?」
「……………」
少し泣き出しそうな顔をして、彼は隣に座る私を抱き締めた。
「へっ………!!!?」
「…………愛しくてたまらないんだ…。会った時間は少しなのに、エリィのことが頭から離れなかった……。」
「レオ…………さん……?」
「巫女姫候補者に、運よくまた会えるとは……思ってなかった…。だから………俺は俺の奇跡を信じたい……。」
「私も…です…。」
「好きだ…エリィ…。」
私を抱き締める力が、フッと弱くなり強く抱き締められていた体が離れた。
そして、レオさんを見つめると、彼の顔が少しずつ近づいてくる。
………これはっ……!もしかして、もしかする………!?
「エリィ…ありがとう。」
そう言って笑うと、レオさんは私の額にキスをくれた。
そしてまた、私をギュッと抱き締める。
……………おっ………おでこだったかーーーっ!!!
それでも、顔も胸も、もう爆発してしまいそうなぐらい熱くて速い。
「俺と同じぐらい、心臓の音がすごいな、エリィも。」
「いっ………言わないで下さいっ!恥ずかしいです!」
「じゃあ、恥ずかしくないぐらい、もっとしようか?」
「だめですっ!!それはっ!本当にだめです!」
「そうか、残念だな。」
「残念なんですか………。」
「じゃあ、もっとしてもいいかい?」
私を胸の中に抱き締めながら、レオさんがいたずらっぽく言うのに、私はまた鼓動を早めてしまう。
「意地悪言うなら、もう離してください…。」
「エリィがかわいいから、意地悪したくなるだけだ。」
「それが……」
「これで許してくれ、エリィ?」
体を離されたと思ったら、レオさんがすっと私の唇にキスをした。
少しの時間合わさった唇は、もう離れている。
私は思わず両手で口を抑え、彼はもう一度私を力強く抱き締めた。
「―――――――――――っ!!!!!!!!!」
「これで許してくれるかい?」
彼の胸の中で、全力で何度も何度も頷く。
私の…………ファーストキスだ…………。
レオさんの温もりと、早鐘以上の鼓動と、唇の感触に、頭がボーッとしてしまう。
「………初めてで…」
「えっ?」
「………初めてなんです……………キス………。」
胸の中で呟く私に、レオさんがバッ!と私の体を離した。
私は両手を唇から離して、恥ずかしくて下を向いてしまう。
「それは、エリィの大切なものを頂いてしまったね。でも、正直嬉しいと思う自分もいる。……嫌……だったかな?」
レオさんも顔を真っ赤にして、うつむく私を見つめながら、申し訳なさそうにつぶやく。
「………そんなっ!!!嫌じゃないですっ!!嬉しくって、もっとして欲しいぐらいでっ!!!」
「もっと………する?」
私の口から飛び出た大胆発言に、レオさんが再び両手で私の頬を包み込んだ。