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願い星が降る夜に(哀しき記憶は願いとなりて)




 姫様を失った悲しみは小国全土を覆い、やがてどこからか声が聞こえるようになりました。




 "満月の夜、願いの星に祈りなさい"

 "真っ赤に輝く願いの星に"




 その日はちょうど満月の日でした。

 小国の国王と民たち、小さな子どもたちも病で伏せっていた者たちもが起き上がり、皆が皆夜更けを待って夜空を眺めておりました。



 暫くすると金色の空に輝く赤い星を見つけました。

 何者かの言葉通りに赤く輝くその星に、国王と民は願いをかけました。



 "器となる人形を用意して、姫様の魂を降ろしなさい。”

 “そうすれば願いは叶うでしょう"



 再び何者かが囁きます。

 その囁きは祈りを捧げた全ての民に聞こえていたようで、夜明けも待たずに城へと集まってきました。



 皆、喜びました。それほどまでに姫様は愛されていたのですから当然です。

 誰ともわからぬ者の言う通りに、器となる人形を用意してしまうほどには。


 

 すると突然頭に何ともよくわからない陣の模様が浮かんできたのです。

 そこには必要となる材料も記されており、人の生き血が必要なようでした。




 (これではまるで呪いのようではないか……)




 誰ともなく、これは願いなのかという不安を抱きました。

 それでも、突然消え去ってしまった姫様にもう一度会いたかったのです。




 国王も自身の生き血を抜き、民たちも少しずつ生き血を抜き、そうして少しずつ集めた生き血を使い地に描き、遂に大きな陣が完成しました。



 何者かの囁きによると、願った者の数と血の量でより強い縛りが出来上がるそうなのです。

 完成した陣のうえに人形を置くと、その陣が紅く黄色輝きだしました。



 どのくらい時間が経ったでしょうか。

 陣の上、人形があったはずの場所に、なんと失ったはずの姫様が現れたのです。




 そう、彼らが願った姫様が。




 しかし、実際には、人形に下ろされた魂はかつての姫様ではなかったのです。

 願いをかける時、どうしても大国王太子が憎くてたまらなかった人々は、憎しみの心までも願いに組み入れてしまったのです。


 

 姫様の魂は復讐の鎖に縛られ、滅びの厄災へと変わってしまいました。



 人々は嘆きました。それでも、やはり嬉しかったのです。

 姫様とともにいられることが、何よりも幸福だったのです。



 

 そんな人々の願いから復活した姫様の願いは"解放"でした。




 『私はこんなこと望んでいなかったの。ただ、幸せでいてほしかったの。』


 『私がいることが幸福だというのなら、何故……人として天へと来てくれなかったの』


 『私のまわりには、もう私しかいないわ……』




 その後、復讐の願いによって小王国は大国へと戦を仕掛けました。

 この頃の小王国の民たちは、疲れ知らず、死ぬこともない、人の理から外れながら生きておりました。



 この影響により、大国王太子とその一派は消し炭となり、大国は滅びてしまいました。



 姫様たちの仇を打てた王国民は喜びました。

 束の間、願いの影響か、復讐のために戦った小王国の国王や国民たちは死してなお戦い続ける魔物と化してしまいました。その中で自我があるのは鎖に囚われた姫様ただ1人だけ。




 姫様の心は泣き続けました。




 かつて心から愛した父王がーー

 かつて心から愛しんだ国民がーー




 願い星は願いを叶えてくれる奇跡の赤星。

 しかし、その願いが人々にどう影響するかは、誰にもわかりません。







 それから年月が経ち、願い星に願いをかけることは禁忌となりました。



 この伝承が何者によって広められたのか、誰にもわかりません。

 何故なら、願い星の奇跡を知るものたちは皆、この世のものではないのだから……。


改行難しいですね。

なるべく読みやすくとは思っているのですが、設定にもよるので悩ましいものです。

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