願い星が降る夜に(はじまりの過去)
本日よりスタートします。
よろしくお願いします。目標は2、3日に1本更新です。
昔々、とある小さな王国に、珠のように美しく、そして賢く、心優しい若き姫がお生まれになりました。
建国時よりこの王国に住まう人々は、小さな国ながらも豊かな自然に恵まれ、幸せに暮らしておりました。皆が待ち望んだ姫が誕生した後は、神々の祝福を受けているかの如く更に更に豊かな幸福の国へと成長したのでございました。
一方で、隣国にあたる大国では政変が起こっておりました。
この大国は、民からも賢王と呼ばれ慕われている人格者の国王と、国王を失脚させたい者たちの悪意による甘言に飲まれた王太子がおりました。小王国と良好な関係を築くことで穏便にしかし最大限の恩恵を受けたい国王一派。姫を奪い小王国を自国のものとして全てを奪ってしまえば良いのだと愚策を練る傲慢で強欲な王太子一派。
双方が激しくぶつかり合い、国内は混乱に陥っておりました。
なかなか決着のつかない争いに、先に痺れを切らしたのは大国の王太子。独断で兵を上げ、小王国に間者を送り込むことに成功、遂には姫の公務の真っ只中に見事攫ってみせたのでありました。
小賢しいことに、隣国の王太子は孤児院の幼い子どもたちを人質にしたのです。
姫は抵抗しましたが純粋な力では敵うはずもなく、姫を守ろうとしていた護衛たちも、人質に危害が及ぶのを良しとしない姫の命令により投降することになるのでございます。
そこからは、地獄の始まりでした。ありもしない“もしも”があったとしたならば、隣国の国王が王太子の行動を一欠でも把握さえ出来ていたのならば、未来は変わっていたのかもしれません。しかし、父であった国王は王太子の策略により、既に天の住人となっていたために、それは叶わぬ願いでございました……。
姫はわけもわからず捕えられた後に、せめて護衛たちだけでも助かり自国へ知らせがいくようにと、王太子に願いでて密約を交わすことにしました。
『ならば姫よ。其方が我が妃となるのであれば、其の方の願いを叶えてやろう』
『であるならば、勇敢なる私の騎士たちを解放して下さいませ』
『よいともよいとも。その願いは既に叶えられておるよ』
『本当にございますか?』
『もちろんよ。我は戦さを仕掛けたわけではない。其方が必要であっただけよ』
『恐れながら、此度の一件が争いの火種にならないとでも?』
『ならぬであろうよ。我には手を出せぬ』
『何故です!解放された騎士たちが今頃は』
『それよ』
『っ……』
『何故我が騎士ごときの身を案じてやらねばならぬ』
『何を言っているのです?騎士たちは解放したと……』
『そうだとも。既にあ奴らは解放しておるよ』
“魂となってな!”
『あぁ……あなたはなんてことを……』
膝から崩れ落ちる姫様は、この日この時生まれて初めての感情に締め付けられておりました。
(せめて、せめて何か……)
何かに気づいた姫様は瞳を閉じて、今まで慈しみ愛してくれた家族や国民一人ひとりの顔が思い浮かべました。
(今までありがとう。皆は私が護ります。この命に変えても、必ず)
(生きて帰れなくてごめんなさい。どうか、どうか……っっ)
醜悪な笑い声が響く室内に、姫様の深い悲しみと覚悟の音が鳴りました。
姫の愛した勇敢なる騎士たちが先に天の住人になってしまったことで、姫様は悟ってしまったのです。この大国は、この王太子は、自分の愛した王国に災いをもたらすつもりだと。
そして、王太子の腰から剣を奪い、自ら天の住人となることを決めたのです。
書きかけの他作品も、追々更新再開させる予定です。
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