表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/215

28,赤毛の女。

 


「ではこれから、作戦会議をはじめます。はい、アンバー。挙手するだけでなく、ぴょんぴょん跳ねて、どうしたのー?」


「殺人ピエロが、あたしをじっと見ているのだけど!!」


 そういえばアンバーの髪って、赤銅色だね。すなわち、赤毛。

 すると殺人ピエロのビリーロストが、とんでもないというように片手を振る。


「まさかまさか、オイラが殺した赤毛はみんな、23歳でしたんで。こちらのお嬢さんは、まだ十代のようですし。いや、まさかまさか、オイラがそんなことするはずがないですって」


「だってさアンバー、あと数年は、大丈夫」


「ありえないんだけど!!!」


「では本題に戻るよ」


 卒業試験を受けるにあたって、副校長は最低限の捜査情報の記された書類をよこした。まぁ最低限の応援ということかな。または、どうせ失敗して退学処分となるのだから、はやめの餞別とか。


「私の両親が暮らし、私の故郷でもあった中規模都市、ガートン市。

 まずまとめると、ここには1万5千人ほどの住人がいたのだけど、今回の《隕石メテオ》か、またはそれに匹敵する殲滅魔導によって、死者は現在推定で1万2543。治療中の負傷者の中には重傷者も多いことからして、死者はまだ増えるとされている。

 そして……クレーターの位置が、ちょうど私の実家のあった街区。どうも、私の実家を狙ったんじゃないか、という疑惑が濃厚なんだよね。ただ副校長は、そこまでは考えていないようだったけども。さて、意見は? 発言者は、ちゃんと挙手するように」


 ユリシアが挙手して、


「ここは考えどころですのよ。この殲滅魔導が、お姉さまのご実家を狙った攻撃だとしたら、それはネクロマンサーの敵による仕業です。邪神などが、そこに該当します。その方面へ追跡することになるでしょう。ですが万が一、お姉さまの実家が殲滅魔導の中心にあったのが偶然だった場合、それはネクロマンサーとも無関係となってきます。すると追跡の初手で、大きな方向間違いをすることになってしまいますのよ」


 ここでドラゴが挙手した。しかしみんなちゃんと挙手しているあたり、偉いぞ。


「んな偶然があるか? 殲滅魔導によるクレーターからして、姐さんの実家の街区が攻撃の中心だったたんだろ? それで姐さんは無関係って、ありえるのか?」


「ガートン市自体を狙った攻撃でしたら、ありえます。というのもお姉さまのご実家があった街区は、ガートン市の中心街区でもあるからです」


 つづいてガリーナが発言(途中で思い出したように挙手した)。


「ふん、ふん。つまりガートン市を殲滅したかったら、都市の中心へ攻撃するのが効率的と。で、冥王ちゃんの実家がそこにあったのは、最悪の偶然だったというわけ? だけど、そんな偶然が発生する確率って、どれくらいよぉ?」


 むむむむむ。まてよ、何か忘れているような。私の両親のことだぞ。何か見落としがあるわけにはいかないんだけどなぁ。


 ここで魔鼠族のチキータが、芸をしはじめた。あ、違った。あれは挙手しているのか。


「はいチキータ」


「冥王陛下。このチキータの情報網は、ガートン市まで拡張していたんですが。残念ながら、今回の殲滅魔導は下水道までにも到達し、ほとんどのドブネズミが死滅しました。ですが生き残りはいるはずなので、なんらかの有益な情報をもたらせるのもすぐかと。

 なんだそこのイカレ修道女?」


 と、最後にチキータがにらみつけたのは、さっきからチキータを凝視しているアンジェラだった。

 アンジェラはガムを噛みながら、


「知ってるぅ~? 台所の嫌われもの、一位と二位はゴキとドブネズミが争っているけどさ。黒死病とかやばい疾病を蔓延させるのは、ネズミだかんね~」


「くっ、貴様! なんという鼠差別な! そもそもかつて黒死病を蔓延させたのは、われわれネズミたちではなく、ノミやシラミだったのだ! われわれは冤罪だ! 信じてください冥王陛下!!」


「はいはい信じるから、話を脱線させないように」


 ここで、アンバーをビビらせるだけビビらせた不気味ピエロ、ではなくビリーロストが挙手した。


「オイラの見てきたことは、もしかすると重要な情報かもしれないんですが」


 ドラゴがにらむ。


「なんだ新入り? 姐さんにいいところを見せたいからと、でたらめを抜かすんじゃねぇぞ」


「いえ、デタラメなんて。オイラは、運命論者でして。あれも運命だったんだなぁ、きっと。赤毛の女を見たんですよ。ガリダの町で。そしてオイラは、ガリダの丘まで追いかけていきまして。いえいえ、オイラはせっかく〔不死者アンデッド〕の肉体をもらった身なんで。まさかそんな、その赤毛の女を手にかけようとか、そんな魔がさしたわけじゃありません」


 うー、怪しいぞ。


「で、ビリーロスト。その赤毛の女を、ガリダの丘まで追いかけたら、どうしたの?」


「へぇ。撃ちました、その女が」


「撃ったって、何を?」


「あれはまさしく、殲滅魔導です。方角は、ガートン市のあったほうでした」


 これじゃ、赤毛の女を追いかけたこと、叱れないじゃないかぁ。



ブクマ登録、お願いいたしますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ