表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/215

20,出入り口。

 


 ユリシアの発案、『〈探索迷宮(ダンジョン)〉を活動拠点にする』は、評価が高かった。私以外の話だけども。


 みんなの意見をまとめてみると、


 まずリスダンは、


「私としては、つねにわが君のおそばに居続けるつもりです。とはいえ、このような『安全地帯』を設けることは、わが君にとっても、戦略的な選択肢が増えることになるでしょう」


 人魚族(マーメイド)の王女のローレライは、


「あのー、家出とかで利用しても、いいですか? 私、そんなに家出とかしないんですけど、ただ、ちょっと、えーと、お母さまが厳しいときがあって、いえいえ、いまは、いまは家出じゃないですよっ! ちゃんとお母さまにも、『冥王陛下の呼びかけに応えて行きます』と説明してありますし!!」


 この世のことわりを見た(?)らしいアンジェラは、


「あー、それは助かる。うち、蘇ったはいいけど、この国でも正式な身分証とかないもんね。とっくの昔に死んでいるからさ。それだと部屋借りるのも大変だなぁと思ってたし。ここなら部屋数とか多そうだから、困んなそうだよねー」


 ドラゴは、


「こんだけ広いんだから、俺主催で、喧嘩大会とかやってもいいですか。姐さん、どうでしょうね? やってもいいんですか? 頼みますぜ、姐さん!」


 半巨人のダクは、


「あっしも助かります。この図体のでかさだと、まともな集落には住めませんし。かといって〈暗黒地帯〉は、あそこはおっかない魔獣が多いもんでして。はい、こういうところで住めるんなら、あっしはうれしい限りです」


 真祖のガリーナは、


「アタシにはキャッスルアンロックがあるけども。いざというときの避難先があると、のびのびできるわぁ。別にのびのびするからって、必要以上に血を吸ったりはしないわよぉ」


「だけどさ、〈探索迷宮(ダンジョン)〉の入口は、そこの洞窟形式として、一般公開されているわけだよ。これだと、活動拠点としては不便では?」


 と、私が常識的なことを言ってみたが、マーヴィンがすかさず言うには、


「いえ、ご心配にはおよびません。私の、すなわち〈探索迷宮(ダンジョン)〉の出入り口は、どこにでも自在に作ることができますので。そもそも現在の出入り口は、とりあえずの人間世界とのつながりとして、私が長い眠りに入る前に作ったものでございます。ですので、まずは現在の出入り口を永久に閉じてしまいましょう」


 私は後ろを振り返ったが、ここからだと元の入口は見えない。


「……えーと、閉じたの?」


「はい」


「私たち、帰れないんだけど?」


「いいえ、冥王陛下。先ほども申したように、私は好きな場所に出入り口を作ることができるのでございますよ。いえ正しくは、『集団意識的に安全な場所』に限りますが。つまり冥王陛下に取って、敵性陣地などには作ることはできません」


「うーん、『集団意識的に安全な場所』? また難しいことを……………つまり、王国の士官学校の、私の寮部屋でもいいの?」


「可能でございます」


「……………じゃ、作って。あ、まった。洞窟のような入口を作ってもらったら困るよ。目立つからね。出入り口は、床に作ってくれる? そうだなぁ。王都のマンホール蓋って知っている? あれ、私ははじめて見たとき感動したんだけど。あんなのでお願い」


「完了いたしました」


「もう? 無駄に早いなぁ」


 すぐそこに壁に接続した梯子が現れた。この梯子をのぼっていくと、マンホール蓋があったので、これを押し上げる。そうして梯子を上り切った先に出たのは、寮の自室だった。留守番していたアンバーが、口をあんぐり開けている。


「ライラ!! どうして、床の下から出てくるのよ??」


「話せば長いんだよね。ちょっとまってて」


 私は梯子を下りて、〈探索迷宮(ダンジョン)〉の通路に戻った。マーヴィンに尋ねる。


「このような出入り口、一か所しか作れないの?」


「いいえ、望めば複数作ることが可能でございますよ」


「じゃ、みんな、自分のところに作ってほしい人がいたら、マーヴィンに言って」


 結果的に、ローレライの望みで人魚の国(海底にあるらしいよ)と、ガリーナの所領にあるキャッスルアンロックに、新たな出入り口が作られた。その新たな出入り口から、ローレライとガリーナは、自分の家に帰る。ダクとアンジェラは、しばらくこの〈探索迷宮(ダンジョン)〉で暮らすという。そこで私は、ユリシア、リスダン、ドラゴとともに、梯子をのぼって、自室に戻ることにした。


「じゃあねマーヴィン、また来るよ」


「お待ちしております」


 自室に帰り、一息ついたところで、私は腕組みして考え込む。


「うーむ」


 ユリシアが心配そうに声をかけてきた。


「どうされました、お姉さま?」


「いやぁ、エイブラムが死んだことには、私も間接的に責任があったんだねぇ」


「お姉さま、仕方ありませんわ。お姉さまにはコントロールできないことだったのですから」


 マンホールの入口から、〈探索迷宮(ダンジョン)〉をのぞき込んでいたアンバーが、顔をあげた。


「ライラ? 一体、これ、どこにつながっているの?? こんなの勝手に作って、怒られないの?」


「まぁ卒業したら、また入口の接続先を変えてもらうから。ただそれまでは、隠しておかないとね。そこの絨毯を、この入口の上に敷いておこう。その前に、ちゃんとマンホール蓋は閉じてね」


ブックマークなど、お願いしまーす!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ