第1節その出会いは運命なのだろうか
はじめまして。
処女作ではありますが、楽しんでいただけますと嬉しいです。
タイトルは神々との契約者と読んでください。
私の名前は白花 雪。
市内の私立高校に通う普通の女子高生・・・だった。
あの時までは。
チリリリリリリ!
うるさい目覚まし時計の音で私は目を覚ました。
「う~ん、あと5分・・・」
そう言いつつも、時計を止めるために手を伸ばす。
そして何気なく見た時間に、私の眠気は吹き飛んだ。
「わ~~!!遅刻~!!」
私は今日、親友と買い物に出かけるために8時30分に
駅前に集合の約束をしていた。
そして今の時間は7時50分。
私の家から駅前まではどんなに急いでも30分はかかる。
つまり、あと10分で家を出ないと遅刻が決まってしまう。
「わっ、わっ、わっ、どうしよう、どうしよう!」
私は大急ぎで寝間着を脱ぎ捨ててクローゼットに駆け寄る。
一番近くにあった服を掴んで着替えると、そのまま鏡の前に移動。
私は髪を結構伸ばしてるから、セットにそれなりの時間がかかる。
机の上に置いてあった鞄をつかむと、そのまま階段を一段飛ばしで駆け降りる。
「いってきます!」
靴も一番近くの棚に入ってるものをはいて、家を出た。
時計を確認すると7時59分。
ギリギリだけど、何とか間に合いそう!
十字路に差し掛かったところで、右側の路地から人影が飛び出してきた。
危ない、ぶつかる!!
そう思って身を固くしたけど、その人影は体の向きを変えて、
私とすれ違うような形でぶつかるのを回避した。
「ごめんなさい、でも急いでるんで失礼します!」
その声が聞こえた時には、その人影はかなり離れたところにいた。
すごい足の速さ。
それに声からして男の子だったみたいだけど、
まるで鈴を鳴らしたみたいにきれいな声だった。
背は結構高かったな。
わたしはどうしてだか、顔も見なかったその人影が気になった。
しばらくボーっとしていたけど、はっとして気づく。
「って、それどころじゃないよ、遅刻!」
駅に向かっている間も、私の頭からあの人影が消えることはなかった。
それから全力で走って、何とか駅前に到着した。
「あさみ~!」
「雪、遅い!!」
右腕の腕時計を確認していた女の子が、
不機嫌そうに腰に手を当てながら振り返った。
彼女の名前は貝島 朝美。
私が中学生のころからの親友で、少し茶色がかった髪を肩でそろえていて、
長いまつげを持った見た目は文句なしの美少女なんだけど、
ちょっと気が強すぎるせいで今まで彼氏ができたことはない。
「はぁ~、どうせまた寝坊したんでしょ?」
「うぅ~、ごめんなさい」
どうしてだか知らないけど、私は朝がすごく苦手。
だからいつも寝坊をしてしまっては、こうして朝美に怒られてる。
「なんであんたはいつもこうなのよ!いつも言ってるでしょ。
時計は1時間前にはセットしておくこと、準備は前日までにしておくこと、
あんたは髪が長いんだから、そのための時間も・・・って、
ちゃんと聞いてるの雪!?」
「えっ!ご、ごめん朝美」
私はまたさっきの人影の事を考えていてボーっとしてた。
私の雰囲気がいつもと違うと思ったのか、朝美が私の顔を覗き込んでくる。
「なんかあったの?」
「べ、別に何もなかったよ」
「ほんとに?」
「うん。ちょっと不思議な人に会ったりなんかしてないから」
「そう、人と会ったの」
「うっ!」
「そうね、その相手は男だったんじゃない?」
朝美は時々、とても鋭い時がある。それはもう、怖いぐらいに。
「なるほど、一目惚れしたわけか」
「・・・えっ?」
「ま、応援してるからさ、頑張りなさいよ」
「ちょっと、そんなんじゃないよ!」
「はいはい、わかったわかった」
「あ、朝美~!!」
朝美はひらひらと片手を振りながら先に歩いていく。
私はどうやって誤解を解くかを考えながら、後を追った。
投稿スピードは一週間に1話を目安に頑張ろうと思います。
これからも、どうかよろしくお願いします。