第三話「悪友」
どうもifです。このすばと幼女戦記見てたら更新忘れてました。めぐみんかわいい。今のとこ見たなろう系アニメ全部当たりで気持ちがいい。今回は多分ちょっとだけ長めかも。読んでね。
「……は?」
人に向かって「は?」とはなんだ。主人公なんだからもう少し爽やかに返せよ。
「だからー金ないから奢ってって言ってんの。」
「なんで僕が初対面の見ず知らずの男に奢らなきゃいけないんだ…」
「主人公なんだから困った人を助けるよなぁ〜?」
「君はなんで初対面の人間にそこまで不躾な態度が取れるんだ…あとさっきから僕のことを主人公とかなんとか読んでいるがどういうことだ。」
主人公だとしても流石に急に声をかけて奢ってもらうのは無理か。それならばプランBへ移行だ。ちなみにプランなんて考えてない。言ってみたかっただけだ。
「まあそんなこと気にせんでとりあえず飲もうや。店員さーん、生二つで!」
「僕の分まで勝手に注文するな」
「残念。もう注文しちゃった。まさか主人公ともあろう方が注文キャンセルなんて非人道的行為をするわけないよね。」
「突然奢って欲しいと言って話しかけてきたり、一緒に飲もうとしてきたり本当になんなんだ君は…」
「別に一緒に飲むぐらいいいだろ?酒ごときで怒んなよ。おっとまだ自己紹介をしてなかったな。俺は雨崎亮。生粋の無職だ。よろしく!」
そいつはそれ以上つっこんでも無駄だと悟り自己紹介を返してくれた。
「……僕はフォスター・レイモンドだ。一応よろしく。ところでアマサキ・リョウ?って結構変な名前じゃないか?」
どうやらこの世界は典型的な中世ヨーロッパのようなネーミングらしい。なろうではど定番”いつもの”だ。面倒だし適当にはぐらかすか
「そうか?」
「それと生粋の無職ってなんだ?」
「別にそんまんまだよ。それと俺はただの無職じゃない。職なし、金なし、彼女なしのパーフェクトニートだ。」
「なるほど…さしずめ三冠王といったところだろうか」
「なんの三冠だよ…あと言うなら逆三冠王だろ。」
「おお!確かにそうだな。お前はなんて面白いんだ、リョウ!」
今のそんな面白かったか?こいつの笑いのツボ謎すぎだろ…
「それなら何より。案外話せる奴で良かったよ。」
「僕のことをそんなにも褒めてくれるなんて。君はなんていい奴なんだ、リョウ!」
「別に褒めてねえよ…」
いつの間にか俺がツッコミに回っていた。……さてはこいつ、相当の天然だな。しかも、たぶんアホだ。こんな調子で本当に世界を救えるのか?顔よし、スタイルよし、作画よし。ここまで主人公っぽい要素を揃えておいて、中身がこれとは。女神もキャラメイクの途中で疲れたのか?
「……まあ、いいか」
少なくとも、奢ってくれそうな奴なのは間違いない。俺はそう考えながら、運ばれてきた酒に手を伸ばした。
「そうだリョウ。無職だから金がなかったのだろう?ここは奢ってやるからその代わりとはいってはなんだが少し愚痴を聞いてくれないか?」
やったぜ。こいつチョロすぎだろ。
「よっし。このパーフェクトニートでよければ話を聞こう!」
「本当にありがとう、リョウ。最近ノルマが多くて残業続きなんだ……」
「ノルマ?」
「ああ。一ヶ月に百人の冒険者を殺さなきゃいけなくてね」
「…………」
「正直、無理に決まってると思わないか?」
「…………」
「そもそも一ヶ月に百人って数で決めるのがおかしいんだ。強い冒険者もいれば弱い冒険者もいるんだから、せめて難易度で調整してほしいんだよ」
「…………」
「それに最近は冒険者の数も減ってきてるし、こっちの身にもなってほしいよ。昨日なんて三時間探し回ってようやく一人見つけたんだ」
「…………」
「どう思う、リョウ?」
「……いや」
俺はゆっくりとグラスを置いた。
「どう思うも何も……」
こいつ、何言ってんだ?冒険者を殺す?一ヶ月に百人?ノルマ?
「…………お前、何者?」
「え?」
フォスターは心底不思議そうな顔をした。
「僕? 僕はただの魔王軍幹部だけど?」
……は?
こいつは主人公のはずじゃなかったのか?
「魔王軍幹部ってそんなフランクな感じで名乗っていいのか?冒険者とかに見つかったらまずいんじゃないか?」
「確かに!聞かれていたらまずいな。とりあえずこの店の奴ら、全員消し飛ばすか……」
キラキラしていた爽やかイケメンの背景に、急に『ゴゴゴゴ…』と劇画調のどす黒いオーラが滲み出た。作画の描き込みが急にホラー映画のそれだ。
(待て待て待て! こいつ顔が爽やかなだけで本物の殺戮マシーンだ!!)
俺は背中に嫌な汗をかきながら、必死に説得した。
「お、落ち着け! 今誰も襲ってきてないってことは、誰も聞いてない証拠だろ!?」
「それもそうだな!リョウ、君は頭がいいな!」
ここで気がついた。こいつは多分悪役でめっちゃ強い。だがそれ以上に頭が残念なタチだ。そんなんだから主人公に倒されるんだろ。
……いや、待てよ。
強い。アホ。金持ってる。しかも俺の話を素直に聞く。
「…………」
これ、めちゃくちゃ使えるんじゃね?
「どうしたんだ、リョウ?」
「いや……なんでもない」
俺は笑顔を作った。
「これからも仲良くしようぜ、フォスター」
「もちろんだ! 僕も君みたいな友達ができて嬉しいよ!」
……よし。
異世界生活、一日目。
早くも強力な後ろ盾を手に入れた。
魔王軍幹部という後ろ盾を。
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