第一話 小鳥
小鳥にまつわる短編集です。
少女は、鳥かごから小鳥を出した。
その小さな生き物は、いきなり広々とした空間に置かれた自分の身にとまどったように、
少女の手から、少女を見つめていた。
少女は待った。
小鳥が大空へ飛び立つのを。
だが、小鳥は、いつまでたっても飛び立とうとはしなかった。
「さあ、行くのよ、行っておしまい。」
少女は、待ちきれなくなって、その手をふった。
小鳥は驚いたように飛びたち、やがて少女の視界から消えていった。
見送る少女の目には涙が浮かんでいた。
それは少女の本心ではなかったのだ。
誰が、ひなの時から心をこめて育ててきたものと、
唯一の心の支えだったものと、進んで別れようとするだろうか。
だが、少女は疲れていた。友達とていない寂しい都会の生活に…。
やがて、少女は窓を閉じ、震える手でガスの詮を開けた。
それですべてが終わるはずだった。
だが、少女は死にはしなかった。
突然、少女の部屋の窓ガラスが割れ、
その物音に驚いてやってきた人々によって助け出されたのだった。
少女は、病院の白いベットの上で、
自分が助け出されたことも知らず、こんこんと眠っていた。
しかし、やがて少女は知るだろう。
こなごなに散ったガラスの破片の中に、一羽の小鳥の死骸があったことを。
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