エピローグ
お読みいただきありがとうございます。
それから、何日か経った。
生き残った人々が、瓦礫を片付けていた。
多くの神官が死んだ。多くの民が死んだ。
だが、一人の少女だけが生き残った。
灰色の髪の、奇妙な少女が。
人々は、ミリヤを見た。恐れと、疑念の目で。
「あの子だけが、生き残った」
「あの子には、力がある」
「あの子に、世界を支えさせよう」
人々はそう決めた。
神殿だった瓦礫の中から、指輪が見つかった。
御使いの指輪。十の指輪。
それを、ミリヤに嵌めた。
ミリヤは、抵抗しなかった。抵抗する気力は、もうなかった。
ミリヤは、白い部屋に座らされた。
再建された奥寝殿の中。
十の指輪が、ミリヤの指を縛っている。
そして――記憶が、消えていった。
自分が誰なのか。
なぜ、ここにいるのか。
すべてを、忘れた。
百年が経った。
ミリヤは、白い部屋に座り続けている。
十の指輪に縛られて。
時々、夢を見る。
誰かが、優しく語りかける夢を。
「ミリヤ」と呼ぶ声が聞こえる夢を。
でも、目覚めると何も覚えていない。
ただ、涙が流れてくる。
ある日。
ひとりの少年が現れる。
「俺は、リオン」
少年は、そう名乗った。
「俺が君を、助ける。君を解放する」
ミリヤには、その言葉を理解できなかった。
でも――
なぜだろう。
少年を見ていると、胸が温かくなる。
まるで、長い長い冬が終わって、春が来たような――
「待っていたの」
自然と笑みがこぼれた。
「あなたを、ずっと」
――これが、始まりだった。
百年の封印が解かれ、新しい物語が動き出す。
本作品はシリーズ外伝に相当します。
おおよその部分は出来上がっているのですが、修正はかどらず…
またの機会にお会いできますことを。




