それでも笑おうとした日
アパートは静かだった。
シュウは子供をソファに寝かせた。その体は小さく、足を曲げなくても十分収まるほどだった。胸が上下していた。かろうじて。まるで体が正しい呼吸の仕方を忘れて、習慣でやっているかのように。
シュウは子供に毛布をかけた。子供は動かなかった。丸くもならなかった。温もりを求めもしなかった。ただそこに横たわり、目を閉じ、顔は仮面のように無表情だった。
シュウはしばらくそこに立って見つめていた。
それからマヤを見た。
彼女はまだベッドにいた。呼吸は浅かった。彼女の手は毛布を握りしめていた。何かが逃げていかないように掴んでいるかのように。
二人とも。それぞれ別の方法で壊れていた。
シュウは床に座った。壁に背を預けて。毎晩同じ場所。
左手の平が痒かった。
在る
まだそこにあった。まだ薄れていた。
彼は子供を見た。マヤを見た。カーテンの隙間から漏れる薄明かりを見た。
目を閉じた。
何日ぶりだろう——彼は眠った。
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光が顔に当たった。
シュウは目を開けた。
アパートは明るかった。明るすぎた。太陽は高く昇っていた。彼は思っていたより長く眠っていた。
マヤはベッドに座っていた。目は開いていた。赤かった。しかしはっきりしていた。
彼女はソファを見ていた。
子供を見ていた。
シュウは体を起こした。
「マヤ——」
「あの子誰?」彼女の声は静かだった。怖がっているのではなかった。ただ——困惑していた。
シュウは立ち上がった。ソファに歩いた。子供はまだ眠っていた。同じ姿勢。同じ無表情な顔。同じ浅い呼吸。
「見つけたんだ。昨夜。赤灯区域で」
マヤの目が見開かれた。「赤灯区域?」
「ただ座ってた。一人で。寒い中で。靴も履かずに。親もいなくて。誰も見ていなかった」
マヤは子供を見つめた。彼女の手はまだ毛布を握りしめていた。
「この子は——」彼女は止まった。唾を飲み込んだ。「私と同じなの? 何かを見たの?」
シュウは首を振った。
「分からない。話さないんだ。音も立てない。ただ——存在してるだけ」
マヤは長い間黙っていた。
それから立ち上がった。ソファに歩いた。子供のそばに立った。その小さな無表情な顔を見下ろした。
「ただの子供じゃん」と彼女はささやいた。
「ああ」
「ここにいるべきじゃない。このアパートに。この混乱の中に。私たちと一緒に——」彼女は自分の手を見た。「——私たちと一緒にいるべきじゃない」
シュウは答えなかった。
マヤはソファの横に跪いた。子供には触れなかった。ただ見つめた。
「名前は?」
「知らない」
「親はどこ?」
「それも知らない」
マヤは再び黙った。
それから——ゆっくりと——優しく——彼女は子供の手に触れた。
冷たかった。
彼女は引っ込めなかった。
「この子の面倒を見ないと」と彼女は言った。「どうすればいいか決めるまでは」
シュウはうなずいた。
「俺もそう思ってた」
---
子供はさらに一時間ほど起きなかった。
シュウはコーヒーを入れた。マヤは机に座って壁を見つめていた。二人ともあまり話さなかった。ここ数日の重みが霧のように二人の間に漂っていた。
その時——音がした。
小さな。静かな。
ソファの布地が擦れる音。
シュウとマヤの両方が振り返った。
子供は起き上がっていた。目は開いていた。虚ろだった。動かなかった。彼は部屋を見回した。ポスター。フィギュア。空のエナジードリンクの缶。
それから彼らを見た。
認識もなく。恐怖もなく。好奇心もなく。ただ——見ていた。
マヤが最初に立った。
「ねえ」彼女は優しく言った。怖がっている動物にするような声で。「おはよう」
子供は応答しなかった。
「私はマヤ。あっちがシュウ」彼女は指さした。「ここは私たちのアパート。安心していいよ」
子供は瞬きをした。
一度だけ。
それが唯一の反応だった。
マヤはシュウを見た。彼女の目は彼が答えられない質問をしていた。
シュウはキッチンに行った。コップに水を注いだ。子供のところに持っていった。
子供はコップを見た。受け取らなかった。
シュウはそれをソファの横のテーブルに置いた。
「話さなくていい」とシュウは言った。「何もしなくていい。ただ——ここにいて。休んで。食べたかったら食べて。眠たかったら眠って」
子供はコップを見た。
それからシュウを見た。
それから窓を見た。
外では街が目を覚ましていた。車。鳥。遠くで吠える犬。普通の音。日常の音。
子供はそれらのどれも聞こえていないようだった。
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マヤはベッドの端に座った。シュウは壁にもたれた。
子供はまだソファにいた。まだ動いていなかった。まだ話していなかった。
「一日中ここに居られない」とマヤは言った。「気が狂いそう」
シュウはうなずいた。
「考えてたんだ」
「何を?」
「——」彼は子供を見た。それからマヤを見た。「——外に出ようと思って。三人とも。ほんの数時間だけ」
マヤは眉をひそめた。「どこに?」
シュウは考えた。この街のことをあまり知らなかった。カフェ。公園。コンビニ。それだけだった。
その時、何かを思い出した。電信柱に貼ってあったチラシ。鮮やかな色。キャラクター。
「遊園地がある」と彼は言った。「街の反対側。ポスターを見た」
マヤは彼を見つめた。
「遊園地?」
「ああ」
「乗り物とか? わたあめとか? 叫ぶ子供たちとか?」
「だいたい遊園地にはそういうものがあるな」
マヤは子供を見た。それからシュウを見た。それから窓を見た。
「あなたは——あの全てがあった後に——遊園地に行こうって言ってるの?」
シュウは肩を竦めた。
「普通の日を一日過ごしたいんだ。ただ一日だけ。緋色の悪魔も、吊るされた男も、一兆の死もなし。ただ——乗り物とわたあめと偽りの笑顔だけ」
マヤは長い間黙っていた。
それから彼女は笑った。
小さな笑い声だった。疲れていた。しかし本物だった。
「あなた、正気じゃないよ、シュウ」
「たぶんな」
「今までで一番馬鹿なアイデアだ」
「じゃあ行かない?」
マヤはもう一度子供を見た。その無表情な顔を。虚ろな目を。膝の上に置かれた小さな手を。
「行く」と彼女は言った。「行こう」
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準備には予想以上に時間がかかった。
子供は靴を持っていなかった。マヤは古いスニーカーを見つけた——大きすぎたが、ないよりはましだった。彼女は靴紐をきつく結んだ。
子供は抵抗しなかった。手伝わなかった。ただそこに座って、彼女が自分の足に靴を履かせるのを許していた。
「はい」マヤは言った。「これでガラスで足を切らなくて済むね」
子供は自分の靴を見た。
それからマヤを見た。
無表情だった。しかし、彼は視線を外さなかった。
マヤは立ち上がった。目をこすった。
「まず店に寄らないと。この子の服を買うんだ。本当の服を。あの薄いパーカーじゃなくて」
シュウはうなずいた。
「金ならある」
「私もある」マヤはバッグを掴んだ。「行こう」
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コンビニは明るかった。明るすぎた。蛍光灯がブンブンと唸っていた。音楽が隠しスピーカーから流れていた。店員は退屈そうだった。
マヤはパーカーを選んだ。子供が着ているものより厚いもの。濃い青色。無地。彼女それを掲げた。
「これでいい?」
子供はそれを見た。
反応はなかった。
マヤはそれを了承として受け取った。
靴下も買った。下着も。スウェットパンツも。シュウは歯ブラシと、全てを入れるための小さなバックパックを掴んだ。
店員はレジを通した。質問しなかった。子供を見なかった。
誰も子供を見なかった。
シュウが払った。
彼らは外に出た。
太陽は高く昇っていた。暖かかった。通りは混雑していた。歩く人々。話す人々。笑う人々。
子供はシュウとマヤの間を歩いた。彼の新しい靴が舗道でキュッキュッと鳴った。誰の手も握らなかった。誰も見なかった。ただ歩いた。
マヤはシュウに目配せした。
「この子、幽霊みたい」と彼女はささやいた。
シュウは答えなかった。
なぜなら彼女の言う通りだったから。
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公園は街の端にあった。
大きな門。カラフルな旗。遠くでは観覧車が青い空の下でゆっくりと回っていた。
音楽が隠しスピーカーから流れていた。明るく。陽気に。精一杯あなたを幸せにしようとしている種類の音楽。
子供たちが笑いながら走り去っていった。風船を持って。親たちはベビーカーを押していた。十代の若者たちは写真を撮っていた。
普通。
日常。
完璧。
マヤは入り口で止まった。観覧車を見つめた。
「子供の頃以来、来てないな」
「俺もだ」シュウは言った。「たぶん」
「『たぶん』ってどういう意味?」
シュウは微笑んだ。答えなかった。
彼はチケットを買った。三枚。店員が彼に地図を渡した。
「最初に観覧車?」シュウは尋ねた。
マヤは子供を見た。
子供は観覧車を見ていた。
色を見ているのではなかった。動きを見ているのでもなかった。
ただ——観覧車を見ていた。
「観覧車から」マヤは言った。
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観覧車はゆっくりだった。穏やかだった。ゴンドラがきしみながら上昇し、彼らを公園の上へ、木々の上へ、街の上へと持ち上げた。
マヤは窓の外を見た。彼女の姿がガラスにかすかに映っていた。
「私は彼らが死ぬのを見た」と彼女は静かに言った。「一兆回。ありとあらゆる方法で」
シュウは何も言わなかった。
「でもあなたを見ていると——空を見ていると——何か本物を見ていると——」彼女は間を置いた。「——それらは消える。完全には消えないけど。でも十分に」
シュウは子供を見た。
子供も外を見ていた。下の街を。小さな車を。小さな人々を。小さな建物を。
彼の顔はまだ無表情だった。
しかし彼の手——小さくて冷たい手——は座席の彼らの間に置かれていた。
握っているのではなかった。差し伸べているのでもなかった。
ただ——置かれていた。
シュウは動かなかった。
子供も動かなかった。
彼らはそうやって乗り物が終わるまで座っていた。
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マヤはわたあめを買った。ピンク。ふわふわ。彼女は一かけらをちぎって子供に差し出した。
子供はそれを見つめた。
「食べて」マヤは言った。「砂糖だよ。美味しいよ」
子供はそれを受け取った。
口に運んだ。
味わった。
何の反応もなかった。笑顔も。しかめ面も。
しかし彼は食べた。
マヤはもう一つ買った。シュウに渡した。
「食べて」彼女は言った。「私よりひどい顔してるよ」
シュウはそれを受け取った。
甘かった。甘すぎた。しかし美味しかった。
子供はわたあめを食べ終えた。指を舐めた。マヤを見た。
マヤは瞬きをした。
「今の——」
「気に入ったみたいだ」とシュウは言った。
子供は肯定も否定もしなかった。ただ——わたあめの屋台を見ていた。
マヤは三つ目を買った。
子供はそれも食べた。
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メリーゴーラウンドは古かった。塗装の剥げた馬たち。同じ曲を何度も何度も繰り返すオルガン音楽。
マヤが指さした。
「あれに乗ろう」
シュウは眉を上げた。
「メリーゴーラウンドに乗るには年を取りすぎてないか?」
「メリーゴーラウンドに年は関係ないの」
彼らは乗り込んだ。マヤは馬を選んだ。シュウは彼女の隣に立ち、棒に掴まった。
子供はマヤの前に立った。馬を選ばなかった。ただ——立っていた。
メリーゴーラウンドが動き出した。
ぐるぐると回る。音楽が流れる。塗装の剥げた馬たちが上下に動く。子供たちが笑う。
マヤは目を閉じた。
シュウは彼女を見つめた。
何日ぶりだろう——彼女は——穏やかに見えた。
幸せではなかった。癒されてはいなかった。
しかし穏やかだった。
子供は馬を見た。灯りを見た。他の子供たちを見た。
彼の顔はまだ無表情だった。
しかし彼の頭は動いた。動きを追って。見ていた。
シュウは気づいた。
「そうだ」と彼は静かに言った。「何かを見ろ。何でもいい」
子供は応答しなかった。
しかし彼は見続けた。
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太陽が沈み始めた。
公園は少し静かになっていた。家族連れは帰り始めていた。音楽は柔らかくなっていた。乗り物の灯りが輝き始めていた。
マヤはベンチに座った。シュウは彼女の隣に座った。子供は二人の間に座った。
誰も話さなかった。
風船が一つ浮かんでいた。赤い。輝いている。誰も持っていなかった。それはオレンジ色の空へと漂っていった。
マヤはそれが消えるのを見ていた。
「良くなった気はしない」と彼女は言った。「でも——前よりマシになった気はする」
シュウはうなずいた。
「今日はそれで十分だ」
彼女は子供を見た。
「あなたはどうなの? 何か感じる?」
子供は答えなかった。
しかし彼の手——あの小さくて冷たい手——が動いた。
ほんの少しだけ。
シュウの袖に触れるほどに。
シュウは見下ろした。
子供は彼を見ていなかった。何も見ていなかった。
しかし彼の手はそこにあった。
シュウは動かなかった。
子供は引っ込めなかった。
彼らは観覧車の灯りがともるまでそうやって座っていた。
---
バスで帰った。
子供は窓側に座った。マヤはその隣に座った。シュウは立って、天井の手すりを握った。
外を街が流れていった。ネオンサイン。街灯。暗い窓。
マヤは窓ガラスに頭を預けた。
「怖いよ、シュウ」
「知ってる」
「もう見たくない。死を。目を。吊るされた男を」
「今夜は見ない。大丈夫」
「どうして分かるの?」
シュウは子供を見た。その無表情な顔を。虚ろな目を。膝の上に置かれた小さな手を。
「今夜は、何か食べて、眠る。そして明日——」彼は間を置いた。「——明日は残りをどうするか考える」
マヤは目を閉じた。
バスがガタガタと進んだ。
子供は窓の外を見ていた。
街を。
灯りを。
建物と建物の間の、何も見つめていない隙間を。
そして初めて——
彼は瞬きをした。
人形の機械的な瞬きではなかった。
本物の瞬きだった。
ゆっくりと。不安定に。
まるで彼の内側の何かが目覚めようとしているかのように。
シュウはそれを見た。
何も言わなかった。
ただ手すりを握りしめて。
微笑んだ。




