なにせ、愛でない。
大学生活。あの頃。
僕は1人、ふらりと同じゼミの女の子の家に泊まった。
みんなの集会所みたいになっていて、そんなもの当たり前になっていた。
僕は、一つしかないベッドで寝た。
彼女も入ってきた。
「どいてよ」
「やだね」
そうして、彼女を抱きしめて、背中をさすった。
「嫌じゃないんでしょ」
「君だけです、こんなことするの」
腰に手を回して引き寄せた。
ただ、じっと、そのまま。
息遣いも、お互いに普段と変わらぬまま。
首と首が合わさって、お互いの顔は見えないほどに、引き寄せて、温もりに、やがて彼女が眠ったら。
ゆっくりと離れて。
キスはしないでそっと、頭をなでる。
すると彼女は目をあけて、キスくらいなら良いよという顔をする。
頬を撫でて、顔を見る。
すると毎回、彼女は、シャワー浴びてくるね、という。
僕は、そう。と返事をして、テレビを見て、少し眠って、家に帰る。
今更だよ、会いたいなぁ。
今更だよ、頭を撫でて、君が少し目を開けたら、唇を重ねて、笑いたいなぁ。
今更だよ、こんなにも苦しい。
今更だよ、ずっと友達だったなんて。
1度だけでも、手を繋いで、2人で外を歩きたかった。
きっと、好きだったんだよ。
今更、好きなんだよ。
君の気持ちがどうだったとしても、ほら、あの頃の僕が、好きだったと叫んでる。
つい、また、遠い彼女にメールをしてみる。
僕の中ではあの頃のまま。
なぁに、どうしたの?なんて普段通りの会話が愛しい。
好きなんて、今更言っても、どうだったかなんて。なんせお互いに家庭もあるし。
だから、このままずっと、いつか連絡が取れなくなるその日まで。
好きを抱き寄せて。
好きを引き止めて。




