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倉庫からひきづり出してみた(短編集)  作者: たのみこむこ
21/26

もろこしハウス

24、まで、怖いものは、ほとんど無かった。


今日この日、31まで、怖いものが、増えた。


―――――――――


いつかの日、ある日、背の小さな子が裏庭にいました。


広い裏庭は畑でした。


夏はきゅうりとか、スイカとか、とうもろこしとか。


もう、その子どもは、31になって、疲れていました。


もう、ただ、疲れていました。


疲れている人が、周りにたくさんいるのに、ただ、31の子どもは疲れていました。


夜、寝る前、31の6の子どもは、布団の中で31の手を握りました。


いや、もしかしたら、手を伸ばしたのは31の方だったかも知れません。


31は小さな声で、言いました。


パパみたいな人じゃなくて、大きくなったら元気な人と結婚してね。


31は、その時、6がグスンと泣くのをききました。


布団からちょこっと出た6の頭を撫で、31は、疲れて眠りました。



翌朝、31は、寒くて、動けませんでした。


やっと、リビングまで来て、横たわりました。


日に日に言うことの聞かない体になってきました。


6と、4と、話をしました。


6は、テレビを見て、とうもろこしが嫌いといいました。


おそらく、とうもろこしがテレビに出演していたのでしょう。


31は、思い出しました。



いつかの日、ある日、小さい子どもがいました。


今はもう、誰もいない家、思い出と、ゴミみたいなものが混在する家。


31が6の時、裏庭は大きな畑でした。


70と一緒に、畝を作り、肥料を撒き、指で穴を作り、種を入れました。


畑のものは、どれもおいしくて、好きでした。


とうもろこしの一粒に、小さな虫がいました。


お部屋、かなと、思いました。


でも、虫は死んでいました。


その時の6は、何も思いませんでした。



31は、6の時の夏の暑さは思い出せないけれど、葉を剥いて、髭をとって、茹でて、食べて。


そこに、虫が死ぬ理由があったことなど知らずに。



31は、もろこしハウスに一人。


29と6と4は夕方までお出かけ。


玄関ドアがしまる音を聞いて、声を出して泣きました。


しょっぱい水は、もろこしハウスを茹であげる程もなく、下へと落ちました。


小さな裏庭は畑です。


スイカは先っちょがおいしいと言い出したのは誰でしょう。


切ってあるあれの、先っちょは、元の形なら、真ん中です。


31は、疲れていました。


何がなんでも、疲れていました。


上手に生きられないと、疲れていました。



70みたいに、上手に生きられないと。



でも、今はもういない70も、もろこしハウスに住んでいたのかも知れません。



誰しも、強くないけれど強くありたいと思う人も、まぁ、思わない人もいるけれど。



もろこしハウスに住む人は、茹でる人とは噛み合わないのです。


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