2.as if no bady
僕と君とを
隔てる世界
君との絆を
断ち切るセカイ
The
Grand cross is catastrophe.
僕は茫然自失し、ディスプレイに表示されている日付を見ていた。
すると大柄な男が正面から早足で向かってきた。しかし、僕はディスプレイを食い入るように見つめていたので、男の接近に気付かなかった。
ハッとして、気付いた時には既に遅かった。男はまるで、僕など眼中にないかのように僕に向かってきた。僕は思わずギュッと目を閉じた。
十分ぐらい経っただろうか。先ほどと変わらず、僕はディスプレイばかりを見つめていた。いつの間にか、僕の周りは人混みになっていた。人混みの真ん中に突っ立っていたにも関わらず、人とぶつかる事はなかった。
十分前に、気付いた事が一つあった。あの時僕はぶつかる瞬間目を閉じて、自分の体に来るであろう衝撃と痛み、その後
「どこに目をつけてんだバカヤロウ!」という罵声を浴びてひたすら頭を下げて謝らなければならないのか、と覚悟していた。が、十秒ぐらい身構えていてもぶつかる気配はない。
ゆっくり目を開けると、そこに想像していたあの大柄な男の姿はなく、周りを見渡すと僕の後方にその男の背中が見えるばかりだった。
僕はひとまず人混みを避ける為に人通りの少ない路地に入った。そこで先ほどの事を思い出していた。しかしいくら思い出しても、あの距離なら間違いなくぶつかっているハズなのだが、ぶつかった衝撃も感触もない。一体なぜ?と、たいして良くもない頭で考えれば考えるほど混乱していった。
9月とは言え此処は首都・東京。自然の暑さは去れどもコンクリート舗装の道路はヒートアイランド現象を引き起こす。
頭の使いすぎに加えヒートアイランドにより、僕の苛立ちはついに限界突破。怒りにまかせて怒鳴り声を上げていた。怒鳴り終えて後から後悔した。人通りの少ない路地といっても、全く人気がないわけではない。間違いなく数人に怒鳴り声は聞かれたハズだ。ああ、さっきと同じ展開になってしまった!数人からは険悪な視線を向けられ、また数人からは、
「うるせぇ!何叫んでんだっ!」となじられてただひたすら、
「ご迷惑お掛けして申し訳無い」やら、
「スミマセン、スミマセン」の一点張りをしなければいけないのか、と二度目の覚悟をした。しかし周りの人間は誰一人として険悪な視線を向けもしなければ、なじる者もいない。先ほどのようにまるで僕が存在してうないかのよう。一体何なんですか?集団で見知らぬこの僕をシカトですか?
その悲痛な叫びさえも空しく響くだけで、道行く人々は僕の事を路傍の石ころにしか見ていないようだった。




