6/6
6
なんだこの生き物は。
アルは隣で寝てしまった少女を見た。
このニンゲンが部屋に入ってきたときは、体を緊張させいつでも飛び出せるようにしていた。
しかしこのニンゲンは迷いもなく近づいてきたと思ったら、しかもしゃがみ込み手を伸ばしてくるなぞ、とてもじゃないがニンゲンとは思えない。
ニンゲン特有の不快な匂いもなければこの俺を恐れる様子もない。
今まで見てきたニンゲンとは違う反応に戸惑い、ここまで考えている自分に苦笑する。
毛布をそっと少女にかけてやると、狼は部屋を出て行った。
恋愛は徐々に、じわじわ、ゆっくりと。