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Chron0//≠BreakerS  作者: 時任 理人
等鋭不和の絶刃編

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EP176. 選択できる恐怖と、選択できない恐怖

 私は、まだ自分に判断権があると思っていた。


 レイラを見せない。

 ソウヤを見せない。

 リゼに接触させない。


 それは私の判断であり、私の責任だった。


 だが、次の封筒は違った。


 赤い封印。

 名前のない資料。

 そして、拒否権のない命令。


 教育とは、選ばせることだ。

 少なくとも私は、そう信じている。


 だがこの施設は、選択より先に記録を置く。

 未来より先に死を置く。

 理解より先に関係者名簿へ人間を載せる。


 これは、その封が切られる前の記録だ。


 私がまだ、リゼを守れると思っていた時間の終わりである。


 レイラとソウヤ。


 その二名について、私は接触を却下した。


 正確には、リゼに接触させることを却下した。


 レイラは捕食。

 ソウヤは創作。


 どちらも、人間を人間として見ていない。


 片方は食料として。

 もう片方は素材として。


 だが、まだ分かる。


 いや、分かりたくはない。

 分かりたくはないが、分類はできる。


 捕食衝動。

 殺傷欲求。

 芸術化された加虐性。

 人間性の物質化。

 自己と他者の境界消失。


 そこにどれほど吐き気がしても、既存の犯罪心理学、矯正分類、収容管理理論の延長線上に置くことはできる。


 だからこそ、私は切った。


 「接触させない」


 そう言えば済む相手だった。


 危険。

 過剰。

 教育的価値に対して、リスクが大きすぎる。


 その判断で、私はかろうじて教育統括官として立っていられた。


 リゼを守る。

 リゼを学ばせる。

 リゼを壊さない。


 その三つを同時に成立させるのが、私の役目だった。


 だが、ヒュドラはそこで終わらなかった。


 「じゃあ、次ね」


 軽かった。


 あまりにも軽かった。


 まるで給食の献立を一品追加するような声だった。


 雨宮が横で、資料の束から一枚だけ別の封筒を抜き出した。


 灰色の封筒。

 赤い封印。

 表面には、分類番号すらない。


 私は、それを見た瞬間に分かった。


 これは、さっきまでの資料とは違う。


 レイラやソウヤでさえ資料化されていた。

 名前があり、番号があり、危険分類があり、推奨措置があった。


 だが、この封筒には何もない。


 あるのは、赤い封。


 それだけ。


 私は本能的に嫌悪した。


 人は、名前のないものを恐れる。

 だが、制度は逆だ。


 制度が名前を消すとき、それは恐れているのではない。


 存在させないために消す。


 「何だ、それは」


 私が訊くと、ヒュドラは微笑した。


 「次の対象」


 「さっきの二名は、接触させるかどうか私に判断を委ねたな」


 「ええ」


 「なら、これも私が判断する。内容を確認した上で、リゼに見せるかどうか、教育統括官として判断する」


 「いいえ」


 即答だった。


 ヒュドラの声は、柔らかかった。


 柔らかいまま、逃げ道を塞いでいた。


 「これについて、キース・フロストに拒否権はない」


 私は、息を呑んだ。


 隣のリゼが、わずかに目を動かした。


 興味。


 いや、違う。


 警戒と興味が、同時に発火した目だった。


 最悪の反応だ。


 リゼは、ただ危険を怖がる人間ではない。

 彼女にとって未知とは、退避すべき災害ではなく、解くべき問題になる。


 私は低く言った。


 「どういう意味だ?」


 雨宮が封筒を指先で叩く。


 硬い音だった。

 紙を叩いた音ではなく、棺の蓋を叩いた音に近かった。


 「レイラとソウヤは、異常ではありますが既存分類の延長線上にいます。

  捕食衝動。殺人芸術化。人間性の物質化。どれも極端ではありますが、過去事例との比較が可能です」


 「それで?」


 「次の対象は違います」


 雨宮の声が、少しだけ乾いた。


 「今後、このファクトリーに同種の犯罪人が多発する可能性があります」


 私は眉をひそめた。


 「多発?」


 「はい」


 「犯罪者が増える、という意味か?」


 「いいえ。より正確には、同じ犯罪を行う者が増えるのではありません。

  同じ認識形式を持つ者が増える、という意味です」


 言葉の順序が嫌だった。


 犯罪行為ではなく、認識形式。


 私はその時点で、胃の奥が嫌な形に縮むのを感じた。


 ヒュドラが頷く。


 「そう。単独の異常者じゃない。時代が生む型。これから増えるかもしれない型」


 リゼが静かに口を開いた。


 「新規犯罪類型ですか?」


 「近いわ」


 ヒュドラは、リゼへ視線を向ける。


 「だから、あなたの意見が必要なの」


 私は割って入った。


 「待て。今、何と言った?」


 ヒュドラは、私を見た。


 「鏡々原リゼの意見が必要だと言った」


 「なぜ彼女だ」


 「彼女が、その境界に近いから」


 私は、拳を握った。


 「言い方に気をつけろ……!」


 ヒュドラは笑わなかった。


 「気をつけた結果よ」


 その返答が、最も腹立たしかった。


 冗談なら怒鳴れた。

 悪意なら拒絶できた。


 だが、これは違う。

 彼女は本当に、言葉を選んだ結果としてそれを言っている。


 だから、余計にたちが悪い。


 リゼは黙っていた。


 だが、その沈黙は空白ではない。


 彼女の中で、もう何かが動いている。


 未知。

 境界。

 分類不能。

 新規犯罪類型。


 その単語だけで、彼女の思考は十分に起動してしまう。


 私は、リゼの横顔を見た。


 整っている。

 冷静だ。

 美しいほど危うい。


 そして私は思った。


 これは、レイラやソウヤより危険だ。


 対象が危険だからではない。


 リゼが興味を持つ種類の危険だからだ。



 雨宮が封筒を持ったまま、淡々と続けた。


 「この施設で最も細心の注意が必要な存在です。

  物理的脅威ならレイラ。精神的感染ならネヤム。芸術化された殺傷衝動ならソウヤ。

  しかし、総合危険度では次の対象が最上位に置かれています」


 「最上位?」


 「ええ」


 「レイラやソウヤよりもか?」


 「はい」


 その返答に、私は背筋が冷えた。


 レイラは人を食う。

 ソウヤは人を作品にする。

 ネヤムは人類を旧世代として捨てる。


 その三者より、なお危険。


 私は本能的に拒絶した。


 「リゼに見せる必要はない」


 「あります」


 雨宮が言った。


 「これは命令です」


 その言葉で、廊下の空気が変わった。


 命令。


 ミネルヴァでは嫌というほど聞く言葉だ。

 だが、この場所で聞くと、重さが違う。


 ここでは命令が、人間から逃げ道を奪う。


 教育ではなく、処置。

 説明ではなく、拘束。

 判断ではなく、従属。


 そういう匂いが、このファクトリーにはある。


 私は雨宮を睨む。


 「誰の命令だ」


 ヒュドラが答えた。


 「ホセ理事長。なぜ、君たち二人がここへ特例で来れたのか考えてみて?」


 その名前で、私は黙った。


 ホセ。


 あの男は、いつも穏やかに人を地獄へ送る。

 まるで必要な授業へ送り出すように。


 怒鳴らない。

 脅さない。

 命令にすら見えない。


 ただ、必要だからという顔で、人を取り返しのつかない場所へ立たせる。


 「ホセ理事長は何を期待している」


 「定義」


 ヒュドラは言った。


 「分類。処遇。議論の枠組み。どう取り扱うべきか。どう検証すべきか。どう隔離すべきか。

  あるいは――教育機関が、それを教育対象として扱えるのか」


 「それをリゼに聞くのか」


 「ええ」


 「未成年に?」


 「ふふっ、ミネルヴァが今さら年齢を気にする?」


 ヒュドラの声に、軽い毒が混じった。


 私は答えられなかった。


 気にするべきだ。

 気にするべきなのに、この世界はとっくにその線を踏み越えている。


 未成年という言葉は、ここでは保護の根拠にならない。

 むしろ、加工対象の属性に成り下がっている。


 リゼが静かに言った。


 「上官。命令主体がホセ理事長であるなら、拒否は困難です」


 「君は黙っていろ」


 「しかし事実です。

  命令系統、施設協定、越境教育管理規約の三点から見ても、上官の裁量権は限定されます。

  ここで拒否しても、別の名目で資料は提示されます」


 「事実だから黙れ」


 リゼは口を閉じた。


 珍しく素直だった。


 だが、その目は閉じていない。


 考えている。


 すでに考えている。


 次の対象が何であるか。

 自分に何を求められているのか。

 ホセが何を見ようとしているのか。


 リゼの頭の中では、すでに複数の仮説が立っているはずだった。


 私はそれが怖かった。


 「リゼ」


 「はい」


 「これは命令だから聞く、で済ませるな」


 「どういう意味ですか?」


 「命令だから責任がない、という逃げ方をするな。

  君が聞き、考え、何かを判断した時点で、それは君の責任にもなる」


 リゼは、ほんのわずかに目を細めた。


 「私は責任から逃げるつもりはありません」


 「だから怖いと言っている」


 「責任を負う意思が危険なのですか?」


 「違う」


 私は奥歯を噛んだ。


 「責任を負えると思っていることが危険なんだ」


 リゼは黙った。


 ヒュドラが、少しだけ目を伏せた。


 雨宮は何も言わなかった。


 廊下の白い照明だけが、異様に明るかった。


 この施設の照明は嫌いだ。


 どれほど暗い話をしていても、影を許さない。

 人間の顔から、逃げ場を奪う。



 私は雨宮に訊いた。


 「最も危険、とは何を指す」


 雨宮は少しだけ考えた。


 「ファクトリーでは、通常、危険度は複数軸で評価します。

  物理的攻撃力、脱走可能性、感染性、模倣誘発性、職員損耗率、収容者間影響、

  社会復帰不能性、再犯確率、思想拡散性、記録汚染性、制度破壊性」


 「聞いているだけで胃が痛い」


 「それはお気の毒に」


 「労われ」


 「この施設で胃痛は標準反応です」


 「標準にするな!」


 ヒュドラが小さく笑った。


 この状況で笑える神経を、私は少しだけ羨ましく思った。

 いや、嘘だ。

 まったく羨ましくない。


 雨宮は続ける。


 「次の対象は、これらの軸のどれか一つで突出しているわけではありません。

  問題は、複数の危険軸を“同時に接続する”ことです」


 「接続?」


 「ええ。本人の犯罪行為そのものより、その犯罪形式が他者へ転写される可能性が高い」


 リゼが反応した。


 「模倣犯の誘発ですか?」


 「それより深い」


 雨宮はリゼを見る。


 「模倣は、行為を真似ることです。

  ですが、この対象が持つ危険は、行為ではなく“犯罪の認識形式”を感染させる点にあります」


 私は嫌な予感がした。


 「つまり?」


 雨宮は言った。


 「人間が、自分の罪を罪として認識しないための、新しい構造を持っている」


 廊下が静かになった。


 いや、もともと静かだった。

 だが、今はその静けさの意味が変わった。


 リゼの目が細くなる。


 「罪認識の欠損ではなく、罪概念の再定義ですか?」


 雨宮は頷く。


 「そうです。だからあなたが呼ばれた」


 「私が?」


 「ええ。あなたは、観測、所有、責任、人格、自由意思といった領域を扱う。

  次の対象は、そのすべてを別の形で捻じ曲げています」


 私は即座に言った。


 「リゼを巻き込むな」


 ヒュドラが首を横に振る。


 「もう巻き込まれている」


 「誰が決めた」


 「ホセ」


 また、その名前。


 私は舌打ちしたくなった。


 大人げないのでやめた。

 だが、胃は確実に舌打ちしていた。


 雨宮が資料の角を揃える。


 「この対象の危険性は、単純な凶悪性ではありません。

  たとえば、レイラが一人を殺せば、被害は一人です。もちろん重大ですが、被害範囲は物理的に追跡できます。

  ソウヤが一人を作品化しても、記録、現場、遺留物、加害過程が残る。

  ネヤムの思想感染でさえ、感染経路の推定が可能です」


 「次は違うと?」


 「はい。次の対象は、事件が起きる前から事件の記録を持ち、

  事件が起きたあとには、それを“最初から知っていた”者を増やす可能性があります」


 私は一瞬、言葉を理解できなかった。


 「……何だ、それは? まったく意味がわからない」


 「時間的感染、と仮称されています」


 「時間的感染?」


 「ある出来事の記録が、その出来事の発生以前に流通する。

  さらに、その記録を読んだ者の認識が、未来の事件の成立条件に組み込まれる。

  つまり、情報が過去から未来へ流れるのではなく、未来の事件が過去の認識を汚染する」


 リゼが小さく息を吸った。


 珍しい反応だった。


 彼女は恐怖ではなく、構造に反応している。


 「因果の逆流……いえ、単純な逆流ではない。閉じた時間ループですか?」


 「近いですが、施設側の評価ではさらに不安定です」


 「なぜです?」


 「ループが固定されていないからです」


 雨宮は言った。


 「未来が過去に影響し、その過去がまた未来の条件を変える。

  ですが、その結果が同一の未来へ戻る保証がない。つまり、記録そのものが変異する」


 私はそこで割り込んだ。


 「待て待て、話が飛躍している!

  未来が過去に影響するなど、そもそもあり得ない!

  少なくとも教育現場で扱うには、根拠が薄すぎる!」


 雨宮は、私をまっすぐ見た。


 「根拠があります」


 「何だと?」


 「今年2019年の記録です」


 その一言で、空気がさらに重くなった。



 リゼは、静かだった。


 だが、私は分かる。


 彼女は興味を持っている。


 それも、ただの好奇心ではない。


 “自分に関係があるもの”として見ている。


 私は低く言った。


 「リゼ。これは観測対象ではない」


 「まだ対象の概要を把握していません」


 「把握する前に言っている」


 「予防的警告ですね」


 「そうだ」


 「上官は、私がその対象から何かを学ぶことを危惧していますか?」


 「危惧している」


 「それは、私が学習すること自体を危険視しているのですか?

  それとも、学習結果の運用を危険視しているのですか?」


 「両方だ」


 リゼは少しだけ黙った。


 「明確な拒絶ですね」


 「そうだ」


 「しかし命令であるなら、私は聞く必要があります」


 「君は嬉しそうに言うな」


 「嬉しそうに見えますか?」


 「見える」


 リゼは一瞬だけ視線を落とした。


 「否定はしません」


 私は眉を寄せた。


 「リゼ」


 「はい」


 「今、何に興奮している」


 リゼは答えなかった。


 その沈黙だけで十分だった。


 未知。

 分類不能。

 ホセの期待。

 犯罪類型の新規定義。

 所有、観測、責任、人格、自由意思の捻じれ。


 リゼにとって、それは危険物ではない。


 問題だ。


 解くべき問題。


 そしてリゼは、問題を前にしたとき、止まれない。


 「リゼ。君は今、自分が安全圏にいると思っている」


 「思っていません」


 「いや、思っている。少なくとも、観察する側にいると思っている。

  だが、次の対象は違う。観察者を対象化する類いの危険だ。

  君がそれを見るのではない。君が見た瞬間、君もその系に含まれる」


 リゼは、そこで初めてわずかに表情を動かした。


 「観測者を観測系へ取り込む対象、ということですか?」


 「言い換えればそうだ」


 「それは、私の研究領域と一致します」


 「だから言っている!」


 私の声が廊下に跳ねた。


 雨宮が目だけでこちらを見る。

 ヒュドラは何も言わない。


 私は一度息を吐いた。


 怒鳴るべきではなかった。

 怒鳴れば、リゼは感情ではなく情報だけを拾う。


 案の定、彼女は冷静だった。


 「上官。私は危険性を理解しています」


 「理解しているなら、その顔をするな」


 「どの顔ですか」


 「解き方を考えている顔だ」


 リゼは黙った。


 私はさらに言う。


 「君に必要なのは解決能力じゃない。保留能力だ。

  分からないものを、分からないまま持つ力だ。君はそこが弱い」


 リゼの目がわずかに細くなる。


 痛いところを突かれた反応だった。


 「……承知しました。即時分類は行いません」


 「違う」


 私は首を横に振った。


 「分類しない、では足りない。これは、分類したくなる自分を監視しろ、という意味だ」


 リゼは、ほんの少しだけ黙った。


 「難しい要求です」


 「教育とは、難しい要求を言語化することだ」


 ヒュドラが小さく笑った。


 「いい先生ね」


 私は睨んだ。


 「黙れ」


 「はいはい」


 「はいは一回だ」


 「はい」


 こんな場所で、こんな会話をしていること自体が狂っている。


 だが、このわずかな軽さがなければ、私はとっくに怒鳴り散らしていたかもしれない。


 ――封を切ったあとで


 この記録を終えた今でも、私はまだ考えている。


 あの時、私に何ができたのか。


 レイラを拒んだ。

 ソウヤを拒んだ。

 リゼを遠ざけた。


 そこまでは、まだ教育統括官としての判断だった。


 だが、あの赤い封印を前にした瞬間、私は理解した。


 私が守っていたのは、リゼではなかったのかもしれない。


 私自身の中に残っていた「教育はまだ人間を守れる」という、最後の信仰だったのかもしれない。


 リゼは優秀だ。


 優秀すぎる。


 だからこそ、未知を前にすると、危険を危険としてではなく、構造として見てしまう。

 破滅の匂いがしても、彼女はまず問いを立てる。

 恐怖より先に、仮説を組む。


 私はそれを責められない。


 なぜなら、それは彼女の強さだからだ。

 そして同時に、彼女を壊すかもしれない弱さでもある。



 未来とは、本来なら子供たちに残されるべき余白だ。


 だが、この施設は違う。


 余白を先に奪う。

 結末を先に置く。

 死を先に記録する。


 そして、それを教育と呼ぶ。


 私は、それを認めない。


 たとえホセの命令であっても。

 たとえミネルヴァの制度がそれを必要と呼んでも。

 たとえ未来の死を防ぐためだと言われても。


 現在の人間を壊してまで守る未来など、教育の名に値しない。


 だから私は、これからもリゼの隣に立つ。


 止めるために。

 怒るために。

 問いを急がせないために。

 そして、彼女が自分の頭の中で危険な仮説を熟成させないように。


 私は教育統括官だ。


 選択権を奪われたあとでも、まだ選べるものがあると信じたい。


 それは、誰の隣に立つかだ。


 私はリゼの隣に立つ。


 彼女が学びすぎないように。

 彼女が自分を失わないように。

 そして、私自身が教育を諦めないために。


 ――キース・フロスト


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