表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘブンズゲート・クライシス  作者: 遠藤 薔薇
PR
89/112

89

自己問答に陥っている俺の耳にノックの音が届く。俺が顔を上げると、フェリシティがドアを開けた。さすがにガウンを着替え、半そでのTシャツとスキニージーンズ姿だった。

「終わったかしら?成果を聴きたいのだけど」

俺は黙ってうなずいた。俺の様子から結果を察したのか、フェリシティはドアを閉め、そこにもたれた。

「何も思い出せなかったの?それとも思い出したくないものを思い出したの?」

フェリシティはポケットからタバコを出した。一本くわえて火を点ける。

「…両方とも半分正解です」

「思い出せていないけど思い出しかけてはいる、だけど思い出したくない事柄…って感じってところね」

「思い出したくない…っていうか…」

言葉少なになった俺をフェリシティは黙って見据えていた。見えない圧が俺にかかる。

わかっている。引くことはできない。止まることもできない。そんなことは、わかっているんだ。

「フェリシティさん…もう一度だけ、あのアパートに行ってもいいですか」

「今の状態で行ったら変化があるかもしれない…というのは確証が曖昧だわ。あなたを外に連れ出すリスクを踏まえてほしいわね」

フェリシティは冷淡に答え、タバコの灰を携帯灰皿に落とした。

「連中に止めを刺せるくらいの大きな情報が出てくるなら、やぶさかでもないけど」

「…保証はしません。でも、やっぱりあそこが…一番思い出せる気がするんです」

俺は額を拭った。汗をかいていた。

「こだわるのね。ジェイムズ・ソーヤ高校とか、あなたが他に行っていた場所はいくらでもあるでしょう。イリスと付き合っていたのなら、デートの1回や2回はあるはずよ。場所がニューヨークなら、回る場所なんて掃いて捨てるほどあるわ。それでもあのアパート?」

「…手紙を見つけた場所が…あそこだから…」

5人の友人の証言では俺はあのアパートで手紙を手に入れていた。イリスがあのアパートにいた以上、俺とイリスが一番接触を持っていたあの場所だけだ。

「多分、全ての答えは…あそこにあると思うから」

いや、むしろ…。

「わかったわ。でも行くなら深夜よ。人通りが少ない時に行く」

「わかりました…」

フェリシティは俺の心中を察したのか、あっさり了承して部屋を出た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ