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ヘブンズゲート・クライシス  作者: 遠藤 薔薇
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「ただ、俺はできることがあるんだ。彼女の状況にも、自分自身に対してもできることがある。それを放置することはできないって…思っている」

『だったらやりゃいいじゃん』

あっけらかんと言い放つ槇原に、俺は思わず肩透かしをくらう。

「簡単に言うんだな…」

『気持ちができてんなら後はやるだけっしょー。まぁ彼女は望んでないんだろうけどさ、でもお前が何かやることで彼女の為になるんだったら、やるべきじゃん』

「まぁ…そうだよな」

『それにさ、口で拒否っていても本心は違うかもしれんじゃん。意地を張って気持ちを隠す女子って多いかんな。お前の思いがけないところに本当の気持ちが隠れているかもしれないぜ?嘘は口でしかいえないけど、本心はあちこちに出てくるもんだしよ』

「それがあったら…」

言いかけて、俺は止まる。

本心はあちこちに出てくる。

ハーピアの本心が口から語られているものではないとしたら。

「…そうか、そうか!」

俺はなぜ生きている?

あれだけ殺すと啖呵を切ったハーピアが俺をなぜ生かした?

フェリシティも言っていた。ハーピアは俺を生かした。生かす意味なんてないのに。

俺が生きていること自体が彼女の本心の表われじゃないのか。ナイトクラウド家を受け入れたかのように語っていた彼女なのに、土壇場でナイトクラウドに全く利益のない行為をした。ナイトクラウドの意向を明確に無視したんだ。

どうして気づかなかったんだろう。ハーピアは完全にナイトクラウドを受け入れているわけじゃない。まだ葛藤が、苦悩が残っている。そこに彼女の本心があるんだ。

それを引き出せたのなら。それが表れたのなら。

俺の声はハーピアに届いていた。

『真田―?』

槇原の声で俺は我に返った。

「あ、あぁ、ごめん」

『なんか閃いたのかー?』

「あぁ、うん。ありがとう、槇原。やれる気がしてきた」

『そいつはよかったー。まぁ相手の気持ちなんて全部わかるもんじゃないもんな。絶対うまくいくとはいねぇーよ。でもわかりたいって思ったら、ちゃんと向き合えんなら、いつかはきっと届くだろうさー』


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