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ヘブンズゲート・クライシス  作者: 遠藤 薔薇
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(1枚目)

親愛なる

元気?…といってあなたは

いつ届くかわからない

手紙を送りました。

私が今いる場所はいえないけど

もらっています。ホテルを使うよう

ありがたさが初めてわかったような気がします。

いるから、体調も良好です。別に私の体調に

私がナイトクラウドから出た理由をあなたは察して

しはしないでしょう。

私が裏切ったのは事実

たと巡り会えたら罰を受けたっていい。

でも私はやるべきことがある。これは絶対にあきらめたくない、大切なことだから。やりきるまでやめることはできない。


(2枚目)

ねぇ、覚えている?6年前のこと。

あなたに話した遠い、儚い

あなたは「鼻に

わたしのあこがれの男の子。

そんな人と出会えた。何も知らな

出会えた。

関わっただけで、話しただけで、

ることがあるって感じさせてくれるような人。

「ただの子供じゃない」って、あなたは思うでしょう。

でも、そんな人がいるっていうだけ

私達が夢見ていた外の世界にこんなにも

あなたは大したことじゃないと思っているでしょう。

でも、私にとってはすごいことだった。ナイトクラウド家で生きることしかない、”彼女”になるしかない私達にとって、初めて新しい道筋の未来が見えた瞬間だった。


(3枚目)

だから、私はここにいる。

もちろん、私だけが幸せになるためじゃない。

です。

今は監視の目があるからうかつに動

助け出して見せます。

でも、その時までにあなたには

今とは違う自分。ナイト

い。

あなたはくだらないって、

あきらめないでほしい。自分を

私はあなたのことが大好きだから。ずっと、ずっと愛しているから。

私は必ずあなたの元に行きます。絶対に会いにいきます。

だから自分を捨てないで。


読み終わった俺は、夜空を仰いで息を吐いた。

文が途切れているせいで意味をなしていない部分もあったけど、大まかな流れは読めた。

恐らくこれは俺に宛てた手紙だろう。気恥ずかしいけど、俺とイリスが付き合っていたことを踏まえれば、筋は通る。

だが、奇妙なワードが目についた。「裏切った」、「罰」、「やるべきこと」。

そして、「ナイトクラウド」。

名前にしては珍しい。企業の名前だろうか?でも聞いたことがない企業だ。

イリスと関係しているのは間違いないが、その「ナイトクラウド」とイリスがどうつながるのはわからない。

6年前の会話でイリスがそんな言葉を使っていた記憶もない。彼女の「仕事」と何らかの関係があるのだろうか。

ただ、俺の脳の裏側の、鍵がかかった扉を確実にノックしているのはわかった。

俺はこの手紙を読んだことがある。

映像としての明確な記憶はないが、残った感触は確かにある。

俺はその実感を手がかりに脳内を巡る。記憶は捕まらない。でも輪郭を、気配を感じ取った気はする。

確かに記憶はある。

今までよりずっと間近に迫っている。

少しでも遠くを、少しでも長く探す。


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