表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘブンズゲート・クライシス  作者: 遠藤 薔薇
101/112

101

「あぁそうだ。俺に言う資格はない。君の言う通り、俺がイリスに会ってしまったから、君の人生は狂ったんだろう。だったら償う。俺が償ってやる」

「ふざけるな!お前に何ができる!」

「俺を殺せ…!」

これは賭けだ。死の覚悟は出来ているけど死ぬつもりはない。だけど、ハーピアと向き合うには、あの時できなかったことをやりきるにはこれしかない。

ハーピアは唖然としていた。

「何を言っている…!」

「ハーピア。俺を殺して決着をつけられるなら、そうすればいい。正直死にたくない。生きて帰りたい。でも俺は君を助けなきゃここに来た意味がない。君を助けるためなら何だってする。だから、俺を殺して気が済むならそうしろ!」

「和嵩ぁぁっ!」

ハーピアが俺のこめかみに銃を押し付けた。すでに引き金に指がかかっている。

本当にギリギリだ。一歩の間違いで俺は死ぬ。だけど、ここまで追い詰められたからこそ、手が届くものがある。

「だけど、もし…。もし、俺を殺すことに少しでもためらいを感じてくれているのなら、本当の望みじゃないのなら…もう少しだけ、待ってくれ。俺が君を助ける。イリスができなかったことを、ちゃんと果たす」

俺はゆっくり体を倒し、ハーピアにもたれた。

「だから…もう自分を殺さないで」

俺のこめかみに突き付けていた銃をハーピアは静かに下ろした。

「どうせ、何も変わらない…」

「大事なのは、変えたいかどうかだよ」

「そんなの、思ってなんかいない…」

「だったら君がこんなに悲しんでいるのはおかしいだろ?」

「だって…変えたいなんて思っていたら…口にしたら…また誰かが死ぬ…。私じゃ何もできない…」

「そんなことはないよ。君は強い。俺なんかより、ずっと。それに…もう答えは出ているんだろ?」

ハーピアは何も返さず、ただ荒い息をしていた。

「だったらさ、俺が手を貸すよ。多分、そのために俺は君と出会ったんだ。君の背中を押して、君の想いを支えるために、イリスが俺と君を巡り合わせたんだ」

「あんな女…」

「イリスは君のことを想っていた。それは間違いない。間違いないんだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ