#15 贖罪
―地下6階 12/23 午後0時 残り45時間―
地図に表された赤く塗りつぶされた部屋。
それはどう見ても5階のボス部屋にしか見えなかった。
あのタイミングでこの情報を僕にだけ送ってくるということは、深夏に関する"答え"があるということなのだろう。
どう見ても罠にしか見えなかった。
「俺は行く。深夏を助けられる可能性が少しでもあるのなら。
俺は一度未練無く死んだ身だから死んでも構わんが、お前達だけは助けたい。」
「影山さん・・・」
自分は死んでもいいから助けたい。
もはや影山さんのこの行動には良心ではなく、執念のようなものが感じられた。
「俺はこんな仕事をする前もしてからも、色んな人を俺のせいで失っちまった。
俺が死んだ理由なんて、俺のせいで死んだ男の忘れ形見に恨まれて刺されたのが原因さ。
そう、深夏のような女の子にだ。
でも恨んじゃいねえし、むしろ当然だと思ってる。
こんな奴でも死ぬ前に誰かを救えるなら、それ以上に嬉しいことはないな。」
過去の罪の意識が影山さんを突き動かす。
自分なんて死んで当然。でも死ぬ前に誰かを救えるなら・・・
普通に見ればバカバカしいことに思えるかもしれない。
でも、この状況で僕達はこの言葉に何も返すことが出来なかった。
影山さんの言葉に悲しみと覚悟を感じ取ってしまったからだ。
夕姫と顔を見合わせて僕は言う。
「・・・分かりました。でも僕達も付いて行かせてください。」
「危険だぞ?わかっているのか?」
「今更水臭いですよ。どうせどこに居ても危険なのには変わりないですし。」
「そうそう。深夏ちゃんを放っておくわけにもいかないしね。」
「お前達・・・。分かった。3人で5階へ行こう。」
意見はまとまった。
3人で5階へ答えを探しに行く。
それが、どんな答えだとしても。
――――――――――――
僕達は6階の途中で足止めを食らっていた。
6階を警備するロボットが大量に居た為だ。
「あーこれで何体めかしら。そろそろ打ち止めになって欲しいのだけど。」
夕姫が電撃でロボットを機能停止にさせながら言う。
ロボット自体はそれほど強くはない。しかし、なにぶん数が多すぎる。
数だけ集められたようなお粗末な機械達だが、僕達を足止めするのには十分すぎた。
「流生!夕姫!強行突破するぞ!」
影山さんが叫ぶ。
「でもどうやって!」
「俺が今から突破口を開く。それからロボットがあまり居ない迂回路へと走るんだ。」
影山さんが取り出したのはマークⅡ手榴弾。通称パイナップル爆弾と呼ばれているものだ。
前のロボットの集団に投げつけ、そして爆発。
能力で強化された手榴弾は確実にロボットを破壊した。
僕達はそのまま駆け出して、迂回路に飛び出す。
幸運にもそこにはシャッターがあり、閉めればロボットの追撃を防ぐことが出来た。
「ふー・・・疲れたぁ・・・」
夕姫がその場で座り込む。
「夕姫、大丈夫?」
「う、うん。何とか・・・」
夕姫の無事を確認すると、急に力が抜けた。
僕も他人の心配はしていられなかった。その場に座り込む。
「にしても、あの数は異常だったな。」
「ええ。まるで僕達を足止めすることを目的に配置されたような・・・。ロボットの姿もまちまちでしたし。」
「5階に早く着かせたくない理由でもあるのかも・・・。」
3人で休憩しながらさっきの大群について考える。
その時だった。
「ふふふ・・・勘のいい子達は嫌いですよ・・・。」
20代後半と思われる女性が不気味な笑みを浮かべて歩いてくる。
姿はまるでドラマで出てきそうな秘書。髪をまとめてスーツを着ている。
「何者だ!」
影山さんは躊躇いなく発砲する。
正確な抜き撃ちは確実に女性の眉間を抜いた。
はずだった。
女性の姿は霧散し、別の場所にもう一度現れる。
「攻撃が効かない!?」
「ふふふ・・・あなた達にはしばらくここに居てもらいます。準備が整うまで、ね。
大丈夫、通してはあげるから。通ったときにはもう手遅れになってるけど。」
「手遅れだと?」
「そう、手遅れ。何が手遅れになるかは言わないけどね。」
女性は不気味な笑みを浮かべてそう言った。




