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銀髪碧眼の美少女暗殺者から「拒否したら心中する」と激重求婚されたので、ひとまず結婚を確定で同棲することになりました。  作者: 虎柄トラ


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第07話 深夜四時のシャウト

 先のドリルにて、このスーツは多大なダメージを受けている。箇所次第では、テカテカを通り越して穴が空くのは明白。これからは生活費が二倍になるし、抑えられる出費は抑えないと。こんなことで無駄にお金を使うわけにはいないのだ。


 エナドリを飲む量を減らせばいいって? それができたら苦労などしない。血も肉も骨もエナドリで出来ているといっても過言ではない。マジで中毒者をなめるなよ。


「法律が改正されたのは知ってるだろ。十八歳以上じゃないと結婚できないんだよ」

「二年も待ったのに、また二年待たないといけないの。そんなの嘘じゃん……」


 結婚結婚と口うるさく言っていた割には、結婚可能年齢が引き上げられたことを微塵も知らなかったようだ。


「籍を入れてないだけで事実婚にはなるんだし、二年ぐらい我慢しろよ。こっちもなかなかのリスクを背負うんだぞ」

「ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ……承知した。で、リスクって何?」


 真白の口からギギギと奥歯を噛みしめる音が重なって聞こえてくる。

 それほどまでに耐えがたいことなのか、お付き合い経験ゼロな社畜にはよく分からん。


「リスクってそりゃ未成年との新婚生活だぞ? 見つかったらヤバいに決まってるだろ」

「新・婚・生・活・なんて素敵な響きなんでしょ~。新妻……真白いいかも♪」

「お~い、こっちに戻ってこ~い」

「はっ、大丈夫、安心して博希。目撃者はサクッと殺っとくから誰にもバレないよ。あっダメだ。仕事以外で人殺しちゃダメって規約があった。でも、博希との新婚生活……ふふふ……を守るためならワンチャンいけるか!?」

「そんなワンチャンあってたまるか!」


 フードで表情は分からないが、コロコロと声色が変化しているのをみるに、かなり浮かれているようだ。これからこの少女と一緒に暮らす。幸先不安で仕方がないが、今更考え込んだところでどうしようもない。なるようになる、なんくるないさ。


(……俺も浮かれているのか……まさかな?)


 今日が日曜日で本当に良かった。アラームを気にせず寝ることができる。風呂にも入りたいが、沸かすのも面倒だし、シャワーそれもダルいな。さっさと寝て朝シャンにしとくか。


(ってわけにもいかないよな……)


 博希は片手をついて立ち上がり洗面所兼脱衣所に向かう。浴室前の壁に設置された自動湯沸かし器を操作しつつ、居間で実家のようにくつろぐ真白に声をかける。部屋に上がり込んでからまだ間もないというのに、完璧に溶け込んでいた。


「体冷えただろ? 待ってろ、いま風呂沸かす。沸いたら先に入っていいぞ」

「後とかじゃなくて、博希も入るんだよね?」

「俺か? 俺は入んないぞ。今日……昨日? どっちでもいいか。色々と疲れたし、さっさと着替えて寝る」


 そう答えた途端、片腕にずしりと重さを感じた。振り返ると腕に纏わりつくように真白が抱き着いていた。


 気配を消し足音も無く背後に忍び寄る。振り解こうとしてもピクリとも動かない。この華奢な身体からこんな馬鹿力が生み出されるのか、人類の神秘である。


「そう言わずに一緒に入ろうよ」

「うなことできるかー!」


 感想をつらつらと述べてみたが、端的にいうと未成年との混浴はヤバい。今さらそんな倫理観を気にしてどうするんだと思う人もいるだろう。だが、越えてはいけない一線というものがある。彼女が成人するまで、何があっても手を出さない。

 それが倉持博希の矜持……ではあるが、信念が揺らぐ可能性が無いとは限らない。男と女が同じ屋根の下で暮らすということはそういうことだ。その可能性を少しでも減らすために練った彼なりの作戦。


「だって、私たち夫婦なんでしょ? 夫婦なら一緒にお風呂に入るのが普通って師匠が言ってた」

「そういう夫婦もいるだろうけど、俺たち夫婦は、風呂は別々……あと寝るのも別々な」

「えええええぇぇぇぇぇぇ~~~~~!?」


 ライブ会場かとツッコミを入れたくなるほど見事なシャウトだった。

 場所が場所ならスタンディングオベーションをしていたところである。


 このマンションは全室が防音仕様のため相当な爆音じゃない限りは貫通しない。とは思うが、さすがに深夜四時の叫び声は心配になる。

 お隣さんとは引っ越した時に挨拶しただけで、それ以降一度も会っていない。部屋に明かりが点いているのを時より見かけるから、まだ住んでいるのは確実。

 今までどおり互いに干渉せずの良い関係を継続するためにも、隣人から顰蹙(ひんしゅく)を買うような行為はできるだけ控えたい。


「近所迷惑になるからやめなさい」


 真白の頭をフード越しに軽くこついた。


「ぬぅ~えへへ……やめる」


 叩かれたというのに真白はすごく嬉しそうにしている。

 どういう感情なのか博希には理解できなかった。

最後まで読んでくれてありがとうございます。


面白いな続きが気になるなと思っていただけましたら、是非ともブックマーク、評価、いいねの方よろしくお願いします。作者の励みになります。

特に★★★★★とかついた日には作者のやる気が天元突破します。


他にも色々と書いておりますので、もしよろしければそちらも一読していただけますと幸いです。

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